【公開講座】AI(人工知能)概論【Ⅱ】 ~ データサイエンスから見える新たな学びの未来像 ~【構築中】
【概要】
本講座は、教育現場においてデータサイエンスの基本的な知識とスキルを身につけ、実践的に活用できるように設計された教材です。データの収集・整理・分析・可視化の基本的な手法から、教育データの具体的な活用例、さらにデータ倫理やプライバシーの重要性まで幅広く解説します。教員が日常の授業や学校運営において、データを効果的に活用し、より良い教育環境を構築するための基礎知識と実践力を養うことを目的としています。データリテラシーの向上により、教育の質の向上や、個別最適化された指導、教育政策の立案にも寄与できる人材育成を目指します。
【学修到達目標】
① データサイエンスの基本的な概念と用語を理解し、説明できる。
② 教育現場で扱うデータの種類や収集方法、整理の基本的な手法を理解し、実践できる。
③ 基本的な統計分析やデータの可視化技術を用いて、教育データから有益な情報を抽出できる。
④ 教育データの活用例や事例を理解し、自校や授業に応用できるアイデアを持てる。
⑤ データの倫理やプライバシーに関する基本的な考え方を理解し、適切に対応できる。
第1講 データサイエンスとは何か
白水 始(国立教育政策研究所 初等中等教育研究部・部長、教育データサイエンスセンター・副センター長)
1.学修到達目標
① データサイエンスの定義と基本的な概念を説明できる。
② データサイエンスが現代社会やさまざまな分野で果たす役割を理解できる。
③ データの収集・分析・可視化の流れと、その重要性を説明できる。
2.内容
現代社会において、データサイエンスはますます重要な役割を果たしています。データサイエンスとは、大量のデータを収集・分析し、その結果から有用な知見や意思決定の材料を導き出す学問・技術の総称です。情報化社会の進展に伴い、さまざまな分野でデータの重要性が高まる中、データサイエンスはビジネス、医療、教育、公共政策など、多岐にわたる領域で活用されています。
この分野の基本的な流れは、まずデータの収集から始まります。インターネットやセンサー、アンケート調査など、多様な手法でデータを集め、その後、ノイズや欠損値を取り除く前処理を行います。次に、統計学や機械学習の手法を用いてデータを分析し、パターンや傾向を抽出します。最後に、分析結果をわかりやすく伝えるために、グラフやチャートを用いた可視化を行います。
データサイエンスの意義は、単なるデータの収集や分析にとどまらず、現実の問題解決や意思決定の質を向上させる点にあります。例えば、企業は顧客の購買行動を分析してマーケティング戦略を最適化したり、医療分野では患者の診断や治療計画に役立てたりしています。こうした活動を支えるためには、データの取り扱いに関する倫理やプライバシー保護も重要な課題となっています。
また、データサイエンスは単なる技術だけでなく、問題設定や解釈力も求められる学問です。
3.課題
① データサイエンスの定義や役割について、複数の資料や文献を比較しながら、自分の言葉で説明できるようにすること。
② データサイエンスの各工程(データ収集、前処理、分析、可視化)の具体的な例を挙げ、それぞれの重要性と役割を理解し、説明できるようにすること。
③ データサイエンスの技術や用語について、専門的な内容を理解しながらも、初心者にもわかりやすく説明できるように、基本的な概念や用語の整理を行うこと。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第2講 データの種類と収集方法(仮題)
尾関 智恵(岐阜大学 高等研究院 航空宇宙生産技術開発センター・准教授)
1.学修到達目標
① さまざまな種類のデータ(定量データ、定性データ、時系列データなど)を理解し、それぞれの特徴や適した分析方法について説明できる。
② データの収集方法(観察、アンケート、実験など)を理解し、具体的な場面に応じた適切な収集手法を選択できる。
③ データの種類と収集方法の違いを理解し、実際の教育現場や調査活動において適切なデータ収集計画を立てることができる。
2.内容
データサイエンスを学ぶ上で、最も基本的かつ重要な知識は、「どのような種類のデータが存在し、それらをどのように収集するか」という点です。これらの理解は、教育現場や調査活動において適切なデータを収集し、正確な分析を行うための土台となります。
まず、データには大きく分けて「定量データ」と「定性データ」の二つがあります。定量データは数値で表されるもので、計測や計算が可能です。例えば、生徒の身長、体重、テストの点数、授業時間などが該当します。これらは平均値や標準偏差といった統計的手法を用いて分析しやすく、比較や傾向の把握に適しています。
一方、定性データは属性やカテゴリーを表すもので、数値ではなく分類や属性を示します。例えば、生徒の性別、好きな教科、出席状況、評価(良い・普通・悪い)などが含まれます。これらはクロス集計や比率の計算により、パターンや傾向を見つけるのに役立ちます。
また、データはその性質に応じてさらに細かく分類されることがあります。離散データは、数えられるもので、例としてクラスの人数や参加者数があります。連続データは、任意の範囲の値を取ることができ、気温や時間、身長などが該当します。時系列データは、時間の経過とともに変化するデータであり、気温の推移や株価の動きなどが例です。
1.データの収集方法
データの種類に応じて適切な収集方法を選択することが重要です。代表的な方法には以下のものがあります。
(1)観察法
観察法は、自然な状態や行動をそのまま記録する方法です。例えば、授業中の生徒の様子や、校内の活動の様子を記録する際に用います。観察は、客観的なデータを得るのに適しており、特に行動や態度の記録に有効です。ただし、観察者の主観や偏りに注意が必要です。
(2)アンケート調査
アンケートは、多くの人から意見や情報を収集するのに適した方法です。紙やオンラインフォームを用いて、質問項目を作成し、生徒や保護者、教員に回答してもらいます。定量的なデータ(例:満足度の点数)や定性的な意見(例:改善点の提案)を収集できます。設問の設計や回答の集計・分析がポイントです。
(3)実験・試験
特定の条件を設定し、その結果を測定する方法です。例えば、新しい指導法の効果を検証するために、一定期間実施し、その前後の成績や態度の変化を比較します。実験は因果関係を明らかにするのに有効ですが、倫理的配慮や実施の難しさも伴います。
(4)既存資料の活用
学校の成績記録や出席簿、調査報告書など、すでに存在する資料を利用する方法です。これにより、コストや時間を節約しながら、多くのデータを収集できます。ただし、データの正確性や最新性に注意が必要です。
教員がデータサイエンスの基礎を理解し、実践できるようになるためには、まずデータの種類とそれに適した収集方法を正しく理解することが不可欠です。定量データと定性データの違いを把握し、それぞれの特徴に応じた収集手法を選択することが、正確なデータ分析の第一歩です。観察法やアンケート調査、実験、既存資料の活用など、多様な収集方法を状況に応じて使い分ける能力を養うことが求められます。さらに、データの収集にあたっては、倫理的配慮やプライバシーの保護も重要です。例えば、個人情報を扱う場合は適切な管理と同意取得が必要です。
教員がデータサイエンスの基礎をしっかりと身につけることで、教育現場におけるさまざまな課題解決に役立てることが期待されます。例えば、学習状況の把握や授業の改善、児童・生徒の個別支援、学校運営の効率化など、多岐にわたる場面でデータを活用できるようになります。これにより、より客観的で根拠に基づく意思決定が可能となり、教育の質の向上につながります。さらに、データの収集と分析のスキルは、ICT教育やプログラミング教育とも連携しやすく、未来の教育環境においてますます重要性を増すでしょう。
したがって、教員は日常の教育活動の中で積極的にデータを取り入れ、継続的に学び続ける姿勢が求められます。最後に、データサイエンスは単なる技術や知識の習得だけでなく、教育の現場での実践と連携させることが最も重要です。これからの教育者は、データを活用した新しい教育のあり方を模索し、子どもたちのより良い未来を築くための一助となることを目指しましょう。
3.課題
① 次のデータの種類を分類し、それぞれの特徴と適した分析例を述べなさい。
a) 生徒の身長の測定値
b) 生徒の好きな教科(国語、数学、英語など)
c) 1週間の気温の変化(時系列データ)
② 以下の状況に適したデータ収集方法を選び、その理由を説明しなさい。
a) 学校の授業改善のために生徒の意見を集めたい。
b) 校内の運動会の参加者数を正確に把握したい。
c) 地域の気候変動を長期的に観察したい。
③ 阿なたが教員として、クラスの学習状況を把握するためのデータ収集計画を立てるとします。どのようなデータを収集し、どの方法で行うかを具体的に記述しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第3講 データの前処理とクリーニング
笹山和明(株式会社 村田製作所・クオリティシニアエンジニア)
1.学修到達目標
① データ前処理とクリーニングの基本的な目的と重要性を理解できる。
② 欠損値や異常値の検出と適切な処理方法を説明できる。
③ データの整形や正規化の手法を理解し、実際に適用できる。
2.内容
データサイエンスにおいて、収集した生データはそのままでは分析に適さない場合が多く、前処理とクリーニングは非常に重要な工程です。これらの工程は、データの品質を向上させ、正確な分析結果を得るための基礎となります。
まず、前処理の目的は、データの欠損や誤りを修正し、分析に適した形に整えることです。生データには、入力ミスや測定エラー、欠損値、異常値などが含まれることが多く、これらを適切に処理しないと、分析結果に偏りや誤りが生じる可能性があります。
次に、欠損値の処理についてです。欠損値は、回答漏れや測定不能な場合に生じます。これを放置すると、統計解析や機械学習モデルの性能に悪影響を及ぼすため、適切な対応が必要です。一般的な方法としては、欠損値を持つデータを除外する、平均値や中央値で埋める、または予測モデルを用いて推定する方法があります。
1.異常値(アウトライアー)の検出と処理
異常値は、他のデータと著しく異なる値であり、分析結果に大きな影響を与えることがあります。これらを検出する方法には、箱ひげ図や標準偏差を用いた方法があります。検出後は、誤ったデータとして除外したり、適切な値に置き換えたりします。異常値の適切な処理は、分析の信頼性を高めるために不可欠です。
2.データの整形と正規化
データの整形には、データの型変換や不要な情報の削除、カテゴリーデータのエンコーディングなどが含まれます。これにより、分析やモデル構築がスムーズに行えます。また、正規化や標準化は、異なる尺度のデータを比較可能にし、機械学習モデルの性能向上に寄与します。例えば、最小-最大スケーリングやZスコア正規化が一般的です。これらの処理を適切に行うことで、データの一貫性と分析の精度が向上します。
3.課題
① 欠損値が含まれるデータセットに対して、どのような処理方法が考えられるか説明してください。
② 異常値を検出するための方法を2つ挙げ、それぞれの特徴を説明してください。
③ データの正規化と標準化の違いについて説明し、それぞれのメリットを述べてください。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第4講 データの可視化と探索的データ分析(EDA)(仮題)
1.学修到達目標
① データの可視化の目的と基本的な手法を理解し、適切に選択・実施できる。
② 探索的データ分析(EDA)の意義と基本的な流れを説明できる。
③ 可視化ツールやグラフの種類を理解し、データの特徴や傾向を効果的に把握できる。
2.内容
データの可視化と探索的データ分析(EDA)は、データ分析の最初の段階で非常に重要な工程です。これらの手法を通じて、データの全体像や潜在的なパターン、異常値、関係性を直感的に理解し、次の分析やモデル構築に役立てます。
まず、可視化の目的は、数値やカテゴリーデータの分布や関係性を視覚的に把握し、データの特徴や傾向を理解することです。グラフや図表を用いることで、数値だけでは見えにくいパターンや異常を発見しやすくなります。代表的な可視化手法には、ヒストグラム、棒グラフ、箱ひげ図、散布図、折れ線グラフなどがあります。例えば、学校の成績分布をヒストグラムで示すことで、平均や偏り、極端な値(アウトライアー)を把握できます。
次に、EDAの過程では、まずデータの基本的な統計量を計算し、データの中心傾向やばらつき、分布の形状を把握します。例えば、平均値や中央値、最小値・最大値、四分位範囲などを確認します。これにより、データの偏りや異常値の存在を見つけやすくなります。
次に、可視化を用いてデータの分布や関係性を直感的に理解します。ヒストグラムや箱ひげ図は、データの分布や外れ値の検出に有効です。散布図は、二つの変数間の関係性や相関を視覚的に示すのに適しています。カテゴリーデータの場合は、棒グラフや円グラフを用いて、各カテゴリーの割合や頻度を把握します。
また、多変量の関係性を理解するために、相関係数や散布図行列を作成します。これにより、変数間の相関の強さやパターンを把握し、後の分析やモデル選択に役立てます。さらに、欠損値や異常値の検出も重要なステップです。欠損値は適切に処理し、異常値は除外または修正します。
EDAの最終目的は、データの性質や構造を深く理解し、次の分析段階に進むための準備を整えることです。これにより、分析の精度向上や誤った結論の回避が可能となります。
3.課題
① ヒストグラムと箱ひげ図の違いと、それぞれの特徴について説明してください。
② 散布図を用いた探索的データ分析の際に、どのような情報を得ることができるか具体例を挙げて説明してください。
③ 探索的データ分析の過程で欠損値や異常値を発見した場合、どのような対応策が考えられるか、具体的な方法を挙げて説明してください。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第5講 統計学の基礎(仮題)
尾関 智恵(岐阜大学 高等研究院 航空宇宙生産技術開発センター・准教授)
1.学修到達目標
① 基本的な統計量(平均値、中央値、最頻値、分散、標準偏差など)の意味と計算方法を理解し、適切に使い分けられる。
② データの分布や傾向を表すための代表的な統計的手法(ヒストグラム、箱ひげ図など)を理解し、実際に作成・解釈できる。
③ 確率の基本概念と、その応用例を理解し、日常や教育現場でのデータ解釈に役立てられる。
2.内容
統計学は、データを収集・整理・分析し、そこから意味のある情報を引き出す学問です。教員が教育や調査の場面でデータを理解し、適切な判断を下すために不可欠な基礎知識です。
まず、記述統計の基本的な概念として、データの中心や散らばりを表す統計量があります。代表的なものには、**平均値(算術平均)**があります。これは、データの合計をデータ数で割った値で、データの一般的な傾向を示します。一方、中央値は、データを小さい順に並べたときの中央の値で、外れ値に影響されにくい特徴があります。
最頻値(モード)は、最も頻繁に出現する値で、カテゴリーデータや離散データの代表値として用いられます。
次に、データの散らばりやばらつきを表す指標として、分散と標準偏差があります。分散は、各データと平均値との差の二乗平均であり、データのばらつきの大きさを示します。
また、データの分布や偏りを理解するために、ヒストグラムや箱ひげ図といった可視化手法が用いられます。ヒストグラムは、データを一定の範囲(ビン)に分け、その範囲内のデータ数を棒グラフで表すもので、データの分布の形状や偏り、外れ値の有無を直感的に把握できます。一方、箱ひげ図は、データの最小値、第一四分位数(Q1)、中央値(Q2)、第三四分位数(Q3)、最大値を箱とひげで表し、データの散らばりや偏り、外れ値を一目で理解できる便利な図です。
次に、確率の基本概念についても理解が必要です。確率は、ある事象が起こる可能性を数値で表したもので、0から1の範囲で示されます。例えば、コインを投げたときに表が出る確率は0.5です。確率の基本的なルールには、「排反事象の確率の和は、それぞれの確率の和に等しい」「独立事象の同時確率は、それぞれの確率の積に等しい」などがあります。これらのルールは、教育現場や調査結果の解釈においても重要です。
最後に、これらの統計的手法や確率の知識は、データの正しい解釈や意思決定に役立ちます。例えば、テストの平均点や偏差値を理解し、偏りや異常値を見つけること、また、調査結果の確率的な解釈を行うことは、教育の質向上や改善策の立案に直結します。
3.課題
① データの平均値、中央値、最頻値の違いと、それぞれの特徴について説明してください。
② 以下のデータセット(例:5, 7, 8, 8, 9, 10, 12)について、分散と標準偏差を計算し、その意味を説明してください。
③ コインを10回投げたときに表が出る確率は0.5です。このとき、実際に表が7回以上出る確率について二項分布を用いて計算し、その結果から何がわかるか説明してください。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第6講 機械学習の基本概念(仮題)
澤井進(岐阜女子大学・特任教授)
1.学修到達目標
① 機械学習の基本的な仕組みと種類(教師あり学習、教師なし学習、強化学習)を理解し、それぞれの特徴と適用例を説明できる。
② モデルの学習過程(訓練、検証、テストの流れ)と、その目的や重要性を理解し、適切なモデル評価指標(正確率、精度、再現率など)を選択できる。
③ 過学習やバイアス・バリアンスのトレードオフについて理解し、モデルの汎化性能を向上させるための基本的な対策を説明できる。
2.内容
機械学習は、コンピュータに大量のデータを与え、そのパターンや規則性を自動的に学習させる技術です。これにより、従来のプログラムでは難しかった予測や分類、異常検知などのタスクを自動化できます。機械学習は大きく分けて三つの種類に分類されます。
まず、「教師あり学習」は、入力データとそれに対応する正解(ラベル)が与えられ、その関係性を学習します。例えば、学生の成績データから合格・不合格を予測するモデルや、画像から猫・犬を分類するモデルがこれに該当します。学習の過程では、モデルは入力と正解の関係を捉え、未知のデータに対しても正確に予測できるように調整されます。
次に、「教師なし学習」は、正解ラベルなしでデータの構造やパターンを見つけ出す手法です。
最後に、「強化学習」は、エージェントが環境と相互作用しながら、報酬を最大化する行動を学習する手法です。例えば、ゲームのプレイやロボットの動作制御に応用されます。エージェントは、行動を選択し、その結果得られる報酬をもとに次の行動を改善していきます。これにより、長期的な利益を最大化する戦略を自動的に獲得します。
モデルの学習過程では、データを用いてモデルのパラメータを調整し、予測や分類の精度を高めていきます。モデルの評価には、正解率や精度、再現率、F値などの指標が用いられます。これらの指標は、モデルの性能や汎化能力を測るために重要です。
しかし、モデルには過学習やバイアス・バリアンスの問題も存在します。過学習は、訓練データに過度に適合しすぎて、新しいデータに対して性能が低下する現象です。これを防ぐためには、データの増加や正則化、交差検証などの手法が用いられます。また、バイアスとバリアンスのトレードオフを理解し、適切なモデル選択やハイパーパラメータ調整を行うことが、良い汎化性能を持つモデルを作るための基本です。
このように、機械学習はデータからパターンを抽出し、予測や意思決定を自動化する強力な技術です。教育や医療、金融など多くの分野で活用されており、今後もその重要性は増していくと考えられます。
3.課題
① 機械学習の三つの主要な種類(教師あり学習、教師なし学習、強化学習)について、それぞれの特徴と代表的な応用例を説明してください。
② 過学習とは何かを説明し、過学習を防ぐための一般的な方法を2つ挙げてください。
① 機械学習モデルの評価指標にはさまざまなものがありますが、正解率(Accuracy)と再現率(Recall)の違いについて具体的な例を用いて説明してください。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第7講 回帰分析と分類モデル
笹山和明(株式会社 村田製作所・クオリティシニアエンジニア)
1.学修到達目標
① 回帰分析と分類モデルの基本的な概念と違いを理解し、適切な場面で使い分けられるようになる。
② 回帰分析における代表的な手法(例:線形回帰)の仕組みと、その結果の解釈方法を説明できる。
③ 分類モデル(例:ロジスティック回帰や決定木)の仕組みと、その評価指標(例:正解率、再現率)について理解し、モデルの性能を適切に評価できるようになる。
2.内容
回帰分析と分類モデルは、データサイエンスにおいて最も基本的かつ重要な予測手法です。これらは、データからパターンを抽出し、未知のデータに対して予測を行うためのモデルです。
回帰分析は、連続値の予測を目的とします。例えば、住宅の価格予測、気温の予測、売上高の予測などが典型的な例です。最も基本的な回帰手法は線形回帰です。線形回帰は、説明変数(特徴量)と目的変数(予測したい値)との間に線形関係があると仮定し、最小二乗法を用いてパラメータを推定します。モデルの式は、目的変数が説明変数の線形結合として表され、例えば「価格 = a × 面積 + b」といった形になります。回帰分析の結果からは、各説明変数の影響度や、予測値の範囲を理解することができます。
一方、分類モデルは、データをあらかじめ定められたカテゴリーに分類することを目的とします。
分類モデルにはさまざまな手法がありますが、代表的なものにロジスティック回帰や決定木があります。ロジスティック回帰は、線形回帰と似ていますが、出力を確率値(0から1の範囲)に変換するシグモイド関数を用います。これにより、あるデータが特定のクラスに属する確率を推定し、その確率に基づいてクラスを判定します。例えば、「このメールはスパムか?」という問いに対し、70%の確率でスパムと判定された場合、その結果をもとに分類します。
決定木は、特徴量の値に基づいてデータを分岐させていく木構造のモデルです。分岐の基準は情報利得やジニ不純度などの指標を用いて決定され、最終的に葉に到達したときにクラスを決定します。決定木は直感的に理解しやすく、特徴量の重要性も把握しやすいのが特徴です。
これらのモデルの性能評価には、正解率(Accuracy)だけでなく、再現率(Recall)、適合率(Precision)、F値なども用いられます。例えば、医療診断の場面では、見逃しを防ぐために再現率を重視することがあります。一方、スパムメール判定では、誤って正当なメールをスパムと判定しないことも重要であり、そのために適合率やF値を考慮します。
回帰分析と分類モデルは、どちらもデータの性質や目的に応じて適切に選択し、モデルの性能を評価・改善することが求められます。これらの理解は、実際のデータ分析や予測モデルの構築において不可欠です。
3.課題
① 回帰分析と分類モデルの違いについて示してください。
② 回帰分析において線形回帰モデルを用いる場合、どのようにしてモデルのパラメータ(係数)を推定しますか?また、その推定結果の解釈について説明してください。
③ 分類モデルの評価指標の一つであるF値(F1スコア)について、その意味と計算方法を具体的に説明し、なぜこの指標が重要となる場合があるのか例を挙げて説明してください。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第8講 クラスタリングと次元削減
小松尚登(滋賀大学・データサイエンス・AIイノベーション研究推進センター・助教)
1.学修到達目標
① クラスタリングの基本概念と代表的な手法を理解し、適切な場面での適用方法を説明できる。
② 次元削減の目的と代表的な手法(主成分分析(PCA)など)を理解し、データの可視化や前処理に役立てられる。
③ クラスタリングと次元削減の違いや関係性を理解し、実データ分析においてこれらの手法を適切に選択・適用できる。
2.内容
クラスタリングと次元削減は、データサイエンスにおいて重要な前処理・分析手法です。まず、クラスタリングは、データを類似性に基づいて複数のグループ(クラスタ)に分ける手法です。教師なし学習の一種であり、事前にラベル付けされた情報がなくても、データの構造やパターンを把握するのに役立ちます。代表的なクラスタリング手法には、k-means法や階層的クラスタリングがあります。k-meansは、事前にクラスタ数を決め、その数だけ中心点(クラスタ中心)を設定し、データ点を最も近い中心に割り当てることでクラスタを形成します。一方、階層的クラスタリングは、データ間の距離に基づき、階層的にクラスタを結合または分割していきます。クラスタリングは、市場セグメントの特定、画像の分類、異常検知など多岐にわたる応用があります。
次に、次元削減は、多次元のデータをより少ない次元に変換し、データの本質的な情報を保持しつつ、可視化や計算効率の向上を目的とします。代表的な手法は主成分分析(PCA)です。PCAは、データの分散を最大化する方向(主成分を見つけ出し、その方向にデータを射影することで次元を削減します。これにより、データの構造やパターンを理解しやすくなり、ノイズの除去や計算コストの削減にも寄与します。その他の次元削減手法には、t-SNEやUMAPなどの非線形手法もあり、これらは高次元データの複雑な構造を低次元に効果的に可視化するのに適しています。
クラスタリングと次元削減は、しばしば併用されることがあります。例えば、多次元のデータに対してまず次元削減を行い、その後クラスタリングを適用することで、計算負荷を軽減し、より明確なクラスタ構造を抽出できる場合があります。これらの手法を適切に選択・組み合わせることは、データの理解と分析の質を高める上で重要です。
ただし、次元削減は情報の一部を失うリスクも伴うため、目的に応じて適切な手法と次元数を選ぶ必要があります。クラスタリングと次元削減は、データの構造理解や可視化、前処理の一環として、データサイエンスの基礎的な技術として広く利用されています。これらの手法を理解し、適切に適用できることは、データ分析のスキル向上に直結します。
3.課題
① クラスタリングの代表的な手法を2つ挙げ、それぞれの特徴と適用例について説明してください。
② 主成分分析(PCA)の基本的な仕組みと、その結果得られる主成分の意味について説明してください。さらに、PCAを用いる際の注意点も述べてください。
③ 高次元データに対して次元削減を行う目的と、その際に考慮すべきポイントについて具体的に説明してください。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第9講 データサイエンスにおけるプログラミング基礎(仮題)
小松尚登(滋賀大学・データサイエンス・AIイノベーション研究推進センター・助教)
1.学修到達目標
① プログラミングの基本的な概念と構文を理解し、データ処理や分析に必要な基本操作を実行できる。
② 代表的なプログラミング言語(例:Python)の基本的な文法とライブラリの使い方を習得し、簡単なデータ分析プログラムを作成できる。
③ データの読み込み、加工、可視化といった基本的なプログラミングスキルを身につけ、データサイエンスの基礎的な作業を自律的に行える。
2.内容
データサイエンスの基礎を理解するためには、プログラミングの基礎知識が不可欠です。プログラミングは、データの収集、前処理、分析、可視化といった一連の作業を自動化し、効率的に行うためのツールです。特に、Pythonはそのシンプルさと豊富なライブラリ群により、データサイエンスの分野で広く採用されています。
まず、プログラミングの基本的な概念として、変数、データ型(数値、文字列、リスト、辞書など)、演算子、制御構造(if文、ループ)、関数の定義と呼び出しがあります。これらは、プログラムの基本的な構成要素であり、データの操作や処理の土台となります。
次に、Pythonの基本的な文法について理解します。例えば、変数への値の代入、条件分岐、繰り返し処理、関数の作成と呼び出し方です。これらを習得することで、簡単なプログラムが作成できます。
プログラミングにおいては、データの入出力も重要です。Pythonでは、pandasやnumpyといったライブラリを用いることで、CSVやExcelファイルなどのデータを簡単に読み込み、データフレームや配列として扱うことができます。これにより、大量のデータを効率的に処理できるようになります。
次に、データの前処理もプログラミングの重要な側面です。欠損値の処理、データの正規化や標準化、カテゴリ変数のエンコーディングなどを行います。これらの操作は、pandasやscikit-learnといったライブラリを使うことで、比較的容易に実現できます。
また、データの可視化もプログラミングスキルの一環です。matplotlibやseabornといったライブラリを用いて、散布図、ヒストグラム、箱ひげ図などを作成し、データの分布や関係性を視覚的に理解します。
最後に、プログラミングの学習には、実際に手を動かしてコードを書きながら理解を深めることが重要です。簡単なデータ分析の例題を自分で解いてみることで、理論だけでなく実践的なスキルも身につきます。
3.課題
① Pythonを用いて、リストに格納された数値データの平均値と中央値を計算するプログラムを作成してください。
② pandasライブラリを使って、CSVファイルからデータを読み込み、特定の列の欠損値を平均値で埋める処理を行うコードを書いてください。
③ matplotlibやseabornを用いて、データの散布図とヒストグラムを作成し、データの分布や関係性を視覚的に表現してください。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第10講 学力調査と分析(仮題)
山川喜葉(埼玉県教育局市町村支援部・義務教育指導課長)
1.学修到達目標
① 全国学力・学習状況調査や校内テストなど、様々な学力調査データの種類と特性を理解し、表計算ソフト等を用いて適切に整理できる。
② 平均値や標準偏差といった基本的な統計量を算出・解釈し、ヒストグラムや箱ひげ図などを用いてデータ分布を視覚的に表現・分析できる。
③ 正答率や識別指数(学力層をどの程度見分けられるかを示す指標)といった古典的テスト理論の初歩を理解し、個々の問題の質を評価・分析できる。
④ データ分析の結果から、クラス全体の傾向や個々の児童生徒のつまずきの原因を科学的に考察し、指導改善や個別最適な学びの支援に繋がる具体的な示唆を導き出せる。
2.内容
学力調査データの種類と構造
全国学力・学習状況調査、CBT(Computer Based Testing)形式のテスト、教員作成の小テストなど、多様なデータの形式と、それらが持つ情報の特性について学びます。
記述統計とデータの可視化
平均値、中央値、標準偏差などの基本的な統計量の算出方法とその意味を学びます。さらに、度数分布表やヒストグラムを作成し、クラス全体の得点分布のばらつきや傾向を把握する手法を習得します。これにより、「平均点」だけでは見えない学力の実態を捉えます。
テスト問題の分析手法
個々の設問について、正答率を算出し、難易度を評価します。加えて、成績上位層と下位層で正答率にどれだけ差があるかを示す「識別指数」を計算し、学力差を測る上で良問であったかを分析します。また、誤答の傾向を分析し、児童生徒がどのような点でつまずいているのかを探ります。
関係性の探求
学習時間と成績、アンケート項目(例:自己肯定感)と学力の関係など、2つのデータの関係性を分析するために散布図を作成し、相関の有無を視覚的に捉えます。その際、相関関係と因果関係の違いを明確に理解し、安易な結論に飛びつかない科学的な思考態度を養います。
分析結果の教育実践への応用
分析によって得られた客観的なデータに基づき、具体的な授業改善プランや、個々の児童生徒への声かけ・支援計画を立案します。また、保護者面談等で児童生徒の学習状況を客観的かつ分かりやすく説明するための資料作成にも活用します。これらの活動を通して、データに基づいた教育実践(Evidence-Based Education)のサイクルを体験的に学びます。
す。
3.課題
① あなたは、あるクラスの担任です。先日実施した理科の単元テスト(50点満点)の結果がまとまりました。まずはクラス全体の学力状況を客観的に把握し、夏休み前の補習など、今後の指導方針を検討してください。
② クラス全体の平均点は悪くないものの、特定の問題で多くの生徒が間違えていることが気になりました。そこで、設問ごとの正答状況を詳しく分析し、生徒たちの「つまずき」の具体的な原因を探りましょう。
③ テストを重ねる中で、「この問題は、本当に学力を正しく測れているだろうか?」という疑問が湧きました。特に、ある問題は、勉強を頑張っている生徒も、そうでない生徒も、同じように間違えているように感じます。そこで、問題が学力差を適切に反映しているかを評価してください。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第11講 データの倫理とプライバシー(仮題)
芳賀高洋(岐阜聖徳学園大学・教授)
1.学修到達目標
① データの倫理的取り扱いの重要性と基本的な原則を理解し、説明できる。
② 個人情報保護のためのプライバシー保護技術や法規制(例:個人情報保護法、GDPR)について理解し、適切に適用できる。
③ データの倫理的課題やプライバシー侵害のリスクを認識し、その対策や責任あるデータ活用の方法について議論できる。
2.内容
データサイエンスの発展に伴い、個人情報やセンシティブなデータを扱う機会が増えています。これに伴い、データの倫理的取り扱いやプライバシー保護の重要性が高まっています。まず、データの倫理とは、データを収集・利用・公開する際に、個人の権利や尊厳を尊重し、公正かつ責任ある行動を取ることを指します。倫理的なデータ活用には、本人の同意を得ること、目的外利用を避けること、データの正確性を保つことなどが基本原則として挙げられます。これらの原則を守ることは、信頼性の確保や社会的信用の維持に不可欠です。次に、プライバシー保護は、個人情報が不適切に漏洩したり、不正に利用されたりするリスクを低減するための技術や法規制を指します。代表的な法規制には、日本の個人情報保護法やEUのGDPR(一般データ保護規則)があります。
これらの法規制は、個人情報の収集・保存・利用に関するルールを定め、違反した場合の罰則や責任を明確にしています。具体的な保護技術としては、データの匿名化や仮名化、暗号化、アクセス制御、監査ログの管理などがあります。これらの技術は、個人を特定できる情報を隠すことで、プライバシー侵害のリスクを低減します。さらに、データの倫理的取り扱いには、透明性や説明責任も求められます。たとえば、データ収集の目的や利用範囲を明示し、本人の同意を得ること、データの利用状況や結果について説明責任を果たすことが重要です。加えて、データの不適切な利用や偏りによる差別や不公平の発生も倫理的課題です。これらを防ぐためには、倫理的ガイドラインや監査体制の整備が必要です。最後に、データの倫理とプライバシー保護は、単なる技術的対策だけでなく、組織や個人の意識改革も求められます。教育や啓発活動を通じて、責任あるデータ活用の文化を育むことが重要です。これらの取り組みは、信頼されるデータ社会の実現に不可欠です。教員としては、学生に対してこれらの倫理的原則や法規制、技術的対策を理解させ、実践的な判断力を養う指導が求められます。
3.課題
① データの倫理的取り扱いにおいて重要な原則を3つ挙げ、それぞれについて具体例を交えて説明してください。
② 個人情報保護法やGDPRなどの法規制が求める、個人情報の取り扱いに関する基本的なルールを説明し、それらを遵守するための具体的な対策例を挙げてください。
③ データのプライバシー保護において、匿名化や暗号化などの技術の役割と、それらを適切に活用する際の注意点について述べてください。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第12講 データサイエンスの実践的応用例(仮題)
成瀬喜則(富山大学・名誉教授・学長特命補佐)
1.学修到達目標
① データサイエンスの具体的な応用例を理解し、説明できる。
② 各応用例において、どのようなデータ分析手法や技術が用いられるかを理解し、説明できる。
③ 実社会や教育現場において、データサイエンスを活用した課題解決の事例を挙げ、応用の可能性を議論できる。
2.内容
データサイエンスは、多様な分野で実践的に応用されており、その具体例は私たちの生活や社会のさまざまな側面に影響を与えています。まず、医療分野では、患者の診断データや遺伝情報を解析し、個別化医療や早期発見に役立てられています。例えば、機械学習を用いた画像診断では、X線やMRI画像から疾患の兆候を自動的に検出し、医師の診断支援を行います。
次に、マーケティング分野では、顧客の購買履歴やウェブ行動データを分析し、ターゲット広告やパーソナライズされた商品推薦を実現しています。これにより、企業は効率的なマーケティング戦略を立て、売上向上を図っています。例えば、オンラインショッピングサイトでは、過去の閲覧履歴や購入履歴をもとに、個々の顧客に最適な商品を提案しています。
教育分野では、学習者の成績や行動データを分析することで、学習の進捗や理解度を把握し、個別指導や教材の最適化に役立てられています。例えば、学習管理システム(LMS)を用いて、学生の解答パターンや学習時間を分析し、苦手分野を特定したり、適切な学習コンテンツを推奨したりすることが可能です。
また、都市計画や交通管理の分野でも、ビッグデータと分析技術が活用されています。交通量データや気象情報を解析し、渋滞の予測や最適な交通ルートの提案、公共交通機関の運行計画の改善に役立てられています。これにより、都市の効率的な運営や環境負荷の軽減が期待されています。
さらに、環境保護や気候変動の研究においても、衛星画像や気象データの解析が重要です。地球規模の気候変動のパターンを把握し、適切な対策を立てるために、データサイエンスは不可欠なツールとなっています。
これらの応用例からわかるように、データサイエンスは多岐にわたる分野で実践的に利用されており、社会のさまざまな課題解決に貢献しています。教育現場においても、データを活用した個別指導や学習支援の最適化は、今後ますます重要になると考えられます。教員や教育関係者は、これらの応用例を理解し、自らの教育活動にどう取り入れるかを考えることが求められます。
3.課題
① 医療分野において、画像診断に機械学習を用いることのメリットとデメリットをそれぞれ述べなさい。
② マーケティング分野でのデータサイエンスの応用例として、オンラインショッピングサイトでの顧客への商品推薦があります。これにおいて、どのようなデータが収集され、どのような分析手法が用いられるのかを説明しなさい。
③ 教育分野において、学習者のデータを分析して学習支援を行うことの意義と、その際に注意すべき点について述べなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第13講 データ可視化の高度な技術(仮題)
1.学修到達目標
① 高度なデータ可視化技術の種類と特徴を理解し、適切に選択・活用できる。
② インタラクティブな可視化ツールやダッシュボードの作成方法を理解し、実践できる。
③ 複雑なデータ構造や多次元データを効果的に可視化し、洞察を得るための工夫や技術を説明できる。
2.内容
データ可視化は、データの理解と伝達を促進するための重要な手法です。基本的なグラフやチャートだけでなく、より高度な技術を駆使することで、複雑なデータや多次元データから深い洞察を得ることが可能となります。
まず、インタラクティブな可視化は、ユーザーがデータの特定部分に焦点を当てたり、フィルタリングやズームを行ったりできる技術です。これにより、静的なグラフでは捉えきれない詳細情報を動的に探索できます。例えば、Webベースのダッシュボードやツール(TableauやPower BI、D3.jsなど)を用いて、ユーザーが操作できる可視化を作成します。
次に、多次元データの可視化は、複数の変数を同時に表現し、関係性やパターンを明らかにします。代表的な手法には、散布図行列(pair plot)や主成分分析(PCA)による次元削減後の散布図があります。
また、ヒートマップやサンキー図などの特殊な可視化手法も、多次元データや複雑な関係性を表現するのに有効です。ヒートマップは、色の濃淡を用いてデータの密度や相関関係を視覚的に示し、サンキー図はフローや因果関係を表現するのに適しています。
さらに、時系列データの高度な可視化も重要です。単純な折れ線グラフだけでなく、アニメーションやインタラクティブなタイムラインを用いることで、時間の経過とともに変化するデータのパターンやトレンドを直感的に理解できます。これにより、季節変動や長期的な傾向を把握しやすくなります。
また、3D可視化や空間データの可視化も高度な技術の一つです。地理情報システム(GIS)を用いた地図上のデータ表示や、3Dモデルを用いたデータの可視化は、場所や空間的関係性を理解するのに役立ちます。ただし、3D表示は情報過多になりやすいため、適切な工夫と注意が必要です。
最後に、可視化の自動化とプログラムによるカスタマイズも重要です。PythonのMatplotlibやSeaborn、Plotly、Rのggplot2やShinyなどのツールを用いて、複雑なデータセットに対して効率的に高度な可視化を作成し、必要に応じて自動化やカスタマイズを行う技術も習得すべきです。
これらの高度な可視化技術を駆使することで、単なるデータの見た目の良さだけでなく、深い洞察や伝達力のある資料作成が可能となります。
3.課題
① 多次元データの関係性を視覚的に理解するために適した可視化手法を2つ挙げ、それぞれの特徴と適用例を説明してください。
② インタラクティブなダッシュボードを作成する際に用いられる代表的なツールを2つ挙げ、それぞれの特徴と利点を述べてください。
③ 機械学習の次元削減手法(例:t-SNEやUMAP)を用いた可視化の目的と、その結果から得られる洞察について説明してください。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第14講 AIと深層学習の基礎と応用(仮題)
藤吉弘亘(中部大学AI数理データサイエンスセンター教授)
1.学修到達目標
① AIと深層学習の基本的な概念と仕組みを理解し、その違いと関係性を説明できる。
② 深層学習の代表的なモデル(例:ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、リカレントニューラルネットワーク)の構造と特徴を理解し、適用例を説明できる。
③ 深層学習の応用分野とその課題・限界について理解し、実社会における具体的な事例を挙げて説明できる。
2.内容
人工知能(AI)は、人間の知的活動を模倣し、学習・推論・判断などを行う技術の総称です。AIにはさまざまなアプローチがありますが、その中でも特に注目されているのが深層学習(ディープラーニング)です。深層学習は、多層のニューラルネットワークを用いて、大量のデータから特徴を自動的に抽出し、高度なパターン認識を可能にします。
AIの歴史は1950年代にさかのぼりますが、従来の機械学習は特徴量の設計や抽出に人間の知識が必要でした。一方、深層学習は、画像認識や音声認識、自然言語処理などの分野で大きな成功を収めており、膨大なデータと計算資源を活用して、従来の手法を凌駕する性能を発揮しています。
深層学習の基本的なモデルは、ニューラルネットワークです。これは、人間の神経細胞(ニューロン)を模した構造で、入力層・隠れ層・出力層から構成されます。各層のニューロンは、前の層からの入力を重み付けし、非線形関数(活性化関数)を通じて次の層に伝達します。多層にわたるこの構造により、複雑なパターンや特徴を抽出できるのです。特に、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は画像認識に優れ、画像の局所的な特徴を捉えることに長けています。リカレントニューラルネットワーク(RNN)は、時系列データや自然言語処理に適しており、過去の情報を保持しながら処理を行います。
深層学習の応用範囲は広く、画像認識(顔認証、医療画像診断)、音声認識(音声アシスタント、翻訳)、自然言語処理(チャットボット、文章生成)、自動運転車など、多岐にわたります。これらの技術は、従来のルールベースや特徴量抽出に頼る手法を超え、大量のデータから自動的に特徴を学習するため、精度向上に寄与しています。
しかしながら、深層学習には課題も存在します。大量のデータと計算資源を必要とし、モデルの解釈性が低いため、「ブラックボックス」としての側面も指摘されています。また、過学習やバイアスの問題もあり、倫理的・社会的な配慮も求められています。さらに、モデルの訓練には時間とコストがかかるため、実用化には工夫や工場的な運用が必要です。
総じて、深層学習は多くの革新的な応用を生み出しており、今後も技術の進展とともに新たな可能性が広がっています。一方で、その課題に対しては、モデルの解釈性を高める研究や、少ないデータで学習できる手法の開発、倫理的なガイドラインの整備などが進められています。これらの取り組みを通じて、深層学習の社会的な受容と実用性は向上し続けています。教員としては、これらの基礎知識を理解し、教育現場での適切な活用や、学生への指導に役立てることが求められます。深層学習の理解は、今後のAI技術の発展を見据えた重要なスキルとなるため、基礎からしっかりと学び、実社会の課題解決に役立てていくことが期待されます。これにより、学生のデータリテラシーやAIリテラシーの向上にもつながります。最後に、深層学習の未来は、より効率的で解釈しやすいモデルの開発や、倫理的なAIの実現に向けた研究とともに進展していくでしょう。教員はこれらの動向を把握し、教育に反映させることが重要です。
このように、AIと深層学習は、現代社会において不可欠な技術となっており、その基礎と応用を理解することは、教育者としても非常に重要です。深層学習の技術は、医療、交通、金融、エンターテインメントなど、多くの分野で革新的な変化をもたらしています。これらの応用例を通じて、学生に実社会での具体的な事例を示しながら、技術の意義や課題について議論を深めることが効果的です。また、深層学習の発展は、倫理的な問題や社会的な責任も伴います。教員は、技術の進歩だけでなく、その社会的影響についても理解を深め、学生に対してバランスの取れた視点を提供することが求められます。今後も、AIと深層学習の動向を注視し、最新の知識と教育方法を取り入れることで、次世代の人材育成に寄与していくことが重要です。これらの知識と理解を基盤に、学生が未来の社会をリードできるような教育を目指しましょう。
3.課題
① 深層学習と従来の機械学習の違いについて、具体例を挙げて説明しなさい。
② 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の特徴と、その代表的な応用例を述べなさい。
③ 深層学習の社会的な課題や倫理的な問題について、あなたの考えを述べ、その解決策の一例を提案しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第15講 データサイエンスの未来と教育への展望(仮題)
澤井進(岐阜女子大学特任教授)
1.学修到達目標
① データサイエンスの未来の展望とその社会的・教育的意義を理解できる。
② 今後の教育現場におけるデータサイエンス教育の役割と必要性を説明できる。
③ データサイエンスの発展に伴う課題と、それに対する教育の対応策を考察できる。
2.内容
データサイエンスは、ビッグデータの収集・分析・解釈を通じて、さまざまな社会課題の解決や意思決定の支援を行う学問分野です。今後の社会において、データサイエンスの重要性はますます高まると予測されており、その未来展望は多岐にわたります。
まず、産業界ではAIやIoTの普及により、リアルタイムのデータ分析や予測モデルの構築が不可欠となっています。これにより、医療分野では個別化医療や早期診断、金融分野ではリスク管理や詐欺検出、交通分野では自動運転や交通流の最適化など、多くの革新的なサービスが実現しています。これらの進展は、データサイエンスの技術者だけでなく、一般のビジネスパーソンや教育者にも求められるスキルとなっています。
教育の側面では、データリテラシーの重要性が高まっています。未来の社会を担う子どもたちに対して、データの扱い方や分析の基礎を教えることは、情報化社会に適応し、主体的に意思決定できる市民を育成することにつながります。これにより、学校教育や高等教育においても、データサイエンスの基礎的な知識やスキルを身につけることが求められるようになっています。特に、プログラミングや統計学の基礎、データの可視化や解釈の能力は、今後の教育カリキュラムにおいて重要な位置を占めるでしょう。
一方で、データサイエンスの発展に伴う課題も存在します。データのプライバシーや倫理的問題、偏ったデータによるバイアスのリスク、そしてデータの扱いに関する法的・社会的な規制の整備などです。これらの課題に対して、教育現場では倫理教育や法的知識の習得を促す必要があります。また、AIや自動化の進展により、従来の仕事やスキルのあり方も変化しており、柔軟な思考や継続的な学習能力を育む教育の重要性も増しています。
未来の教育は、単なる知識の伝達だけでなく、データを活用した問題解決能力や倫理観を育むことが求められます。これにより、学生は変化の激しい社会に適応し、自らの意思で情報を判断し、行動できる市民へと成長していきます。したがって、教育者は、データサイエンスの未来を見据えた教育プログラムの開発と実践を進める必要があります。これらの取り組みは、社会全体のデータリテラシー向上と、持続可能な発展に寄与するものと期待されます。
3.課題
① データサイエンスの未来において、社会や産業界で期待される役割と、その教育的意義について述べなさい。
② 今後の教育現場において、データリテラシー教育を推進するために必要な取り組みや内容について具体的に述べなさい。
③ データサイエンスの発展に伴う倫理的・社会的課題を挙げ、それに対して教育現場でどのような対策や教育内容を取り入れるべきか、あなたの考えを述べなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
提出文書様式
1.テキスト(様式)(Word版)
2.プレゼン様式(例)(pptx版)
3.動画の作成(各講20分程度)
動画作成の方法について
資料映像
【公開講座】学校DX戦略コーディネータ概論【Ⅲ】~ 未来を創る教育設計:カリキュラム開発の新しい視点 ~ 【構想中】
【概 要】
カリキュラム開発の理論と実践は、教育における目標達成のために必要な学習内容、教育方法、評価方法を体系的に設計・実行するプロセスです。理論的には、カリキュラム開発は学習者中心のアプローチを重視し、学習の目的や成果を明確に定義します。加えて、学習者のニーズ、社会的・文化的背景、教育政策を考慮した柔軟で効果的なデザインが求められます。実践的な側面では、カリキュラムを教室で実際に運用し、評価を通じてその効果を確認し、改善を行うことが重要です。
カリキュラム開発のポイントは、学習者の多様性に対応すること、学びの過程が段階的に進行すること、そして、評価とフィードバックを取り入れた反復的な改善が必要であることです。さらに、現代の教育では、テクノロジーやグローバルな視点、持続可能な教育など、最新のアプローチを取り入れることが求められています。これにより、学習者は知識だけでなく、実践的なスキルや問題解決能力を身につけることができます。カリキュラム開発は、単なる知識伝達にとどまらず、学習者を未来に向けて準備させる重要な役割を果たします。
【学修到達目標】
1.学習者中心のカリキュラム設計ができる
※学習者のニーズ、興味、能力に基づいて、効果的な学習目標と内容を設定し、カリキュラムを設計できる。
2.カリキュラム開発における評価手法を理解し、実践できる
※カリキュラムの評価方法を選定し、実施して、その成果を分析し、改善のためのフィードバックを提供できる。
3.多様な教育手法や学習スタイルを取り入れたカリキュラムを作成できる
※さまざまな学習者に対応した教育方法(例:協働学習、プロジェクトベース学習、反転授業)を取り入れたカリキュラムを設計できる。
4.最新の教育技術をカリキュラムに組み込み、効果的に活用できる
※テクノロジーやデジタルツールを活用したカリキュラムを開発し、学習者にとって効果的な学習環境を提供できる。
5.カリキュラムの改善と適応を行い、持続的に最適化できる
※実施したカリキュラムを評価し、学習者の成果やフィードバックを基にカリキュラムを柔軟に修正・改善できる。
第1講 カリキュラムの定義と重要性(仮題)
森下 孟(信州大学学術研究院教育学系・准教授)
1.学修到達目標
① カリキュラムの基本的な構成要素(学習目標、教材、指導方法、評価基準など)を明確に説明し、それぞれの役割を理解することができる。
② カリキュラムが教育の一貫性やインクルーシブな環境の促進にどのように寄与するかを具体的な事例を挙げて論じることができる。
③ 自校のカリキュラムを分析し、学習者の多様なニーズに応じた改善点を特定し、具体的な提案を行うことができる。
2.内容
カリキュラムとは、教育機関において提供される教育内容や学習活動の体系的な計画を指します。具体的には、学習目標、教材、指導方法、評価基準などが含まれ、教育の質を高めるための枠組みを提供します。カリキュラムは、教育の目的を達成するための道筋を示すものであり、学習者が必要な知識やスキルを身につけるための基盤となります。
カリキュラムの重要性は多岐にわたります。まず、教育の一貫性を確保する役割があります。明確なカリキュラムが存在することで、教育者は同じ目標に向かって指導を行うことができ、学習者も自分の学びの進捗を把握しやすくなります。また、カリキュラムは学習者の多様なニーズに応じた内容を提供することで、インクルーシブな教育環境を促進します。これにより、すべての学習者が平等に学ぶ機会を得ることができます。
さらに、カリキュラムは教育の質を向上させるための重要な要素です。適切に設計されたカリキュラムは、学習者の興味を引き出し、主体的な学びを促進します。また、評価方法を組み込むことで、学習成果を測定し、必要に応じて改善を図ることが可能です。このように、カリキュラムは教育の根幹を成すものであり、教育機関の使命を果たすために不可欠な要素です。
3.課題
① 特定の教育機関のカリキュラムを選定し、その構成要素や教育目標、教材、指導方法、評価基準を分析するレポートを作成する。
※この課題を通じて、カリキュラムの実際の運用状況を理解し、改善点を見出す能力を養う。
② 特定の学習者グループ(例:異なる年齢層や特別支援が必要な学習者)に対応したカリキュラム案を設計し、その目的や内容、指導方法、評価方法を詳細に記述する。
※この課題を通じて、学習者の多様なニーズに応じたカリキュラムの重要性を実践的に学ぶ。
③ 自校のカリキュラムに対する改善提案をまとめ、プレゼンテーション形式で発表する。提案には、具体的な改善点やその理由、期待される効果を含める。
※この課題を通じて、受講者はコミュニケーション能力や説得力を高めるとともに、実践的な改善策を考える力を養う。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第2講 カリキュラム開発の歴史(仮題)
1.学修到達目標
① 古代から現代に至るまでのカリキュラム開発の歴史的変遷を理解し、主要な教育思想や改革の影響を具体的に説明することができる。
② 特定の時代や教育思想に基づくカリキュラムの特徴を分析し、それがどのように学習者のニーズや社会の要求に応じて変化してきたかを論じることができる。
③ カリキュラム開発の歴史を踏まえ、現代の教育課題や社会的ニーズに応じた未来のカリキュラムの改善点や新たな提案を具体的に示すことができる。
2.内容
カリキュラム開発の歴史は、教育の進化と密接に関連しています。古代ギリシャやローマでは、教育は主に哲学や倫理、文学を中心に行われ、知識の伝承が重視されていました。中世には、キリスト教の影響を受けた教育が広まり、神学や哲学がカリキュラムの中心となりました。この時期、大学が設立され、学問の体系化が進みました。
近代に入ると、教育の目的や方法が大きく変化しました。18世紀の啓蒙思想家たち、特にルソーは、子どもの自然な成長を重視し、学習者中心の教育の重要性を提唱しました。19世紀には、教育制度が整備され、国家による教育の普及が進みました。この時期、カリキュラムはより体系的に設計され、科目の分化が進みました。
20世紀に入ると、教育心理学や社会学の発展により、学習者の特性や社会的背景を考慮したカリキュラム開発が求められるようになりました。特に、ジョン・デューイは「経験に基づく学習」を提唱し、実践的な学びの重要性を強調しました。また、1960年代から70年代にかけては、教育改革運動が盛んになり、カリキュラムの柔軟性や多様性が重視されるようになりました。
現在では、テクノロジーの進化やグローバル化に伴い、カリキュラム開発はますます複雑化しています。学習者の多様性に対応するためのインクルーシブ教育や、持続可能な開発目標(SDGs)に基づく教育が求められるなど、カリキュラムは常に進化し続けています。このように、カリキュラム開発の歴史は、教育の目的や方法の変遷を反映した重要なプロセスであると言えます。教育の変化に応じて、カリキュラムは単なる知識の伝達にとどまらず、学習者の批判的思考や問題解決能力、協働性を育むことを目指すようになりました。
また、21世紀に入ると、情報化社会の進展に伴い、デジタルリテラシーや情報活用能力が重視されるようになりました。これにより、カリキュラムにはテクノロジーを活用した学習方法や、オンライン教育の要素が組み込まれるようになっています。さらに、国際的な視点を取り入れた教育が求められる中で、異文化理解やグローバルな問題への対応もカリキュラムの重要な要素となっています。
このように、カリキュラム開発の歴史は、教育の目的や社会のニーズに応じて変化し続けており、今後も新たな課題や技術の進展に対応した柔軟なカリキュラムが求められるでしょう。教育者は、これらの歴史的背景を理解し、未来の教育に向けた効果的なカリキュラムを設計することが重要です。
3.課題
① 特定の時代(例:古代ギリシャ、中世、近代など)のカリキュラムを選び、その特徴や教育思想、社会的背景を分析したレポートを作成する。
※この課題を通じて、カリキュラムの歴史的変遷を理解し、教育の目的や方法の変化を考察する。
② 特定の教育思想家(例:ジョン・デューイ、ルソーなど)を選び、その思想がカリキュラム開発に与えた影響について研究し、プレゼンテーション形式で発表する。
※この課題を通じて、教育思想が実際のカリキュラムにどのように反映されているかを探求する。
③ カリキュラム開発の歴史を踏まえ、現代の教育課題や社会的ニーズに応じた未来のカリキュラムの改善点や新たな提案をまとめた提案書を作成する。
※この課題を通じて、受講者は歴史的な視点を持ちながら、実践的な解決策を考える力を養う。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第3講 教育理論とカリキュラム(仮題)
田中康平(教育ICTデザイナー)
1.学修到達目標
① 主要な教育理論(行動主義、認知主義、構成主義など)を理解し、それぞれの理論の特徴や学習に対するアプローチを具体的に説明できる。
② 特定の教育理論に基づいて、学習者のニーズや社会的要求を考慮したカリキュラムを設計し、その内容や指導方法を具体的に示すことができる。
③ 教育理論がカリキュラムにどのように影響を与えるかを分析し、具体的な事例を挙げてその関連性を論じることができる。
2.内容
教育理論とカリキュラムは、教育の質を向上させるために密接に関連しています。教育理論は、学習者がどのように学び、知識を獲得するかを理解するための枠組みを提供します。代表的な教育理論には、行動主義、認知主義、構成主義などがあります。行動主義は、外的刺激に対する反応を重視し、学習を行動の変化として捉えます。一方、認知主義は、学習者の内部プロセスや思考過程に焦点を当て、知識の構築を重視します。構成主義は、学習者が自らの経験を通じて知識を構築することを強調し、協働学習や探究学習の重要性を訴えます。
カリキュラムは、教育理論に基づいて設計され、教育の目的や内容、指導方法、評価基準を体系的にまとめたものです。カリキュラムは、教育の目標を達成するための具体的な手段であり、学習者のニーズや社会の要求に応じて柔軟に変化する必要があります。例えば、構成主義に基づくカリキュラムでは、プロジェクトベースの学習や問題解決型のアプローチが取り入れられ、学習者が主体的に学ぶ環境が整えられます。
教育理論とカリキュラムの関係は、教育の質を高めるために不可欠です。理論に基づいたカリキュラムの設計は、学習者の理解を深め、実践的なスキルを育むことに寄与します。したがって、教育者は教育理論を理解し、それをカリキュラムに反映させることが重要です。これにより、より効果的な教育が実現されるでしょう。
3.課題
① 行動主義、認知主義、構成主義などの主要な教育理論を比較し、それぞれの理論の特徴、利点、限界について分析したレポートを作成する。
※この課題を通じて、教育理論の多様性とその教育実践への影響を理解する。
② 特定の教育理論に基づいて、特定の学年や教科に適したカリキュラムを設計するプロジェクトを行う。具体的には、学習目標、内容、指導方法、評価方法を含むカリキュラム案を作成し、プレゼンテーションを行う。
※この課題を通じて、理論を実践に応用する能力を養う。
③ 特定の教育理論がどのようにカリキュラムに影響を与えているかを研究し、その結果を発表する。
※この課題では、具体的な事例を挙げて理論と実践の関連性を論じることが求められる。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第4講 学習者中心のカリキュラムデザイン(仮題)
木田 博(鹿児島市教育委員会・教育DX担当部長)
1.学修到達目標
① 特定の学習者グループのニーズや興味を調査し、その結果を基に学習者中心のカリキュラムを設計するための分析レポートを作成できる。
② 学習者中心のアプローチに基づいて、具体的な学習目標、活動、評価方法を含むカリキュラム案を作成し、プレゼンテーションを通じてその意図や効果を説明できる。
③ 実際の授業や学習活動に対してフィードバックを行い、その結果を基にカリキュラムの改善点を提案することができる。
2.内容
学習者中心のカリキュラムデザインは、教育の現場において学習者のニーズや興味を重視し、彼らが主体的に学ぶことを促進するアプローチです。このデザインは、従来の教員中心の教育からの転換を図り、学習者が自らの学びに対して責任を持つことを目指します。
このアプローチでは、学習者の背景、経験、興味を考慮し、個々の学習スタイルに応じた柔軟なカリキュラムが求められます。具体的には、プロジェクトベースの学習や探究学習、協働学習などが取り入れられ、学習者が実際の問題に取り組むことで、知識を深めることができます。また、フィードバックや自己評価を通じて、学習者は自分の進捗を把握し、次のステップを考える力を養います。
さらに、学習者中心のカリキュラムデザインでは、教員の役割も変化します。教員は知識の伝達者からファシリテーターへとシフトし、学習者が自らの学びを深めるためのサポートを行います。これにより、学習者は自分のペースで学び、興味を持ったテーマに対して深く探求することが可能になります。
このように、学習者中心のカリキュラムデザインは、学習者の主体性を尊重し、彼らが自らの学びをコントロールできる環境を提供することで、より効果的な学習を促進します。結果として、学習者は知識を単に受け取るのではなく、実際に活用し、応用する力を身につけることが期待されます。
3.課題
① 特定の学習者グループ(例:特定の年齢層や学習スタイルを持つグループ)を対象に、ニーズや興味を調査し、その結果を分析したレポートを作成する。
※この課題を通じて、学習者の特性を理解し、カリキュラム設計に活かす能力を養う。
② 学習者中心のアプローチに基づいて、特定の教科やテーマに関するカリキュラム案を作成する。具体的には、学習目標、活動内容、評価方法を含む詳細なプランを作成し、クラス内で発表する。
※この課題を通じて、実践的なカリキュラムデザインのスキルを身につける。
③ 自ら設計したカリキュラムを実際に授業で実施し、その後、学習者からのフィードバックを収集・分析する。さらに、その結果を基にカリキュラムの改善点を提案するレポートを作成する。
※この課題を通じて、実践的な授業運営能力と改善提案のスキルを高める。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第5講 目標設定と学習成果(仮題)
久世 均(岐阜女子大学・教授)
1.学修到達目標
① 特定の学習テーマに基づいて、SMART基準に従った具体的な学習目標を3つ以上設定し、その目標がどのように学習成果に結びつくかを説明できる。
② 設定した学習目標に対して適切な評価方法(定量的および定性的)を提案し、それぞれの評価方法がどのように学習成果を測定するかを具体的に示すことができる。
③ 自己評価や他者からのフィードバックを基に、自らの学習成果を分析し、次の学びに向けた改善計画を作成することができる。
2.内容
目標設定と学習成果は、教育において重要な要素であり、学習者の成長を促進するための基盤となります。目標設定は、学習者が達成すべき具体的な成果を明確にするプロセスであり、SMART(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)基準に基づくことが推奨されます。具体的な目標を設定することで、学習者は自分の進捗を把握しやすくなり、モチベーションを高めることができます。
学習成果は、設定した目標に対する達成度を示すものであり、学習者がどの程度の知識やスキルを習得したかを評価する指標となります。学習成果は、定量的な評価(テストや課題の点数)だけでなく、定性的な評価(自己評価やフィードバック)も含まれます。これにより、学習者は自分の強みや改善点を理解し、次の学びに活かすことができます。
さらに、目標設定と学習成果は、教育者にとっても重要です。教育者は、学習者の目標達成を支援するために、適切な指導方法や評価方法を選択する必要があります。また、学習成果を分析することで、カリキュラムや指導法の改善点を見つけ出し、教育の質を向上させることができます。
このように、目標設定と学習成果は、学習者の成長を促進し、教育の質を向上させるための重要な要素であり、相互に関連し合っています。学習者が自らの目標を意識し、成果を評価することで、より効果的な学びが実現されるのです。
3.課題
① 特定の学習テーマやプロジェクトに基づいて、SMART基準に従った具体的な学習目標を3つ以上設定し、その目標がどのように学習成果に結びつくかを説明するレポートを作成する。
※この課題を通じて、効果的な目標設定のスキルを養う。
② 設定した学習目標に対して適切な評価方法を設計し、定量的および定性的な評価基準を含む評価計画を作成する。
※この課題では、評価方法が学習成果をどのように測定するかを具体的に示し、実践的な評価スキルを身につける。
③ 自己評価や他者からのフィードバックを基に、自らの学習成果を分析し、次の学びに向けた改善計画を作成する。
※この課題を通じて、フィードバックの重要性を理解し、自己改善のための具体的なアクションプランを策定する能力を高める。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第6講 内容の選定と組織化(仮題)
今井亜湖(岐阜大学教育学部・教授)
1.学修到達目標
① 特定の学習者グループに対してニーズ分析を行い、その結果に基づいて適切な学習内容を選定することができる。具体的には、学習者の背景や興味を考慮し、関連性のある教材やトピックを3つ以上提案する。
② 選定した学習内容を論理的に組織化し、テーマやトピックを階層的に整理したカリキュラムマップを作成することができる。このマップには、各トピックの関連性や学習の進行順序を明示する。
③ 異なる学習スタイルに対応するために、選定した内容に基づいて複数の教授法や教材を提案し、それぞれのアプローチがどのように学習者の理解を促進するかを説明することができる。
2.内容
内容の選定と組織化は、効果的な教育プログラムやカリキュラムを構築するための重要なプロセスです。まず、内容の選定では、学習者のニーズ、興味、背景に基づいて、教えるべき知識やスキルを明確にすることが求められます。これには、教育目標や学習成果を考慮し、関連性の高い情報や教材を選ぶことが含まれます。選定された内容は、学習者が実生活や将来のキャリアに役立てることができるように、実践的で意味のあるものであるべきです。
次に、内容の組織化は、選定した情報を効果的に構造化し、学習者が理解しやすい形で提示するプロセスです。これには、テーマやトピックを論理的に整理し、関連性のある内容をグループ化することが含まれます。例えば、概念を階層的に整理したり、前提知識から新しい知識へと段階的に進むように構成したりすることが考えられます。また、視覚的な要素(図表やマインドマップなど)を活用することで、学習者の理解を深めることができます。
さらに、内容の選定と組織化は、学習者の多様な学習スタイルやペースに対応するためにも重要です。異なるアプローチや教材を用いることで、すべての学習者が効果的に学べる環境を整えることができます。このように、内容の選定と組織化は、教育の質を向上させ、学習者の成果を最大化するための基盤となるのです。
3.課題
① 特定の学習者グループ(例:学生、社会人、特定の職業群など)に対してニーズ分析を行い、その結果をまとめたレポートを作成する。
※このレポートには、学習者の背景、興味、必要なスキルを明示し、それに基づいて選定した学習内容を提案する。
② 選定した学習内容を基に、論理的に組織化されたカリキュラムマップを作成する。
※このマップには、各トピックの関連性や学習の進行順序を示し、学習者がどのように知識を段階的に習得できるかを明示する。
③ 選定した内容に基づいて、異なる学習スタイルに対応するための複数の教授法や教材を提案し、それぞれのアプローチが学習者の理解をどのように促進するかを説明するプレゼンテーションを作成する。
※この課題を通じて、受講者は多様な学習者に対する配慮を学ぶ。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第7講 教育方法と戦略(仮題)
林 一真(岐阜聖徳学園大学・講師)
1.学修到達目標
① 異なる教育方法(講義、ディスカッション、グループワークなど)を用いて、特定の学習内容を教えるための授業計画を作成し、実際に模擬授業を行うことができる。これにより、各方法の効果を実践的に理解する。
② 特定の学習者グループに対して、個別指導や協同学習、反転授業などの教育戦略を組み合わせた学習プランを設計し、そのプランがどのように学習者のニーズに応えるかを説明することができる。
③ 選定した教育方法と戦略に基づいて実施した授業の効果を評価し、学習者からのフィードバックを収集して分析し、その結果をもとに次回の授業改善点を提案することができる。
2.内容
教育方法と戦略は、効果的な学習を促進するための重要な要素です。教育方法は、教師が学習者に知識やスキルを伝えるために用いる具体的な手法や技術を指します。一方、教育戦略は、教育目標を達成するための全体的な計画やアプローチを意味します。これらは、学習者の特性やニーズに応じて柔軟に選択されるべきです。
教育方法には、講義、ディスカッション、グループワーク、プロジェクトベース学習、実践的な演習など、さまざまな形式があります。例えば、講義は情報を一方的に伝える方法ですが、ディスカッションやグループワークは学習者同士の相互作用を促進し、深い理解を得るために効果的です。また、プロジェクトベース学習は、実際の問題解決を通じて学ぶことができ、学習者の主体性を高めることができます。
教育戦略には、個別指導、協同学習、反転授業、アクティブラーニングなどがあります。個別指導は、学習者のペースや理解度に応じた指導を行う方法であり、協同学習は、学習者同士が協力して学ぶことで、社会的スキルやコミュニケーション能力を育むことができます。反転授業は、事前に学習内容を自宅で学び、授業ではその内容を深める活動を行うスタイルです。
これらの教育方法と戦略を組み合わせることで、学習者の多様なニーズに応じた効果的な学習環境を構築することが可能となります。教育者は、これらの手法を適切に選択し、実践することで、学習者の理解を深め、学びの成果を最大化することが期待されます。
3.課題
① 選定した教育方法(例:講義、ディスカッション、グループワークなど)を用いて、特定の学習内容に基づく模擬授業を実施する。
※この授業では、学習者の反応や理解度を観察し、授業の進行や方法の効果を評価する。
② 特定の学習者グループ(例:年齢、背景、学習スタイルなど)に応じた教育戦略を組み合わせた学習プランを作成する。
※このプランには、具体的な目標、使用する教育方法、評価方法を含め、どのように学習者のニーズに応えるかを説明する。
③ 模擬授業や実際の授業を通じて得たフィードバックを基に、授業の効果を評価するレポートを作成する。
※このレポートには、授業の強みや改善点、次回の授業に向けた具体的な提案を含める。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第8講 学習評価とフィードバックの重要性(仮題)
森下 孟(信州大学学術研究院教育学系・准教授)
1.学修到達目標
① 学習者の評価結果を基に、自らの授業計画を調整できる。
② 具体的かつ建設的なフィードバックを学習者に提供できる。
③ カリキュラムの改善に向けた評価とフィードバックの活用方法を理解し、実践できる。
2.内容
「学修評価とフィードバックの重要性」は、カリキュラム開発において欠かせない要素です。まず、評価は学習の進捗や成果を測る手段として、学習者がどの程度目標を達成したかを明確にします。評価結果は、カリキュラムが効果的かどうかを判断するための指標となり、学習の質を向上させるための重要な情報源です。教師は、評価を通じて学習者の理解度や課題を把握し、次の授業に反映させることができます。
また、フィードバックは学習者が自分の強みや改善点を理解し、成長するための道しるべとなります。効果的なフィードバックは、具体的かつ建設的である必要があります。学習者がどの部分で間違えたか、どのように改善すべきかを明確に伝えることで、次の学びへと繋げることができます。ポジティブなフィードバックは学習者のモチベーションを高め、改善点を指摘するフィードバックは学びを深めます。
学習評価とフィードバックは、カリキュラムの改善にも繋がります。教師は学習者からのフィードバックを元に授業内容や方法を見直し、効果的なカリキュラムに進化させることができます。このように、評価とフィードバックは学習者の成長を促進し、カリキュラムの質を高めるために重要な役割を果たします。
3.課題
① 学習者の進捗や成果をどのように評価するかを検討し、個々の学習スタイルやニーズに適した評価方法を提案する。
※課題では、異なる評価方法(例えば、自己評価、ピアレビュー、定期的なテストなど)の適用例を示し、それぞれの利点と課題を分析する。
② 学習者に対して、具体的で建設的なフィードバックをどのように提供するかについて検討する。
※この課題では、フィードバックを与える際に注意すべきポイント(タイミング、表現方法、具体性など)を考え、実際に自分の授業でフィードバックを提供する方法を計画する。
③ 学習者の評価結果を反映させ、どのようにカリキュラムを改善するかを考える。
※この課題では、過去の授業での評価データを基に、カリキュラムの改善案を立案し、その改善が学習者の学びにどのように影響を与えるかを示す。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第9講 インクルーシブ教育とカリキュラム
太田容次(京都ノートルダム女子大学・准教授)
1.学修到達目標
① 学習者の多様なニーズを理解し、適切な支援方法をカリキュラムに組み込むことができる。
② 異なる学習者に合わせた教材や評価方法を選定し、実践できる。
③ インクルーシブ教育を実現するための協力体制を構築し、教師と他の教育スタッフとの連携を促進できる。
2.内容
インクルーシブ教育とは、すべての学習者がその個別のニーズに応じて教育を受けることができる環境を提供する教育理念です。カリキュラム開発においてインクルーシブ教育を取り入れることは、学習者の多様性を尊重し、全員に平等な学びの機会を提供することを意味します。この理念を反映させるためには、障害を持つ学習者や特別な支援が必要な学習者、異なる文化的背景を持つ学習者を含む多様なニーズに対応したカリキュラム設計が求められます。
インクルーシブ教育に基づくカリキュラム開発では、学習者の能力やペースに応じた柔軟な指導方法や教材の選定が重要です。例えば、視覚や聴覚に障害がある学習者のために、視覚支援ツールや聴覚支援機器を活用した教材を作成することが挙げられます。また、教師は学習者一人一人の個別のニーズを把握し、柔軟な評価方法を採用する必要があります。
インクルーシブ教育を実現するためには、教育の場全体で協力と理解を深め、学習者が自分のペースで学び、成功体験を積み重ねられる環境を作ることが重要です。これにより、すべての学習者が平等に学びの機会を得られ、学びの質が向上します。
3.課題
① 学習者の個別ニーズに対応するため、インクルーシブ教育の理念に基づいたカリキュラム設計を行い、その中でどのように障害や特別な支援が必要な学習者に対応するかを計画する。
※具体的な支援方法や教材、活動案を提案し、実施可能なプランを作成する。
② インクルーシブ教育を実現するために、視覚支援や聴覚支援、身体的な障害を持つ学習者を対象とした教材を作成する。
※例えば、視覚障害を持つ学習者に向けた教材や、聴覚障害のある学習者のための支援ツールを提案し、それぞれに対する具体的な工夫を盛り込むこと。
③ インクルーシブ教育を効果的に実施するために、教師や支援スタッフとの協力体制をどう構築するかについて具体的なアイデアを考え、チームでの連携方法や情報共有の仕組みを設計する。
※協力体制を強化するための具体的なステップや活動内容を提案し、実践可能な方法を示すこと。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第10講 テクノロジーの活用(仮題)
田中康平(教育ICTデザイナー)
1.学修到達目標
① 学習者のニーズに応じて、適切な教育テクノロジーツールを選定し、カリキュラムに組み込むことができる。
② インタラクティブコンテンツやゲームベース学習をカリキュラムに統合し、学習者のモチベーションを向上させることができる。
③ テクノロジーを活用した学習の成果を適切に評価し、フィードバックを提供することができる。
2.内容
テクノロジーの活用は、現代のカリキュラム開発において重要な要素となっています。教育におけるテクノロジーの利用は、学習者に対してより効果的かつ個別化された学習体験を提供し、教師の指導方法を革新する可能性を持っています。例えば、オンラインプラットフォームや教育用アプリケーションを活用することで、学習者は自分のペースで学びを進めることができ、必要に応じて即時のフィードバックを得ることができます。また、インタラクティブなコンテンツやシミュレーション、ゲームベース学習などを取り入れることで、学習者の興味を引き、深い理解を促進することができます。
さらに、テクノロジーは教育のアクセシビリティを向上させ、すべての学習者に平等な学びの機会を提供します。特別支援が必要な学習者に対して、音声認識ソフトやスクリーンリーダーなどの支援技術を活用することで、学びのバリアを取り除くことができます。
カリキュラム開発においてテクノロジーを活用するには、教師が新しいツールや技術を適切に選び、効果的に取り入れることが求められます。また、テクノロジーを活用する際には、学習目標を達成するためにツールをどのように活かすかを計画し、評価方法を再設計する必要があります。これにより、学習の質が向上し、学習者一人一人に適した教育が実現できます。
3.課題
① 異なる学習目標に対応するために、オンラインプラットフォーム、教育アプリケーション、シミュレーションツールなどのテクノロジーを選定する。それぞれのツールが学習者に与える影響を評価し、どのようにカリキュラムに組み込むかを具体的に説明しなさい。
② 学習者の興味を引き、効果的な学びを促進するインタラクティブな教材(例えば、ゲームベース学習、シミュレーション)を設計しなさい。
※その設計において、学習者が主体的に学ぶための具体的な活動や、テクノロジーを活用した学習活動の流れを考案すること。
③ テクノロジーを使用して学習者の進捗や成果をどのように評価するかについて計画を立てる。
※具体的には、リアルタイムで進捗を評価する方法や、自動化されたフィードバックシステムを活用した評価方法を提案し、その利点と課題を考察すること。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第11講 プロジェクトベースの学習(仮題)
成瀬喜則(富山大学・名誉教授・学長特命補佐)
1.学修到達目標
① 実際の課題に対してチームで協力し、問題解決のためのプロジェクトを企画・実行できる。
② 調査結果やアイデアを論理的に整理し、効果的にプレゼンテーションを行うことができる。
③ 他者と協力しながらフィードバックを受け入れ、プロジェクトの改善に反映させることができる。
2.内容
プロジェクトベースの学習(PBL)は、学習者が実際の課題や問題に取り組む中で知識やスキルを習得する教育方法です。このアプローチでは、学習者がグループで協力しながらプロジェクトを計画、実行、評価することを通じて、学びを深めます。PBLは、単に知識を受動的に習得するのではなく、実践的な経験を通じて学び、問題解決能力や批判的思考力、協力性を育むことが目的です。
PBLでは、リアルな社会問題や学問的なテーマを課題として設定し、学習者がそれに対する解決策を考え、実行する過程が重視されます。この過程で、学習者はリサーチ、議論、プレゼンテーションなどを行い、最終的には成果物(レポートやプロトタイプなど)を発表します。教員はファシリテーターとして、学習者が自主的に問題解決に取り組むためのサポートを行います。
このアプローチは、学習者が主体的に学び、協力的な学習環境を作るため、深い理解と実践的なスキルを養うのに非常に効果的です。また、学習者が学んだ知識を実際の状況に適用することで、学びの意味や目的を実感しやすくなります。PBLは、21世紀の教育において重要な役割を果たす学習方法の一つとされています。
3.課題
① 現在の社会問題(例:環境問題、貧困、教育格差など)に対して、グループで解決策を提案するプロジェクトを企画する。
※プロジェクトの目的、方法、必要なリソース、期待される成果を具体的に計画し、最終的にどのようにその解決策を実行するかを説明すること。
② 自分たちのプロジェクトに関連するテーマについて調査を行い、その結果を基にプレゼンテーション資料を作成する。
※資料には、調査の方法、得られた結果、解決策の提案、そしてその意義について分かりやすくまとめ、発表準備を行うこと。
③ プロジェクトの途中で得られたフィードバックを受けて、どのように改善点を取り入れ、プロジェクトの進行を最適化するかを考え、その具体的な改善提案を作成する。
※フィードバックに基づいた課題解決のプロセスと、チーム内での協力方法についても検討すること。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第12講 カリキュラムの評価と改善(仮題)
齋藤陽子(岐阜女子大学・准教授)
1.学修到達目標
① カリキュラム評価の結果を分析し、改善のための具体的な提案を行うことができる。
② 複数の評価方法(テスト、自己評価、フィードバックなど)を活用して、学習者の進捗を効果的に把握することができる。
③ 教師と学習者のフィードバックをもとに、カリキュラムの内容や指導方法を柔軟に修正・改善することができる。
2.内容
カリキュラムの評価と改善は、教育の質を向上させるために不可欠なプロセスです。カリキュラム評価は、学習目標がどれだけ達成されているかを確認するために行われます。これには、学習者の成果や進捗を測るための定期的なテストや、教師からのフィードバックを活用した評価方法が含まれます。また、学習者の理解度や授業の効果を反映させるために、自己評価やピアレビューなどの多角的な評価が重要です。
カリキュラム改善は、評価結果をもとに行われます。評価結果が示す課題や不足点を特定し、これを反映させるためにカリキュラム内容、教材、指導方法などを見直します。改善のプロセスには、教師や学習者の意見を取り入れることが効果的であり、教育の現場で何がうまく機能し、何が改善が必要かを明確にすることが求められます。
カリキュラムの改善は一度きりの作業ではなく、継続的に行われるべきです。新しい教育技術や学習方法が登場する中で、カリキュラムは常に適応・進化する必要があります。これにより、学習者にとって最適な学びの環境を提供することができ、教育効果を最大化することが可能になります。
3.課題
① あなたの授業で使用しているカリキュラムに対して、過去の評価結果(学習者の成績やフィードバック)をもとに、改善すべき点を挙げ、具体的な改善策を提案する。
※例えば、指導方法や教材の変更、学習目標の修正など、どの部分をどのように改善するかを説明すること。
② カリキュラム評価のために、複数の評価方法(例:定期テスト、自己評価、ピアレビュー、フィードバック)を導入する方法を考え、その実施方法とそれぞれの評価方法が学習者の進捗に与える影響について分析する。
※どの評価方法がどのように学習者の理解を深め、学びを促進するのかについて具体的に説明すること。
③ 学習者および教師からのフィードバックを受けて、カリキュラムのどの部分を修正すべきかを考え、改善案を作成する。
※フィードバックの内容に基づき、教材や指導方法、学習目標をどう変更するかを具体的に説明し、改善後の効果について予測すること。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第13講 学力調査とCBT(仮題)
1.学修到達目標
① 従来の紙媒体のテスト(PBT)と比較し、CBTの利点・欠点、そして問題形式の多様化や即時フィードバック等がもたらす教育的な可能性を体系的に説明できる。国の政策動向を理解し、自校の教育活動に与える影響を多角的に分析できる。
② CBTによって得られる多様なデータ(解答時間、操作ログ、解答の軌跡など)の意味を理解し、児童生徒一人ひとりの認知プロセスやつまずきの特徴を多角的に分析できる。その分析結果に基づき、個別最適な指導や授業改善に繋げるための具体的な方策を立案できる。
③ 自校においてCBTを円滑に導入・実施するための環境整備、トラブル対応、教職員への支援計画を策定できる。また、個人情報保護などのデータ倫理を踏まえ、データに基づく教育実践を学校の文化として定着させるための組織的なアプローチを主導できる。
2.内容
1.CBTの基礎と教育の変革
CBTとは何かを、従来のPBTとの比較から学びます。単なる「コンピュータで受けるテスト」ではなく、動画・音声問題、シミュレーション、作図など、これまで測定が難しかった思考力・表現力を問う問題形式が可能になる点を理解します。また、個人の習熟度に応じて出題内容が変わる「アダプティブ・テスト」の仕組みと、個別最適な学びへの応用可能性についても学びます。MEXCBT(メクビット)に代表される国のCBTシステムの動向と、今後の展望を概観します。
2.CBTが拓くデータ駆動型の指導
CBTでは、単なる正誤結果だけでなく、「どの問題にどれだけ時間をかけたか」「どの選択肢で迷ったか」「一度解答してから修正したか」といった解答プロセスに関するデータ(操作ログ)が取得できます。これらのデータの見方・分析手法の初歩を学び、児童生徒の「わかったつもり」や「つまずきの本質」を深く洞察するアプローチを探求します。分析から得た気づきを、具体的な声かけや補充学習、さらにはクラス全体の授業設計の見直しに繋げる方法を、事例を通して学びます。
3.学校におけるCBT導入とマネジメント
学校DX戦略コーディネータの視点から、CBTを学校現場へ円滑に導入するための実践的なマネジメント手法を学びます。端末やネットワーク環境の確認といった技術的側面、実施計画の策定、教職員への操作研修の企画などの運営面、そして個人情報保護や情報セキュリティといったデータ倫理の側面から、注意すべき点を網羅的に確認します。最終的には、一部の教員だけでなく、学校全体でデータを活用し、対話しながら教育改善を進める「データ活用文化」をどう醸成していくか、その組織づくりの方策を考えます。
3.課題
① 以下の手順に従い、「CBT導入に関する比較考察レポート」を作成してください。
・従来の紙媒体テスト(PBT)とCBTについて、それぞれのメリット・デメリットを「①児童生徒」「②教員」「③学校運営」の3つの視点から整理してください。
・あなたの学校の現状(児童生徒の実態、教職員のICTスキル、ネットワーク環境など)を考慮したとき、CBTを導入することで得られる「最大の教育的価値(光)」は何だと考えますか。
・逆に、導入・運用する上で「最も懸念される課題(影)」は何だと考えますか。また、その課題を乗り越えるために、コーディネータとしてどのような準備や働きかけが必要になるか、あなたの考えを述べてください。
② 配布された架空のクラスのCBT結果データ(※)を参照し、以下の問いに答えてください。
(※データには、生徒ごとの「①設問ごとの正誤」「②設問ごとの解答時間」「③解答の修正回数」が含まれるとします)
・データ全体を見て、クラスの傾向として読み取れることを記述してください。(例:「問3は正答率が低いが、多くの生徒が時間をかけて悩んでいる」など)
・以下の特徴を持つ生徒Aさんと生徒Bさんについて、データから推測されるそれぞれの学習上の特性やつまずきの状況を分析してください。
生徒A: 全体的に正答率は高いが、特定の計算問題において、他の生徒の3倍以上の解答時間がかかっている。
生徒B: 知識を問う問題は即答で正解しているが、文章題になると解答時間が短く、ケアレスミスによる誤答が目立つ。
・上記2名の生徒に対し、あなたは明日からどのような個別の声かけや学習支援を行いますか。データから読み取った仮説に基づいて、具体的な指導計画を立案してください。
③ 来年度、あなたの学校で主要教科の単元テストの一部にCBTを試験導入することを想定し、以下の項目を含む「CBT導入に向けた校内研修・合意形成プラン」を企画・提案してください。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第14講 教科の構造化とカリキュラム(仮題)
岩木美詠子(福岡市立香椎第1中学校・教頭)
1.学修到達目標
① 学習指導要領が示す資質・能力を基軸に、自校のGIGAスクール環境(1人1台端末、クラウドツール等)が、各教科の学習目標達成や探究的な学習においてどのように機能しているかを構造的に分析し、教育DX推進における現状カリキュラムの成果と課題を客観的に説明できる。
② 学校の教育目標(グランドデザイン)と接続させながら、学習支援ツールやデジタル教材、学習履歴(スタディ・ログ)の活用を前提として、教科内の個別最適な学びと教科横断的な協働学習を効果的に組み合わせた、特色ある教育カリキュラム(年間指導計画や中核単元など)を具体的に再設計できる。
③ 設計したカリキュラムを学校全体で推進するため、学習データの分析結果に基づいて指導の改善やカリキュラムの更新を行う「データ駆動型のカリキュラム・マネジメント」のサイクルを構築できる。また、その実現に向けて、教職員へのICT活用研修やデジタルでの情報共有・連携の仕組みを含めた組織的な推進計画を立案できる。
2.内容
はい、承知いたしました。先に示した学習到達目標を踏まえ、「学校DX戦略コーディネータ講座」における「教科の構造化とカリキュラム」というテーマの講座内容を以下に示します。
講座名:学校DX戦略コーディネータ講座
テーマ:教科の構造化とカリキュラム ―テクノロジーで学びをリデザインする―
本講座は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進する中核人材として、学校の教育活動の根幹であるカリキュラムを再構築し、その実現を主導できる能力の育成を目指します。理論学習と演習を組み合わせ、実践的なスキルを習得します。
【第1部】現状分析:DX時代のカリキュラムを可視化する
GIGAスクール環境が整備された今、既存のカリキュラムがどう機能しているかを客観的に分析する手法を学びます。
学習項目:
学習指導要領とDXの接続: 資質・能力の三つの柱や「主体的・対話的で深い学び」を、1人1台端末環境下でどう具体化するかを理解します。
教科の構造化とデジタルツール: 各教科の「見方・考え方」を働かせる上で、デジタルツール(協働編集ツール、シミュレーション教材、AIドリル等)がどのような役割を果たすかを分析します。
情報活用能力の育成状況の分析: 特定の教科だけでなく、教科横断的に情報活用能力が育成されているか、現状のカリキュラムマップから評価します。
演習:
自校の年間指導計画や単元計画を題材に、デジタルツールの活用状況をマッピングし、教育効果や課題を構造的に分析・考察するワークショップを行います。
【第2部】設計:テクノロジーで学びをリデザインする
分析した課題に基づき、デジタル技術の特性を最大限に活かした新しいカリキュラムを構想・設計するスキルを磨きます。
学習項目:
個別最適な学びと協働的な学びのデザイン: 学習プラットフォーム(LMS)やAI教材を活用した個別最適な学習と、クラウドツールを用いた協働的なプロジェクト学習を両立させる単元設計の手法を学びます。
学習履歴(スタディ・ログ)の活用: 学習データの基本的な見方を学び、データに基づいて児童生徒のつまずきを発見し、指導や評価に活かす方法を検討します。
ハイブリッド型学習の構想: オンライン学習と対面学習のそれぞれの利点を活かした、効果的な学習サイクルのデザインパターンを習得します。
演習:
グループワーク形式で、特定の教科・単元を選び、学習履歴の活用を前提とした新しい単元計画(単元全体のゴール、評価計画、具体的な活動を含む)を設計し、プレゼンテーションを行います。
【第3部】推進:データ駆動型カリキュラム・マネジメントの実践
設計したカリキュラムを形骸化させず、学校全体で推進し、継続的に改善していくためのマネジメント手法を学びます。
学習項目:
データ駆動型の意思決定(DDDM): 学習データやアンケート結果などの客観的な証拠(エビデンス)に基づき、カリキュラムを評価・改善するサイクル(PDCA)の回し方を学びます。
チェンジ・マネジメントと合意形成: 新しい取り組みに対する教職員の不安を解消し、前向きな協力を得るためのコミュニケーション戦略やファシリテーション技術を習得します。
持続可能な校内研修の計画: 教職員のICT活用スキルやデータリテラシーを組織的に高めていくための、効果的な研修プログラムの企画・運営方法を学びます。
演習:
第2部で設計した単元計画を自校に導入することを想定し、教職員への説明、研修、評価、改善までを含んだ1年間の「推進ロードマップ」を作成します。
3.課題
① あなたの学校で実践されているいずれかの教科・学年の年間指導計画を一つ選んでください。その上で、以下の項目を含む「自校カリキュラムDX診断レポート」を作成し、提出してください。
② 課題①で分析した中で、特にDXによる改善効果が大きいと考える単元を一つ選んでください。その単元について、以下の要素を含む「単元リデザイン案」を策定し、提出してください。
③ 課題②で設計した「単元リデザイン案」を、来年度から学年全体で実践することを想定し、以下の項目を含む「推進ロードマップ」を立案してください。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
第15講 知識の構造化とカリキュラム
益川弘如(青山学院大学・教授)
1.学修到達目標
① 知識の構造化の基本概念とその意義を理解し、教育カリキュラムにおける役割を説明できる。
② 知識の階層化や関連付けを通じて、効果的なカリキュラム設計の方法を理解し、具体的な設計例を示せる。
③ 学習者の理解度や進度に応じた知識の構造化の工夫を考え、実践的なカリキュラム開発に応用できる。
2.内容
カリキュラムの理論において、「知識の構造化」は、学習内容を体系的に整理し、学習者が効率的かつ深く理解できるように設計するための重要な要素です。知識の構造化とは、学習すべき内容を階層化し、関連性や順序性を明確にすることを指します。これにより、学習者は新しい知識を既存の理解と結びつけながら、段階的に学びを深めることが可能となります。
知識の構造化にはいくつかの方法があります。代表的なものは、「階層構造」と「ネットワーク構造」です。階層構造は、基本的な概念からより複雑な内容へと段階的に進むもので、例えば「数学の基礎→代数→関数→微積分」といった順序です。一方、ネットワーク構造は、異なる概念間の関連性を多角的に示し、横断的な理解を促します。
教育カリキュラムにおいては、知識の構造化は学習の効理的な設計においては、まず学習目標を明確にし、その達成に必要な知識やスキルを洗い出します。次に、それらを階層化し、学習者が段階的に理解を深められるように配列します。例えば、基礎的な概念から応用的な内容へと進むことで、学習者は無理なく知識を積み重ねることができます。また、知識の関連性を示すことで、学習者は異なる分野やテーマ間のつながりを理解しやすくなります。さらに、学習者の理解度や進度に応じて、柔軟に内容を調整することも重要です。これには、段階的な評価やフィードバックを取り入れることが有効です。知識の構造化は、単なる情報の羅列ではなく、学習者の理解を促進し、長期的な定着を図るための設計思想です。効果的なカリキュラム設計においては、知識の階層化と関連付けを意識し、学習者が主体的に学びを進められる環境を整えることが求められます。
3.課題
① 知識の階層化と関連付けの違いについて説明し、それぞれのメリットとデメリットを具体例を交えて述べよ。
② ある科目(例:生物学)の学習内容を階層構造で整理し、どのように段階的に学習を進める設計にするか、具体的なカリキュラム例を作成せよ。
③ 学習者の理解度や進度に応じて知識の構造化を調整する方法について、具体的な工夫や評価方法を提案せよ。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.テキスト
提出文書様式
1.学校DX戦略コーディネータ特論(Ⅲ)テキスト(様式)(Word版)
2.学校DX戦略コーディネータ特論(Ⅲ)プレゼン様式(pptx版)
3.動画の作成(各講20分程度)
動画作成の方法について
【講義】実践研究Ⅱ (2025年度)
Ⅰ はじめに
デジタルアーカイブは,さまざまな分野で必要とされる資料を記録・保存・発信・評価する重要なプロセスである.このデジタルアーカイブは,わが国の知識基盤社会を支えるものであり,デジタルアーカイブ学会でも,デジタルアーカイブ立国に向けて「デジタルアーカイブ基盤基本法(仮称)」などの法整備への政策提言を積極的に行っている.今後,知識基盤社会おいてデジタルアーカイブについて責任をもって実践できる専門職であるデジタルアーキビストが必要とされている.ここでは,デジタルアーキビストの学術的な基礎として,地域資源デジタルアーカイブに関する手法やデジタルアーカイブの課題を実践的に学ぶ.
Ⅱ 授業の目的・ねらい
・この授業は講座とスクーリングに分かれて学修する。スクーリングは、実践的にデジタルアーカイブし記録管理を体験することになる。
・事前課題と事後課題が設定されており,個別で学修する場合にも,集団で学修する場合においても学修を深めるために主体的に研究課題を考えることが重要である.
Ⅲ 授業の教育目標
本科目は講座とスクーリングにより構成されている。講座では、各地域の問題意識や課題を明確にし、デジタルアーカイブを計画する。また、実際にスクーリングでは研究計画を立て、調査をし、デジタルアーカイブする、その後記録したデータを管理し、公開するまでを学ぶ。
【事前課題】 各地域の問題意識や課題を明確にし、デジタルアーカイブを計画する
1.何を学ぶか
地域の関心領域における問題意識、課題などを取り上げ、明確化し、デジタルアーカイブの計画を立てる。明確化する過程で、資料を読み、地域に関する一定程度の知識を獲得しておく。
2.学習到達目標
① 阪神淡路大震災における問題意識や課題を明確化する。
② 地域における問題意識や課題をもとに「震災デジタルアーカイブ」を計画する。
(前期)【現地実践演習】 震災デジタルアーカイブ
1.何を学ぶか
・【事前課題】阪神淡路大震災の問題意識や課題の明確化し、震災デジタルアーカイブにふさわしい場所を選択し、計画をする。
・【現地実践演習】【事前課題】で計画した場所での震災デジタルアーカイブを実施する。
2.学習到達目標
震災デジタルアーカイブの手法を具体的に実施し、Webで公開する手法を学ぶ。
3.プログラム
授 業:「実践研究Ⅱ」(2単位)
日 程:令和7年 7月12日(土)~7月13日(日)
会 場:7月12日(土):阪神・淡路大震災記念 ー 人と防災未来センター(〒651-0073 神戸市中央区脇浜海岸通1丁目5-2 TEL(078)262-5068)
7月13日(日):神戸大学附属図書館ー震災文庫(〒657-8501 神戸市灘区六甲台町2-1 TEL(078)803-7342)
3.日 程
7月12日(土)
集合(12:30)
人と防災未来センター 西館1階 総合受付付近集合
各自で入場券(学生450円)を購入してください。
(学生証を忘れた場合は一般料金650円になります。)
阪神・淡路大震災記念 ー 人と防災未来センター(〒651-0073 神戸市中央区脇浜海岸通1丁目5-2 TEL(078)262-5068)
13:10~14:40
講 演:デジタルアーカイブと阪神・淡路大震災
講師:震災資料専門員 水谷嘉宏氏
講師:震災資料専門員 福嶋純之氏
内容概要
講演要旨:震災資料とデジタルアーカイブ
1. はじめに:阪神・淡路大震災30年事業と人と防災未来センター
講演は、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災から30年を迎える今年、兵庫県全体で推進されている**「阪神・淡路大震災30年事業」**に人と防災未来センターも参加していることから始まりました。この事業は「忘れない、伝える、生かす、備える、つなぐ」を基本コンセプトとし、県民や関係機関と連携して記念事業を展開しています。
人と防災未来センターは、阪神・淡路大震災の経験と教訓の継承、そして減災社会の実現を目的に設立されました。2002年に開館した西館では震災の被害・復旧・復興の過程や記憶の継承に関する展示を、2003年に開館した東館では自然災害全般の仕組みや避難行動体験に関する展示を行っています。展示以外にも、災害文化の形成、地域防災力の向上、防災政策の開発支援に関する調査研究など、多岐にわたる機能を担っています。その中で、講演者の福島様が所属する資料室は、資料の収集・保存という重要な機能を果たしています。
2. 震災資料の概要と資料室の活動
2.1 震災資料の定義と分類
資料室では、震災と復興に関する文書資料、映像資料、物資料などを「震災資料」と定義し、以下の2種類に大別して収集・保存しています。
一次資料: 阪神・淡路大震災当時の状況を物語る資料です。例えば、地震発生時刻で止まった時計、避難所で使われたポスター、被害の様子を撮影した写真やビデオなどがこれに当たります。これらの資料は西館での展示のほか、収蔵庫に保管され、博物館の企画展や地域の防災イベントへの貸し出しも行われています。
二次資料: 災害や防災に関する図書、雑誌、視聴覚資料、論文などを指します。阪神・淡路大震災だけでなく、東日本大震災や能登半島地震など、様々な災害に関する資料を収集しています。これらの資料は資料室内に開架されており、誰でも閲覧可能です。一部のDVDは一般への貸し出しも行っています。
2.2 震災資料の劣化と対策
震災の経験や記憶の継承が困難になっている現状として、当時の経験世代の減少や語り部の高齢化が挙げられますが、本講演では特に震災資料の劣化が取り上げられました。
震災資料には、震災による直接的なダメージが大きいものや、時間経過で劣化が進むものがあります。例えば、震災で焼けた硬貨は触ると崩れやすい状態であったり、救援物資の缶詰は中身が入ったまま保管されていると、内容物が漏れ出して錆が進行するケースがあります。資料室では、そうした劣化の進んだ資料について、中身の処分などの対策を講じています。
また、ユネスコが提唱する**「マグネティックテープの終焉」**問題も深刻です。2025年を目処に、長期保存に適さない磁気テープ自体の劣化や、再生機の生産終了により、VHSやカセットテープなどの映像・音声資料が閲覧できなくなる恐れがあります。
これらの資料劣化に対応するため、資料室では以下の活動を行っています。
震災資料の収集・保存活動: センターが所蔵する約19万点の震災資料のうち、約16万点は開館前に兵庫県や財団法人が直接調査して収集したものです。開館後は、資料室が収集事業を引き継ぎ、既存希望者からの連絡・訪問を基本として資料を収集しています。収集された資料は、温湿度管理や防虫作業などの対策を施しながら保存されています。
震災資料のデジタル化: 資料の全体が分かるように撮影したり、紙や写真資料はスキャナーを用いてJPEGデータやPDFデータとして取り込んでいます。映像・音声資料は動画ファイルや音声ファイルに変換しています。デジタル化された資料は後述のデジタルアーカイブでの公開や、二次利用の貸し出しに活用されています。
震災ビデオ変換ラボの開設: 2023年9月より、自宅で見られなくなった震災記録ビデオの視聴とデジタル化を無料で行える「震災ビデオ変換ラボ」を開設しています。利用条件は、ビデオテープが利用者またはその家族が震災当時の様子を撮影したホームビデオであること、および使用後のテープ原本または複製データをセンターに寄贈することです。VHS、8mmビデオ、MiniDVが再生可能で、現時点で18件の利用と39本の映像が寄贈されています。
3. 災害デジタルアーカイブの構築と特徴
東日本大震災を機に増加した災害デジタルアーカイブですが、その始まりは阪神・淡路大震災にあると考えられています。震災当時、携帯電話やインターネットが普及し始めた時期であり、専門知識を持たない一般の人々でもオンライン上でのコミュニケーションが容易になりました。センターでは当初から、収集した震災資料の検索・公開のためにデジタルアーカイブ化を検討し、資料室内の端末だけでなく、インターネット上でも閲覧できるシステムの構築を進めてきました。
現在、阪神・淡路大震災関連の災害デジタルアーカイブは多数存在します。講演では以下の例が挙げられました。
神戸市公開のデジタルアーカイブ: 地図上に建物の被災状況、専門家の研究記録、震災に関するモニュメントの分布などが表示されます。
朝日放送公開のデジタルアーカイブ: 朝日放送が取材した約38時間分の映像を時系列や場面で検索でき、取材場所も地図上で表示されます。
神戸大学附属図書館の震災文庫: 貯蔵している震災資料を検索できるだけでなく、包括連携協定を結んでいるサンテレビの取材映像も公開しています。
ここからは、人と防災未来センターが提供している主な3つのデジタルアーカイブが紹介されました。
3.1 情報検索システム
センターが所蔵する震災資料に関する情報を検索・閲覧できるシステムです。資料の詳細ページには、資料の名称、大きさ、寄贈者名、資料全体の写真が掲載されています。写真や映像の場合、さらにテープやマイクロフィルムといった資料形式や撮影場所も記載されています。
課題点: 震災資料のメタデータが不十分であることが挙げられます。本来廃棄されるような資料も多く、寄贈者へのヒアリングを通じて、震災体験談、資料収集経緯、日記や絵画の場合は作成理由などを付与することで、資料としての価値を高めることができます。センターは寄贈時にそうした情報も収集していますが、個人情報が含まれる場合や、寄贈者の意向で公開条件がある場合があり、どこまで公開すべきかの判断が難しい現状があります。
3.2 インターネットアーカイブ
アメリカの非営利団体が管理・運営する、ウェブページの収集保存活動やデジタルライブラリーの運営を行うサービスです。資料室では、寄贈された映像資料の中から震災の様子を撮影したホームビデオをアップロードし、撮影・記録時間、映像に映る場所などを記載しています。これらの映像は、非営利目的でクレジット表記をすることで誰でも利用可能です。情報検索システムにこの動画ページのURLを記載することで、アーカイブ同士の連携を図っています。
課題点: 公開のための編集作業や撮影場所の特定に時間がかかることが挙げられます。公開にあたっては、避難先の住所や緊急連絡先などの個人情報をモザイク処理で隠したり、デジタルアーカイブ学会が提唱する肖像権に関するガイドラインに準拠して、映像のカットや音声処理を行う必要があります。特に1時間、2時間といった長尺の映像の場合、確認箇所が多くなり、多大な時間を要します。現状では月に1点のアップロードが目安となっています。
撮影場所の特定については、映像に映る神社や道路の様子、撮影者の移動経路を分析し、当時の地図と照らし合わせて行われます。講演では、JR神戸線沿いの住宅街の映像を例に挙げ、ピンポイントでの特定がいかに難しいか、そして六甲山の稜線から大まかな角度を判断して絞り込んでいくといった難易度の高い作業についても触れられました。講演者自身が震災後に生まれた世代であり、地理に不案内な中での作業の困難さも語られました。
3.3 ウェブアーカイブ
災害対応研究会という団体が持っていたウェブページを保存したものです。この団体は災害発生後の災害について体系的な理解を確立することを目的に発足しましたが、2016年度の活動終了を機に、研究会の代表でセンター長も務める先生が2017年にこのウェブページをセンターに寄贈しました。ウェブページだけでなく、添付されている会報や記録のPDFや写真も同様に閲覧できます。
課題点: ウェブページの寄贈手続きそのものにあります。ソフトウェアの互換性、ページそのものの著作権、寄贈にかかる費用など、協議すべき内容が多いとのことです。今後センターとしては、ウェブページの寄贈受付は行わず、国立国会図書館のインターネット資料収集保存事業(WARP)や、前述のインターネットアーカイブの利用を案内する方向で検討を進めています。
4. 災害デジタルアーカイブの連携と今後の展望
人と防災未来センター資料室は、これまで紹介した様々な災害デジタルアーカイブを公開し、震災の記憶や経験の継承を図っています。また、**国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)**との連携も行っており、センターから震災資料のメタデータを提供することで、ひなぎくから資料室の情報検索システムにアクセスできるようになっています。
災害デジタルアーカイブの役割は、大きく分けて以下の2つあります。
過去の歴史災害の発生当時から復旧・復興の様子を伝えること。
地震や災害からどう身を守るかを学ぶ教訓を知ること。
資料室が持つ災害デジタルアーカイブは、センター所蔵の震災資料にアクセスしやすくするだけでなく、震災の被害や復旧・復興の過程、そこから学ぶ教訓や防災意識をダイレクトに認知してもらう機会を創出すると考えられています。
今後の災害デジタルアーカイブは、防災に関する研究のほか、学校や地域防災組織と連携した防災教育、そして災害文化の普及に貢献できると展望されています。そして、これをより推進するためには、資料室自らがデジタルアーカイブの活用を積極的に実践し、その活用事例を示す必要があると考えています。
一例として、現在1階で開催中の資料室特別展**「駅・鉄道の被害と市民生活、そして復興」**の映像展示が紹介されました。これは寄贈された震災資料の映像の中から駅や鉄道に関連するものを編集して公開上映しているもので、使用されている映像は全てインターネットアーカイブから持ってきたものであり、インターネットアーカイブで全編を視聴することができます。この取り組みは、デジタルアーカイブの具体的な活用事例として非常に分かりやすいものでした。
写真
15:00~ 自由見学:人と防災未来センター
18:00 懇親会(自由参加)
7月13日(日)
集合(10:45)
10:45集合
神戸大学「アカデミア館3階ピロティ」集合
神戸大学附属図書館ー震災文庫(〒657-8501 神戸市灘区六甲台町2-1 TEL(078)803-7342)
注意事項
・地図上では最寄り駅から歩けそうな距離ですが、かなり急な坂道です。バス等の公共交通機関をご利用ください。
駅からのバスについては以下サイトを参考にしてください。集合場所は「神大正門前」からすぐになります。神戸市バスはICOCAやSUICAは使えますが、ayucaは使えません。
https://www.kobe-u.ac.jp/ja/campus-life/general/access/rokko/#station
・当日は日曜日なので、学内の食堂・購買は全て閉店です。大学近くに食事処もありません。
お昼は、持参いただくか、駅周辺まで出ることになります。
・震災文庫のある社会科学系図書館は登録有形文化財となっていますので、ぜひご覧ください。書庫以外は自由に見学できます。
ご希望があれば、講義後に15分程度の簡単なご案内をいたします。(当日申し出ていただければ結構です)
11:00~12:30 講 演:震災資料とデジタルアーカイブ
神戸大学附属図書館ー震災文庫
講師:神戸大学附属図書館 情報管理課 電子情報グループ 守本 瞬氏
講演要旨:神戸大学附属図書館震災文庫の挑戦
1. はじめに:震災文庫の現状と講演の趣旨
講演者は、阪神・淡路大震災発生当時は被災地から離れた場所にいたものの、実家が明石市であり、震災を身近に感じた経験から話を始めました。神戸大学の震災文庫は震災発生の1995年から始まりましたが、講演者が担当になってからの3年間で深く学び、今ではその内容を皆に説明できるようになったと語りました。本講演は、震災文庫のデジタルアーカイブに焦点を当て、特にメタデータの作成や課題について解説することを目的としています。
2. 震災文庫の概要
震災文庫は、神戸大学六甲台キャンパスの社会科学系図書館内にワンフロアを使い、平日11時から17時まで開館しています。以前はもっと長い時間開館していましたが、利用者の減少に伴い現在の時間帯になりました。資料は一点ものが多いため、原則として貸し出しは行っていません。外部の利用者も閲覧可能です。
3. 震災文庫の沿革と設立理念
震災文庫は、1995年4月に資料収集を開始しました。当時、「震災関連資料を網羅的に収集している場所があるか」という問い合わせが来たことを受け、図書館として資料を集めようという動きになったのが始まりです。当初は図書や雑誌を中心に収集していましたが、それだけでは震災の実態が分からないという認識から、チラシや張り紙などあらゆる資料を集める方針に転換しました。
この方針は「阪神・淡路大震災に関する文献資料の収集・提供について」という文書に明文化されていますが、図書館規定の中に「震災文庫を置く」といった法的な根拠は存在しないとのことです。しかし、震災から30年が経過し、今さら廃止されることはないだろうとの見解も示されました。
収集された資料のリストは、1995年7月6日に**「収集速報」**としてインターネットで公開されました。当時、神戸大学や図書館自身のウェブサイトがない状況にもかかわらず、いち早く収集速報を公開したことで、多くの利用者が来館するきっかけとなりました。そして、同年10月30日には震災文庫が正式に公開され、同時に震災文庫のホームページも開設されました。
その後の主な沿革は以下の通りです。
1998年度: 図書館システムが導入され、震災文庫の検索が可能になるとともに、電子化資料の公開も開始されました。
1998年9月: 電子化のための著作権処理を開始しました。来館しないと資料の中身が分からないという状況を改善するため、著作権者の許諾を得た資料の公開に乗り出しました。
1999年度: 著作権処理が完了した資料の本文をインターネットで公開開始しました。
2003年4月: 地図上でのGIS検索機能が実装されました。
2013年3月: 国立国会図書館東日本大震災アーカイブ「ひなぎく」との連携を開始し、現在に至ります。
4. 震災文庫の3つの方針
震災文庫が95年の開設当初から掲げている3つの方針は以下の通りです。
網羅的な収集: 図書や雑誌だけでなく、チラシや張り紙など、阪神・淡路大震災に関係していれば役に立つかどうかにかかわらず、あらゆる資料を収集しています。例えば、復興事業として始まった神戸マラソンやルミナリエに関する資料も継続的に集められています。
一般公開: 当時の国立大学は関係者以外は立ち入り禁止でしたが、「一般の人に公開しないと震災文庫は意味がない」という考えから、一般公開に踏み切りました。これは国立大学としては画期的な試みであり、全国の国立大学の中でも早期の一般公開だった可能性があります。現在では、国立大学が一般公開するのは当たり前となっています。
インターネットの活用: 個人のウェブサイトがほとんどなかった時代に、いち早くインターネットで収集速報を公開するなど、インターネットの活用に積極的でした。1998年からは電子化資料の公開も開始し、現代ではインターネット活用が当たり前になった今でも重要な方針として位置付けられています。
これら3つの方針の中でも、特に網羅的な収集は今も震災文庫の重要な特徴となっています。
5. 資料の分類と利用状況
震災文庫では、図書館の一般的な分類法(NDC)ではなく、当時の担当者が考案した独自の16分類を用いて資料を整理しています。これにより、資料の偏りを避け、震災に関連する多岐にわたる資料を適切に分類しています。現在も「行政」や「文芸」に関する資料は増え続けているとのことです。
資料数は約5万7000点で、そのうち本文公開されているのは約1万2000件です。新聞記事など、元々公開が難しい資料も多いため、公開数は限定的です。利用状況は5年ごとに増加する傾向があり、これは震災から5年、10年といった節目の年に利用者が増えるためと考えられます。
震災文庫は、以下の連携活動も行っています。
展示: 5年ごとに震災関連の展示を開催しています。昨年は、震災当時の写真と現在の場所を比較する企画展を実施しました。
授業連携: 防災関連の授業を行う教員が、高校生などを引率して震災文庫を訪れ、資料を学習に活用しています。
インターンシップ・職場体験: 図書館のインターンシップや兵庫県の中学生向けの職場体験「トライアルウィーク」の一環として、震災文庫の業務(資料整理、メタデータ作成など)を体験してもらっています。
6. 震災資料の特徴と保存・収集方法
震災文庫が扱う資料には、以下のような特徴があります。
現代の資料: 著作権が切れていない資料がほとんどであり、著作権処理が不可欠です。
公開を前提としていない資料: NPO法人が炊き出しを行った際の記録など、作成者が公開を想定していない資料も多数含まれています。
個人情報を含む資料: 写真に電話番号が写っていたり、映像に避難者の名前が映り込んでいたりするなど、個人情報を含むセンシティブな資料も扱っています。これらの資料は、通常の図書館資料とは異なる配慮が必要です。
著作者不明の資料: 張り紙や手書き資料など、著作者が不明な資料も多く存在します。
また、震災当時はインターネットが普及していなかったため、「紙」媒体の資料が圧倒的に多いのが特徴です。区役所からのお知らせや避難所の掲示なども紙で行われていたため、現在も多くの紙資料が残されています。現代の災害では、メールやSNS、デジタルサイネージでの情報発信が多く、かえって記録が残りにくい可能性も指摘されました。
資料の保存方法としては、主に以下の方法が取られています。
クリアケースでの保存: 紙資料は、破れや折れ、劣化を防ぐためにクリアケースに入れて保存されています。中身を保護し、両面から見ることができ、ラベルを貼れるというメリットがある一方、資料が厚く重くなるというデメリットもあります。資料の大きさがまちまちなため、ラベルにサイズを記載するなどの工夫が今後の課題とされています。
製本: 新聞記事などは製本して保存されています。かつてはクリアケースに1ページずつ入れていましたが、かさばるため製本に切り替えられました。製本することでスペース効率は上がりますが、原紙を直接めくるため破損のリスクがあるというデメリットもあります。ただし、現代の新聞は他の場所にも保存されているため、安心感があるとのことです。
エンキャプスレーション: 大型紙資料(地図など)は、ポリエステルフィルムで挟み、四隅を熱着して密閉する「エンキャプスレーション」という方法で保存されています。これにより紙がむき出しにならず、安全に取り扱うことができますが、重くなり、折り曲げられないため持ち運びには不便です。
デジタルデータへの変換: ビデオテープやカセットテープなどのアナログ媒体、フロッピーディスクやMOといった読み取り機が少なくなるデジタル媒体は、DVDなどへの変換を進めています。DVDもいずれ読めなくなる可能性はありますが、現状での最善策としています。元の媒体は資料として保存されていますが、スペースの問題から将来的に中身を処分することも検討されています。
資料の収集方法は多岐にわたります。
出版情報からの収集: 書籍は「Honya Club.com」などで、雑誌論文は「CiNii Articles」などを活用して収集しています。
記者発表資料のチェック: 神戸市や兵庫県のウェブサイトを毎日チェックし、関連資料を印刷して保存しています。
新聞記事の収集: 神戸新聞は毎日購読し切り抜きを保存、震災関連の特集が増える1月16日から18日には、朝日、読売、毎日、産経を加えた5紙を購読しています。
寄贈図書の受け入れ: 出版社などから送られてくる寄贈図書の中に震災関連の記載がないか確認し、あれば震災文庫に受け入れています。例えば、ホメロスの『イリアス』の前書きに震災の記載があったため受け入れた例も紹介されました。
広報誌・情報誌のチェック: 自治体の広報誌や地域の情報誌をチェックし、関連情報があれば入手しています。最近はウェブで広報誌を見ることができるため、今年の1月号は近隣自治体すべてをチェックしたとのことです。
街角での情報収集: 街のパンフレットコーナーや掲示板、病院の待合室などに貼られたチラシなど、日常生活の中でアンテナを張り巡らせて情報収集を行っています。
二次利用問い合わせからの情報: 震災資料の二次利用(映像使用など)の問い合わせがあった際に、著作権者から新たな情報(新著書など)を提供してもらうこともあります。
イベントへの参加: 関連イベントに出向いて配布資料を入手するなど、積極的に情報収集を行っています。
しかし、これらの方法をもってしても全ての情報を網羅することは難しく、後から「あのイベントの資料は入手できていない」といった補足漏れも生じるとのことです。
7. メタデータ作成の課題
震災文庫のメタデータは、1つの資料に対して1つのメタデータを作成し、図書館の図書データ表記法であるNDCやNCRに則って作成しています。しかし、開設当初は独自の階層構造(親子関係)を持つデータを作成していたため、現在はフラットなデータ構造に変換されています。このため、かつては容易だったシリーズ名での一括検索などが難しくなるという課題が生じています。
例えば、複数の新聞記事をまとめた製本資料は全体で1つの資料とみなされ、タイトルも「神戸新聞記事切り抜き32号」のように作成されます。個々の記事のタイトルは目次情報として入力されていますが、簡易検索では製本資料のタイトルしか表示されないため、利用者からするとどの記事がヒットしたのか分かりにくいという問題があります。また、目次情報に読み仮名を入力していないため、読み仮名での検索には対応していません。
写真資料についても同様の課題があります。寄贈された写真集は、全体で1つのメタデータとなり、個々の写真にはタイトルがないため、写真集全体をめくらないと中身が分かりません。電子化公開する際には、著作権者に写真1枚1枚にタイトルを付けてもらう必要があり、これが大きな負担となっています。何の写真か不明な場合や、適切なタイトルが付けられない場合は、公開を見送ることもあります。
メタデータ作成は非常に手間のかかる作業であり、講演者は「頑張って入力しても資料数が1しか増えない」と、その苦労も語りました。
8. まとめ
神戸大学附属図書館震災文庫は、阪神・淡路大震災の発生直後から、網羅的な資料収集、一般公開、インターネット活用という画期的な方針を掲げ、震災の記憶と教訓の継承に努めてきました。現代資料特有の著作権や個人情報、著作者不明といった課題を抱えながらも、クリアケースや製本、エンキャプスレーション、デジタル化といった様々な方法で資料の保存に取り組んでいます。また、メタデータ作成においては、検索の利便性と作業効率のバランスを取りながら、最適な方法を模索している現状が示されました。これらの活動を通じて、震災の経験を未来に伝え続ける重要な役割を担っていることが伝わる講演でした。
質疑応答
写真
資料
13:00~ 【現地実践演習】【事前課題】で計画した場所での震災デジタルアーカイブを実施する。
【持ち物】 ① 学生証
② デジタルカメラ(2日目の実践実習で使用)
③ 事前課題
【出欠について】6月30日(月)締切
出席・欠席いずれの場合も、6月30日(月)(必着)までに、
サイボウズ、FAX(058-212-3258)またはEmail(tsushin@gijodai.ac.jp)
いずれかの方法でご連絡ください。
【注意事項】① 現地集合・現地解散となります。
宿泊・交通等の手配は各自で行ってください。
② 旅費・宿泊費・入館料・レンタカー代・食事代等に
ついては自己負担となります。
③ 日程や内容の詳細については、随時サイボウズで
お知らせいたします。
④ 本科目の活動について写真による記録撮影を行い、
広報に活用させていただきます。
資料
3.出欠届
4.事前・事後課題解説
[事前課題] 震災アーカイブの関連サイト
詳しくは、下記サイトで指示いたします。
5.テキスト
地域資源デジタルアーカイブ(https://digitalarchiveproject.jp/)内の、
大規模公開オンライン講座(MOOC)/【講義】デジタルアーカイブ特講のテキスト
(後期)【現地実践演習】 沖縄文化遺産デジタルアーカイブ(未定)
1.何を学ぶか
地域の問題意識や課題の明確化し、課題解決にふさわしい場所を選択する。
【現地実践演習】については、スクーリングで行う。スクーリングでは、【事前課題】で計画した場所のデジタルアーカイブを実施する。
2.学習到達目標
デジタルアーカイブの手法を具体的に実施し、Webで公開する手法を学ぶ。
3.プログラム
授 業:「実践研究Ⅱ」(2単位)
日 程:令和7年 1月24日(土)~25日(日)
【岐阜女子大学データサイエンス基礎教育プログラム】
情報処理Ⅰ~情報処理応用演習
Ⅰ はじめに
世界ではデジタル化とグローバル化が進み,社会・産業の転換が大きく進んでいます。「数理・データサイエンス・AI」は,今後のデジタル社会の基礎知識(いわゆる「読み・書き・そろばん」的な素養)として捉えられ,大学・高専の全ての学生が身に付けておくべき素養になっています。このため,数理・データサイエンス・AIのリテラシーレベルの教育では,
・なぜ、数理・データサイエンス・AIを学ぶのか理解すること
・社会でどのように活用され新たな価値を生んでいるのか理解すること
・AIの得意なところ,苦手なところを理解し,人間中心の適切な判断が出来ること
・社会の実データ,実課題を適切に読み解き,判断できること
など,日常の生活,仕事等の場で,これらを実際に道具として上手に活用することが出来る基礎的素養を修得することが求められています。
情報科学やデータサイエンスの専門分野を志す学生の基礎教育としてではなく,全ての学生が今後の社会で活躍するにあたって学び身に付けるべき,新たな時代の教養教育とも言うべきものになっています。
Ⅱ 授業の目的・ねらい
・データ・AIによって社会や日常生活が大きく変化していること,その利活用により新しい価値が生まれていることを学ぶとともに限界があることも学ぶ。
・データを読み解き,適切に説明・表現するためのデータ処理実習を行う。
・データやAIを利用する際の留意点を学ぶ。
準備学習の具体的内容
データやAIが身の回りや社会で利用されている状況を観察し,どのように利活用していけるかを考えるとともに,注意すべき点を考えておく。
Ⅲ 授業の教育目標
・今後のデジタル社会において,数理・データサイエンス,AIを日常の生活や仕事で使いこなすことができる基礎的素養を主体的に身につける。
・学修した数理・データサイエンス,AIに関する知識・スキルをもとにして,これらを扱う際には,人間中心の適切な判断ができ,不安なく自らからの意思でAI等の恩恵を享受し,これらを説明し,活用できるようになる。
・データサイエンス・AIを学ぶ目的やデータやAIを活用する価値を説明できる。
・社会におけるデータやAIの利活用事例を知り,データ・AIによって社会および日常生活が大きく変化していることを理解する。
・データを適切に読み解く,データを適切に説明する,データを扱うための基礎的なデータ処理のスキルを身につける
・データやAIを利活用する際に求められるモラル・倫理,データ駆動型社会における脅威(リスク),個人の情報を守るための留意事項を説明できる。
★受講上の注意
・この授業は,全学生必修です。
・授業コンテンツ(授業ビデオ,授業資料など)はGoogle Classroomに掲載します。
・各講,毎週着実に取り組むこと (期末近くになって,まとめて取り組むことがないように)
・各回の課題提出をもって,各回の出席とします。
・最終課題の提出をもって,定期試験の代わりとします。
予習事項
☆各講とも予習事項として,教科書各章を精読する。
テーマ1 オリエンテーション,データサイエンスへようこそ,AIにサポートされる社会
1.何を学ぶか
・データサイエンスで学ぶこと
・データサイエンスを学ぶ心構え
・AIによる共助の促進
・AIに代替される経験知
・生成AIと利用
・AIと人間との共同作品
2.学習到達目標
・「数理/データサイエンス/AI」が、今後の社会における「読み/書き/そろばん」であることを理解する。
・データサイエンスを学ぶ意義,目標や心構えを理解する。
・データ・AIによって、社会および日常生活が大きく変化していることを理解する。
・人間の知的活動とAIの関係性を理解する
3.レポート課題
Google Classroomで指示します
テーマ2 情報をめぐる世の中の潮流
1.何を学ぶか
・情報を利活用する技術の変遷
・Society5.0に向けた情報利活用の課題と対策
・情報利用による課題と変革例
2.学習到達目標
・情報技術の変遷を理解する。
・ビックデータにはどのようなデータがあるか知る。
・Society5.0が目指す社会を理解する。
・情報利用の課題を理解する。
3.レポート課題
Google Classroomで指示します
テーマ3 広がるデータ活用の幅
1.何を学ぶか
・身近に広がるデータサイエンス
・販売データ
・協調フィルタリング
・データの活用が生み出す新しい価値
2.学習到達目標
・データサイエンスを行う価値を理解する。
・販売データの活用内容を説明できる。
・協調フィルタリングの活用内容が説明できる。
3.レポート課題
Google Classroomで指示します
テーマ4 情報倫理とセキュリティ
1.何を学ぶか
・情報セキュリティの3要素
・情報の流出・漏洩,リスクと対策
・データの暗号化,パスワード
・データ・AIを利活用する際に求められるモラルや倫理,個人情報保護
2.学習到達目標
・情報セキュリティの3要素を理解する
・データの暗号化と強固なパスワードについて理解する。
・情報セキュリティにおける脅威(リスク)と対策について理解する。
・データ・AIを利活用する際に求められるモラルや倫理について理解する。
3.レポート課題
Google Classroomで指示します
テーマ5 データの種類とその活用
1.何を学ぶか
・データの種類
・データの活用事例
・データの活用方法
2.学習到達目標
・どんなデータが集められ,どう活用されているかを理解する。
・データの種類と性質の違いを理解する。
・オープンデータとその利用方法を知る。
3.レポート課題
Google Classroomで指示します
テーマ6 データリテラシー~データを正しく読み取る
1.何を学ぶか
・代表値(平均など)
・正規分布
・表計算ソフトを用いた集計方法
2.学習到達目標
・データを正しく読み取らなければならない理由を理解できる。
・代表値を説明できる。
3.レポート課題
Google Classroomで指示します
テーマ7 データの収集と視覚化①
1.何を学ぶか
・グラフの種類と特徴
・誤解されないグラフ
2.学習到達目標
・グラフの種類と特徴を説明できる。
・データにあったグラフを選択できる。
3.レポート課題
Google Classroomで指示します
テーマ8 データの収集と視覚化②
1.何を学ぶか
・2つのデータの関係
・標本調査とは
・標本の抽出方法
2.学習到達目標
・相関・回帰を理解できる。
・相関図・回帰直線を作成できる。
・標本調査について説明できる。
3.レポート課題
Google Classroomで指示します
テーマ9 データの解析方法①
1.何を学ぶか
・確率と推定統計
・検定と信頼区間
2.学習到達目標
・検定に関する用語を理解できる。
・独立性の検定と平均の差の検定について説明できる。
3.レポート課題
Google Classroomで指示します
テーマ10 データの解析方法②
1.何を学ぶか
・対応のあるt検定
・対応のないt検定
2.学習到達目標
・t検定を行うことができる。
3.レポート課題
Google Classroomで指示します
テーマ11 AI開発の歴史といま
1.何を学ぶか
・人工知能技術の成長と限界
・生活の中のAI
・生成AIの登場
2.学習到達目標
・AIリテラシーとして,AIの歴史、AIの仕組みや倫理,社会への影響などを理解する。
・AIの活用とその限界を理解する。
3.レポート課題
Google Classroomで指示します
テーマ12 情報の利活用と方法
1.何を学ぶか
・情報の可視化
・AIの登場と進化
・対話,コンテンツ作成,翻訳・要約・執筆支援,コーディング支援など生成AIの応用
・3つの機械学習とディープラーニング
・基盤モデル,大規模言語モデルや拡散モデル
・データやAIを扱う時の注意点
2.学習到達目標
・AIと人間が共存するため,データのAI利活用が必要になることを理解する。
・データの可視化等の「知る」技術、機械学習やディープラーニング等の「使う」技術
・ELSI等のAI利活用上の注意点を理解する。
3.レポート課題
Google Classroomで指示します
テーマ13 AIによる生活のアップデート
1.何を学ぶか
・AIによる生活のアップデート(スマートスピーカーやAIアシスタント,ロボット掃除機,無人決済店舗など)
・生成AI(チャットボット)の活用
・機械翻訳(自動翻訳)
2.学習到達目標
・身の回りで使われているAI活用事例を理解する。
・AIの自然言語処理技術の発展により生成AIの誕生や機械翻訳の精度が上がったことを理解する
3.レポート課題
Google Classroomで指示します
テーマ14 AIによる社会のアップデート
1.何を学ぶか
・移動におけるAIの利活用
・農業におけるAIの利活用
・医療におけるAIの利活用
・生成AIの利活用の今後(ハルシネーションによる誤情報の生成などに留意し,マルチモーダル⦅言語、画像、音声など⦆やプロンプトエンジニアリングなどを活用する)
2.学習到達目標
・社会で活用されているAI活用事例を理解する。
・AIが自動運転、農業や医療などに使われていることを理解する。
・AI利活用における課題を指摘できる。
3.レポート課題
Google Classroomで指示します
テーマ15 秩序あるデータの重要性,まとめ
1.何を学ぶか
・AI・データサイエンス時代のプライバシー保護
・データと真摯に向き合う
・信頼できる人工知能を目指して
2.学習到達目標
・個人情報保護,プライバシー保護,知的財産権(著作権他)など,自身や他人のデータや権利を守る仕組みやルールを知る。
・人間中心のAI社会原則を知る
3.レポート課題
Google Classroomで指示します
Ⅳ レポート最終課題
課題1
Google Classroomで指示します
課題2
Google Classroomで指示します
Ⅴ アドバイス
課題1解説
Google Classroomで指示します
課題2解説
Google Classroomで指示します
Ⅵ 科目修得試験:レポート試験
授業ごとのレポート課題,最終課題,授業参加状況をもとに総合的に評価する。
Ⅶ テキスト (下に示すテキストは必ず入手のうえ受講すること)
・大学基礎データサイエンス 数理・データサイエンス・AI〈リテラシーレベル〉モデルカリキュラム~データ思考の涵養~準拠,伊藤大河/川村和也/内田瑛,実教出版,2023年
Ⅷ 参考文献
1)澤井進,過去から未来へのプロローグ: 「コンピュータ歴史博物館」が語るAI文化 (AI時代の教育 -AIの過去・現在・未来) (AI Book) Kindle版 ,2023
2)澤井進,機械翻訳の新時代: トランスフォーマー革命と生成AIの驚異的進化 AI時代の教育 (AI Book) Kindle版 ,2023
3)澤井進,人間の脳の謎と深層学習の魔法: 目を持ったコンピュータが見せる未知の領域 AⅠ時代の教育 (AⅠブックス) Kindle版 ,2023
4)上藤一郎,絵と図でわかる データサイエンス~難しい数式なしに考え方の基礎が学べる,技術評論社 , 2021
5)江間有沙,絵と図でわかる AIと社会~未来をひらく技術とのかかわり方,技術評論社 ,2021
6)滋賀大学データサイエンス学部, 山梨学院大学ICTリテラシー教育チーム,はじめてのデータサイエンス,学術図書出版社 ,2023
7)吉岡剛志,森倉悠介,小林領,照屋健作,AIデータサイエンスリテラシー入門 (基礎学習) ,技術評論社 ,2022
【授業】デジタルアーカイブ概論【Ⅰ】 ~ デジタルアーカイブによる地域活性化 ~
第1講 デジタルアーカイブの基礎
林 知代(岐阜女子大学・講師)
1.目 的
デジタルアーカイブは、「デジタル」と「アーカイブ」という言葉からできた和製英語と言われています。デジタルアーカイブとは何か? デジタルアーキビストに必要な能力は何か?ここでは、言葉の意味と発展の歴史から、基本的な考え方を理解し、今後のデジタルアーカイブの方向性を考えます。
2.学習到達目標
① デジタルアーカイブとは何か説明できる。
② デジタルアーカイブがどのように発展してきたかについて具体例をあげ説明できる。
③ デジタルアーキビストに求められている能力について具体的に説明できる。
3.課 題
① デジタルアーカイブとは何か自身の立場で説明しなさい。
② デジタルアーカイブがどのように発展してきたか説明しなさい。
③ デジタルアーキビストに求められている能力は何か自身の立場で説明しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第2講 デジタルアーカイブ開発と活用プロセス
櫟 彩見(岐阜女子大学・准教授)
1.目 的
デジタルアーカイブの利用は、資料の提示や提供から始まり、課題解決、知的創造等の処理へと進みます。またデジタルアーカイブを活用し、新しい「知」の創造を求め、さらに新しい「知」と人々の経験を付加し、新たな知的活動へと発展します。ここでは、デジタルアーカイブの開発と活用プロセスについて考えます。
2.学習到達目標
①デジタルアーカイブの活用について具体例を挙げて説明できる
②資料の選定評価について説明できる。
③デジタルアーカイブのプロセスや記録方法について説明できる。
3.課 題
①デジタルアーカイブの活用について具体例を挙げて説明してください。
②資料の選定評価の課題について説明してください。
③デジタルアーカイブのプロセスや記録方法について説明してください。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第3講 デジタルアーカイブの評価とメタデータ
谷 里佐(岐阜女子大学・教授)
1.目 的
デジタルアーカイブは、対象とする資料(情報資源)の分野も多岐にわたり、プロジェクト規模なども異なるため、それぞれにあわせた評価手法が求められます。そこで、本講では、デジタルアーカイブの自己点検ツールとして考案された「デジタルアーカイブアセスメントツール」の内容を把握し、その評価項目の中でも重視されているメタデータについて、記述のための国際標準、国際指針として制定されている事例から学びます。
2.学習到達目標
① 「デジタルアーカイブアセスメントツール」の内容について説明できる。
② 記述のための国際標準、国際指針などの事例について説明できる。
③ 資料(情報資源)のメタデータ記述ができる。
3.課 題
① 「デジタルアーカイブアセスメントツール」の評価項目の内、あなたが重要だと思う項目について、なぜそう思うかを含めて説明してください。
② 具体的に何か資料(情報資源)を一つ取り上げ、その資料のメタデータ記述項目を設定した上で実際の記述を行ってください。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第4講 デジタルアーカイブの利活用
熊崎康文(岐阜女子大学・准教授)
1.目 的
デジタルアーカイブは、1990年代の初期から、過去から現在の資料をデジタル化し、次の世代への伝承と現状での利活用を目指して開発が進められてきた。デジタルアーカイブの基本は、過去~現在の資料の収集・保管、デジタル化、さらに現状での利活用と次の世代への伝承である。
過去~現在の各種資料を収集・保管し、次のように使われる。
①次世代へのデジタルコンテンツの確かな伝承
②国内外のデジタルコンテンツの流通と利活用
ここでは、図書館や博物館等におけるデジタルアーカイブの利活用について考える。
2.学習到達目標
① 図書館におけるデジタルアーカイブの実践例を具体的に説明できる。
② 博物館におけるデジタルアーカイブの実践例を具体的に説明できる。
③ デジタルアーカイブの共通利用について説明できる。
3.課 題
① 図書館におけるデジタルアーカイブの実践例を具体的に説明しなさい。
② 博物館におけるデジタルアーカイブの実践例を具体的に説明しなさい。
③ デジタルアーカイブの共通利用について説明しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第5講 デジタルアーカイブによる地域活性化
久世均(岐阜女子大学・教授)
1.目 的
知識基盤社会においてデジタルアーカイブを有効的に活用し,新たな知を創造するという本学独自の「知の増殖型サイクル」の手法により,地域課題に実践的な解決方法を確立するために,地域に開かれた地域資源デジタルアーカイブによる知の拠点形成をする。このことにより,地域課題に主体的に取り組む人材を養成する大学として,伝統文化産業の振興と新たな観光資源の発掘並びにデジタルアーカイブ研究による地方創成イノベーションの創出について具体的に考える。
2.学習到達目標
① デジタルアーカイブと地域課題解決について説明できる。
② 地方創成イノベーションの創出について具体的に説明できる。
3.課 題
① 飛騨高山匠の技デジタルアーカイブにより,地域の文化産業を振興するための方策を3つ挙げて説明しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
※本映像は本学の学部の授業(情報の管理と流通)の内容の一部を利用して提供しています。
6.資料
第6講 文化はどのように記録するの?
加藤 真由美(岐阜女子大学・准教授)
1.目 的
近年,デジタルアーカイブの対象である“文化”の意味が以前に比べて広がっていること,“文化”は時代によって変化するものであることを理解し,様々な文化のデジタル化(記録),デジタル化の際の留意点について学びます。
2.学習到達目標
①デジタルアーカイブの対象である“文化”について説明できる。
②記録に応じて,多様なデジタル化の方法を説明できる。
③記録の際の留意点について説明できる。
3.課 題
① 身近な“文化”をひとつ挙げ,具体的な記録方法を挙げてください。
② ①で挙げた記録方法の特性を説明しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.資料
③ 沖縄おうらい
第7講 デジタルデータはどのように管理・流通するの?
加藤 真由美(岐阜女子大学・准教授)
1.目 的
情報社会においてデジタル化・データの蓄積をする意味について理解し,具体的なデータの管理方法および流通方法について学びます。また,情報社会におけるデジタルアーカイブの管理と流通の重要性についても考えます。
2.学習到達目標
①デジタルアーカイブの資料データの管理に必須であるメタデータの役割について説明できる。
②データの流通について多様な発信方法があることを理解し,説明できる。
③情報社会においてデータの管理と流通が重要である理由を説明できる。
3.課 題
① デジタルアーカイブにおいて,なぜ管理と流通が重要なプロセスであるのか,具体例を挙げて説明しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.資料
② 情報の発信と伝達
第8講 デジタルアーカイブと知的財産権(1)
吉川 晃(岐阜女子大学・特別客員教授)
1.目 的
デジタルアーキビストとして、アーカイブを計画し、そして資料収集し、そして構築し、そして利用許諾し、また運用していくという、こういったときに必要な権利処理について説明する。
2.学習到達目標
① デジタルアーキビストに著作権処理の能力が必要であることについて具体的に説明ができる。
② 著作者の権利について具体的に説明できる。
③ 著作権の契約書を作成できる。
3.課 題
① デジタルアーキビストに著作権処理の能力が必要であることについて具体的に説明しなさい。
② 著作者の権利について具体的に説明しなさい。
③ 著作権の契約書を作成しなさい。
4.プレゼン資料
第9講 デジタルアーカイブと知的財産権(2)
坂井知志(岐阜女子大学・特別客員教授)
1.目 的
著作権について、自分の立ち位置とは関係ない形で第三者的に実践の試みの良い部分と課題について理解を深め、基本的な理解を図った後に、実践の中から法律など制度的な課題について考えます
2.学習到達目標
① デジタルアーカイブの実践における著作権に関する課題について説明できる。
② 著作権のデジタルアーカイブの活用に関する課題について具体例を挙げて説明できる。
3.課 題
1.デジタルアーカイブの実践における著作権に関する課題について説明しなさい。
2.著作権のデジタルアーカイブの活用に関する課題について具体例を挙げて説明しなさい。
4.プレゼン資料
5.動画資料
第10講 ジャパンサーチとデジタルアーカイブ活用基盤
高野明彦(国立情報学研究所・名誉教授)
1.目 的
ジャパンサーチは,書籍等分野,文化財分野,メディア芸術分野など,さまざまな分野のデジタルアーカイブと連携して,我が国が保有する多様なコンテンツのメタデータをまとめて検索・閲覧・活用できるプラットフォームである.このジャパンサーチについて理解を深め,基本的な理解を図った後に,メタデータの連携⽅法について考えます.
2.学習到達目標
① ジャパンサーチの目的について説明できる.
② メタデータの連携方法について具体例を挙げて説明できる.
3.課 題
① ジャパンサーチについての課題について説明しなさい.
② ジャパンサーチAPIの活⽤例について具体例を挙げて説明しなさい.
4.プレゼン資料
5.映像資料
第11講 世界のデジタルアーカイブの発展とその活用
時実象一(東京大学大学院情報学環)
1.目 的
デジタルアーカイブの種類っていうふうに考えていったときに,書籍,文書,新聞それからテレビ・放送,映画,音楽・音声,舞台芸術,写真,それから美術品があります.その他にも,それとかあとはウェブページ,ゲーム,ソフトウェア,その他というようなのがあります.ここでは,世界のデジタルアーカイブの発展とその活用について考えます.
2.学習到達目標
① 世界のデジタルアーカイブの動向ついて説明できる.
② 世界のデジタルアーカイブを俯瞰して,その活用の変化について具体例を挙げて説明できる.
3.課 題
① ジャパンサーチについての課題について説明しなさい.
② ジャパンサーチAPIの活⽤例について具体例を挙げて説明しなさい.
3.プレゼン資料
4.映像資料
第12講 デジタルアーカイブと法制度の現在地点
福井健策(骨董通り法律事務所・パートナー弁護士)
1.目 的
著作権について,自分の立ち位置とは関係ない形で第三者的に実践の試みの良い部分と課題について理解を深め,基本的な理解を図った後に,実践の中から法律など制度的な課題について考えます.
2.学習到達目標
① デジタルアーカイブの実践における著作権に関する課題について説明できる.
② 著作権のデジタルアーカイブの活用に関する課題について具体例を挙げて説明できる.
3.課 題
① デジタルアーカイブの実践における著作権に関する課題について説明しなさい.
② 著作権のデジタルアーカイブの活用に関する課題について具体例を挙げて説明しなさい.
③ デジタルアーカイブ憲章について,課題を説明しなさい.
4.プレゼン資料
5.映像資料
第13講 AIと人間の学び
赤堀侃司(東京工業大学・名誉教授)
1.目 的
第1次AIブームから第2次AIブームへと移り変わり、生成AIを活用する人間の学びに変化が生じています。これからの私たちの学びに必要となる7つの資質能力とAIについて学びます。
2.学習到達目標
① 第1次AIブームから第2次AIブームへと移り変わり、変化した生成AIの学びについて説明することができる。
② 生成AIの発展により、私たちの学びに求められる7つの資質能力について説明することができる。
3.課 題
① 生成AIの進化から、これからの私たち人間の学びに求められる資質能力について説明しなさい.
4.プレゼン資料
AIと人間の学び(赤堀先生)
5.映像資料
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6.資 料
① AIと人間の学び 壁の向こうで答えているのはAIか人か? (単行本)発売日 : 2022/3/31
② 第11講「AIと人間の学び」デジタルアーカイブin岐阜2023(赤堀先生)
第14講 人とAIの学習研究から考えるこれからの教育
益川弘如(聖心女子大学・教授)
1.目 的
人はどのように学ぶのか、また、どのようなときに深く学ぶのかという認知科学の知見に基づき,人の学びと人工知能やAIがつくり上げていく知能を比較することで、AIとの共生時代である今、人間としての「価値ある学び」やそれらの活用による私たちの学びの変容について学びます。
2.学習到達目標
① AI時代における「価値ある学び」について説明することができる。
② 人工知能や生成AIを活用した際の人間の学びの変容について説明することができる。
③ 生成AIを活用した具体的な授業事例から、学習観や授業観をとおして私たちの学びの本質を説明することができる。
3.課 題
① AI時代における「価値ある学び」とデジタル化された情報との関係について説明しなさい.
② 人工知能や生成AIの効果的な活用と私たちの学びの変容について説明しなさい.
4.プレゼン資料
5.動画資料
6.資料
② 第12講「人とAIの学習研究から考えるこれからの教育」
第15講 人工知能(AI)とデジタルアーカイブの現状と未来
澤井進(岐阜女子大学・特任教授)
1.目 的
「人工知能とデジタルアーカイブの一体化が未来のブレークスルー,デジタル文化遺伝子となる」というアイディアについて、「AIとデジタルアーカイブの関係」、「デジタルアーカイブの利活用」、「生成AIの驚異的進化」、「AIとデジタルアーカイブが創る未来」、「デジタル文化遺伝子を目指して」の5つの内容から学びます。
2.学習到達目標
① 生成AIとデジタルアーカイブのそれぞれの機能からみた関係性について説明することができる。
② デジタルアーカイブを活用した人工知能との一体化によってもたらされる新たな可能性とは何か、説明することができる。
③ デジタル文化遺伝子というアイディアについて説明することができる。
3.課 題
① デジタル文化遺伝子の重要な役割とは何か、800字で説明しなさい。
4.プレゼン資料
人工知能(AI)とデジタルアーカイブの現状と未来(澤井先生)
5.動画資料
6.資料
2.第13講「人工知能(AI)とデジタルアーカイブの現状と未来」
テキスト
【テキスト】
1.2023版デジタルアーカイブ概論_テキスト(最終)久世_20240401
2.2023版デジタルアーカイブ概論_テキスト(最終)久世_20240401(Word版)
3.2023版デジタルアーカイブ概論_テキスト(最終)久世_20240509
4.2023版デジタルアーカイブ概論_テキスト(最終)久世_20240509(Word版)
【公開講座】デジタルアーカイブ概論【Ⅱ】 ~ デジタルアーカイブにおける新たな価値創造 ~
Ⅰ はじめに
デジタルアーカイブは,さまざまな分野で必要とされる資料を記録・保存・発信・評価する重要なプロセスである.このデジタルアーカイブは,わが国の知識基盤社会を支えるものであり,デジタルアーカイブ学会でも,デジタルアーカイブ立国に向けて「デジタルアーカイブ基盤基本法(仮称)」などの法整備への政策提言を積極的に行っている.今後,知識基盤社会おいてデジタルアーカイブについて責任をもって実践できる専門職であるデジタルアーキビストが必要とされている.ここでは,デジタルアーキビストの学術的な基礎として,デジタルアーカイブに関する歴史から我が国の動向並びにデジタルアーカイブの課題を学ぶ.また,この内容は,今後の学修におけるデジタルアーキビストの学びの地図となる.
Ⅱ 授業の目的・ねらい
・この授業は全15講に分かれて論述している.各講における参考文献並びに関連情報は,横のQRコードで示してある.各講においてこれらの参考文献などを読み込んで発展的な学修ができるように構成されている.
・各講の最後に研究課題が設定されており,個別で学修する場合にも,集団で学修する場合においても学修を深めるために主体的に研究課題を考えることが重要である.
・解が見えない地域課題を主体的に探求し,深化させ課題の本質を探り実践的な解決方法を導き出すための手法を研究する.
Ⅲ 授業の教育目標
・日本の目指す知識基盤社会を支えるのはデジタルアーカイブといっても過言ではありません.初期の文化遺産を中心とした展示やウェブ公開など提示中心から,いかに社会の全領域で知的生産やナレッジマネジメントに活用できるインターフェイス,横断的ネットワークなどの環境を確保するかの段階に入ったといえます.
・ここでは,15のテーマに基づいて,それぞれのテーマの中に研究課題を設定し,また,各講に学修到達目標を設定し,個々に学修の到達を確認することができる.
第1講 デジタルアーカイブの歴史とその課題
久世 均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
デジタルアーカイブの日本にける歴史と本学のデジタルアーカイブの変遷を比較しながら,どのような点が明らかになり,新たにどのような課題が創出されたのかについて考える.
2.学修到達目標
・デジタルアーカイブの歴史について説明できる.
・知識基盤社会におけるデジタルアーカイブの必要性について事例をあげて説明できる.
3.研究課題
・デジタルアーカイブの歴史をまとめて,何が変化して何が課題になっているかを話し合ってみなさい.
4.プレゼン資料
5.映像
6.資料
第2講 デジタルアーカイブプロセス
久世 均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
2000年代における第1次のデジタルアーカイブブームの現在の状況を見て,第1次のデジタルアーカイブブーム(デジタルアーカイブ1.0)のプロセスから何が問題で,今後何をどのように改善することが持続可能なデジタルアーカイブ(デジタルアーカイブ2.0)を開発するために必要であるかについて考える.
2.学修到達目標
・「Wonder沖縄」におけるWeb用コンテンツがなぜ消滅したかについて説明できる.
3.研究課題
・「Wonder沖縄」のアーカイブプロセスでは何が足りなかったのか.どうすれば持続可能になったのかを考えなさい.
4.プレゼン資料
5.映像
第3講 知のデジタルアーカイブ
久世 均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
知のデジタルアーカイブに関する研究会により知のデジタルアーカイブ ―社会の知識インフラの拡充に向けて―(2012年3月30日)という提言がされ,システム(技術),人材育成,災害の3テーマに焦点を当てたグループを構成して議論を行った.こうした議論から,デジタルアーカイブのための技術,知識,ノウハウの共有の重要性,デジタル・ネットワーク社会に適合したデジタルアーカイブ連携の必要性について考える.
2.学修到達目標
・知のデジタルアーカイブの提言について説明できる.
・MLA連携などデジタルアーカイブの連携の必要性について説明できる.
3.研究課題
・知のデジタルアーカイブの提言を受けて博物館・図書館・公文書館の現状と課題について論述しなさい.
4.プレゼン資料
5.映像
6.資料
知のデジタルアーカイブ
第4講 デジタルアーカイブの構築・連携のためのガイドライン
久世 均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
デジタルアーカイブの構築・連携のためのガイドライン(2012年3月26日)が総務省から提言されている.ここでは,図書・出版物,公文書,美術品・博物品,歴史資料等公共的な知 的資産の総デジタル化を進め,インターネット上で電子情報として共有・利用できる仕組みを 構築し,知の地域づくりを推進するため,地域の知の記録組織で活用することを提言している.ここでは,インターネット上で電子情報として共有・利用できる仕組みを 構築し,知の地域づくりを推進することを考える.
2.学修到達目標
・知の地域づくりの推進するために必要なことは何かを説明できる.
・デジタルアーカイブの構築・連携において大切なことを説明できる.
3.研究課題
・デジタルアーカイブの構築・連携のためのガイドラインをよく読んで,それぞれの組織のデジタルアーカイブ構築・連携の手引きを完成しなさい.
4.プレゼン資料
5.映像
6.資料
第5講 知の増殖型サイクルの情報処理システムの構成
久世 均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
デジタルアーカイブのプロセスとして,知的創造サイクルをデジタルアーカイブに当てはめた知の増殖型サイクルを開発した.ここではこのシステムについて理解する.このためには,知の増殖型サイクルにおけるデータ分析・解析・加工処理システムなどのスキルやその考え方を知る必要がある.ここでは,これらのデータ処理における留意事項について解説する.
2.学修到達目標
・デジタルアーカイブのプロセスとして,知的創造サイクルをデジタルアーカイブに当てはめた知の増殖型サイクルについて説明できる.
3.研究課題
・知の増殖型サイクルにおけるメタデータの項目を作成してみなさい.なお,その際にDublin Core(ダブリン・コア)に配慮すること.
4.プレゼン資料
5.映像
第6講 知の増殖型サイクルの知的処理と流通システム
久世 均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
デジタルアーカイブにおける知の増殖型サイクルの構成は,資料の保管,検索,分析処理とその結果の利用という閉じたサイクルとして成立つものである.そのためには,利用の計画,活用,評価の面のみではなく,知の増殖型サイクルで最も重要なデジタルアーカイブの保管,メタデータ,検索,抽出,提示,分析,解析処理についても研究する必要がある.また,このデジタルアーカイブを用いた知の増殖型サイクルでは,利用目的に対し,いかに適した資料を検索し,分析・解析・加工処理して提供できるかが重要である.ここでは,知の増殖型サイクルが何回もサイクルを繰り返すことにより,新しい知が各サイクルに追加され,より精度の良いデータの利用が可能になる.ここでは,いかに適した資料を検索し,分析・解析・加工処理して提供できるかという視点から,横断検索やサイクル処理を支えるメタデータ,また,知的処理に対応した著作権,プライバシーの問題及び検索結果の選定・提供における課題を考える.
2.学修到達目標
・デジタルアーカイブにおける知の増殖型サイクルの構成を説明できる.
3.研究課題
・「沖縄おぅらい」における知の増殖型サイクルはどのように構成されるか述べなさい.
・沖縄の学力向上における知の増殖型サイクルとは,どのようなサイクルになるか論じなさい.(参考:沖縄における教育資料デジタルアーカイブを活用した学力向上について)
4.プレゼン資料
5.映像
第7講 知の増殖型サイクルを支えるメタデータの構成
久世 均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
知の増殖型サイクルでは,新たな知を創造することが重要であり,また,その新たな知をデジタルアーカイブする閉じたサイクルである.そのために,新たにメタデータをその新たな地に対応した項目を追加し,ここでダイナミックなメタデータを提案する.
2.学修到達目標
・地域資源のメタデータの構成について説明できる.
3.研究課題
・地域資源のデジタルアーカイブのメタ情報の項目を考えてみなさい.そのうえで,それらの項目がなぜ必要なのか利用を考えて論述しなさい.
4.プレゼン資料
5.映像
第8講 我が国におけるデジタルアーカイブ推進の方向性
久世 均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
平成 29 年4月に「我が国におけるデジタルアーカイブ推進の方向性」がデジタルアーカイブの連携に関する 関係省庁等連絡会・実務者協議会より提言された.この新たな提言で新たに追加されたデジタルアーカイブの考え方について考える.
2.学修到達目標
・デジタルアーカイブ社会について説明できる.
・オープンなデジタルコンテンツの必要性について具体例を挙げて説明できる.
3.研究課題
・デジタルコンテンツのオープン化と著作権はどうしても利害が衝突する.デジタルアーカイブ社会においてオープンデータ化はなぜ必要で,そのために著作権をどのように改正する必要があるかについて論述しなさい.
4.プレゼン資料
5.映像
6.資料
第9講 デジタルアーカイブの構築・共有・活用ガイドライン
久世 均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
平成29年4月に「デジタルアーカイブの構築・共有・活用ガイドライン」がデジタルアーカイブの連携に関する 関係省庁等連絡会・実務者協議会にてまとめられた.ここでは,博物館・美術館,図書館,文書館といった文化的施設に加えて,大学・研究機関,企業,市民団体,官公庁・地方公共団体などの有形・無形の様々なコンテンツを保有する機関・団体等を対象に,業務にもサービスにも役立つデジタル情報資源の整備・運用方法について報告している.ここでは,各機関におけるデジタルアーカイブの構築・共有・活用について考える.
2.学修到達目標
・デジタルアーカイブの構築・提供ついて説明できる.
・アーカイブ機関が無理なくデータを整備・共有・連携できる共通基盤(プラットフォーム)の構築について,その機能を具体的に説明できる.
3.研究課題
・活用する場合は,メタデータを共有することで,様々なアプリの提供,付加価値の追加等を通じて,活用を行い,その成果物を保存・共有領域に還元し,再資源化することも期待されると報告されている.そのためには,具体的に何をすることが必要になるか述べよ.
4.プレゼン資料
5.映像
6.資料
デジタルアーカイブジャパン推進委員会及び実務者検討委員会
3か年総括報告書 我が国が目指すデジタルアーカイブ社会の実現に向けて
第10講 知的財産推進計画に見るデジタルアーカイブ
久世 均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
知的財産戦略本部より知的財産推進計画2017(2017年5月)が発表され,そこには,「我が国の知や文化資源を結集し,世界中に発信しながら新たな価値創造につなげることができるデジタルアーカイブの構築とその利活用について,計画的に推進していくことが必要である」と,デジタルアーカイブに関する記述が増加していることを見ることができる.知的財産推進計画の目的と今後の方向性について考える.
2.学修到達目標
・知的財産推進計画を理解し説明できる.
・新たな価値創造とデジタルアーカイブの構築について具体例を出して説明できる.
3.研究課題
・知的財産推進計画とデジタルアーカイブとの関係を明確にして,知的財産計画の目的について論述しなさい.
4.プレゼン資料
5.映像
6.資料
第11講 地域資源デジタルアーカイブによる知の拠点の形成
久世 均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
知識基盤社会においてデジタルアーカイブを有効的に活用し,新たな知を創造するという本学独自の「知の増殖型サイクル」の手法により,地域課題に実践的な解決方法を確立するために,地域に開かれた地域資源デジタルアーカイブによる知の拠点形成をする.このことにより,地域課題に主体的に取り組む人材を養成する大学として,伝統文化産業の振興と新たな観光資源の発掘並びにデジタルアーカイブ研究による地方創成イノベーションの創出を行う.
2.学修到達目標
・デジタルアーカイブと地域課題解決について説明できる.
・地方創成イノベーションの創出について具体的に説明できる.
3.研究課題
・飛騨高山匠の技デジタルアーカイブにより,地域の文化産業を振興するための方策を3つ挙げて論述しなさい.
4.プレゼン資料
5.映像
6.資料
第12講 知の拠点形成のための基盤整備
久世 均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
知識基盤社会においてデジタルアーカイブを有効的に活用し,新たな知を創造するという岐阜女子大学独自の「知の増殖型サイクル」の手法により,地域課題に実践的な解決方法を確立するために,地域に開かれた地域資源デジタルアーカイブによる知の拠点形成のための基盤整備が必要となる.このことにより,地方創成イノベーションの実現と伝統文化産業の振興並びに新たな観光資源の発掘を行うことができることを考える.
2.学修到達目標
・知識基盤社会とデジタルアーカイブの関係について説明できる.
・知識循環型社会について具体的に説明できる.
・地域課題の解決とデジタルアーカイブについて説明できる.
3.研究課題
・大学が地域の知の拠点形成のための基盤整備に必要な要素は何か論述しなさい.
4.プレゼン資料
5.映像
6.資料
第13講 デジタルアーカイブにおける新たな評価法
久世 均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
20017年10月,Europeanaより評価方法の新規開発プロジェクトの成果物として“Impact Playbook: For Museums, Libraries, Archives and Galleries”(以下プレイブック)の第一部が公開された.プレイブックは「インパクト評価」を実施するための手順・方法をまとめた一種のガイドラインであり,Europeanaだけでなく,その参加機関である欧州各域の図書館・博物館・公文書館・ギャラリー等が各々のデジタルアーカイブ関連事業の持つ多様な価値を各々の見方で評価し,かつその評価結果を他者と共有できるようにするための「共通言語」としての役割を果たすという.筑波大学大学院図書館情報メディア研究科・西川開氏によると,インパクト評価はもともと環境分野で発達した評価方法であると言われており,その後公衆衛生や社会福祉事業などの諸領域にも普及・発展してきた.近年では公的助成金の減額等を背景として図書館を始めとする文化機関においても自組織の持続可能な発展に資する手段として注目を集めている.
2.学修到達目標
・新たな評価法であるインパクト評価について具体的に説明できる.
3.研究課題
・デジタルアーカイブの新しい評価について論述しなさい.
4.プレゼン資料
5.映像
第14講 デジタルアーカイブを活用した地域課題の解決手法
久世 均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
飛騨高山匠の技の歴史は古く,古代の律令制度下では,匠丁(木工技術者)として徴用され,多くの神社仏閣の建立に関わり,平城京・平安京の造営においても活躍したと伝えられている.しかし,現在の匠の技術や製品についても,これら伝統文化産業における後継者の問題や海外への展開,地域アイデンティティの復活など匠の技を取り巻く解が見えない課題が山積している.ここでは,知識基盤社会におけるデジタルアーカイブを有効的に活用し,新たな知を創造するという本学独自の「知の増殖型サイクル」の手法により,これらの地域課題に実践的な解決方法を確立するために,「知的創造サイクル」をデジタルアーカイブに応用して飛騨高山の匠の技に関する総合的な地域文化の創造を進めるデジタルアーカイブの新たな評価指標ついて考える.
2.学修到達目標
・「知の増殖型サイクル」の手法による地域課題に実践的な解決方法を確立することについて説明できる.
3.研究課題
・住民R(Resident)-地域資源L(Local Resources)認知度診断表から何がわかるか論述してみなさい.
4.プレゼン資料
5.映像
第15講 首里城の復元とデジタルアーカイブの可能性
久世 均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
鎌倉芳太郎は沖縄で撮影したガラス乾板を自身の避難先である防空壕で保管していたという.これら保存されていた資料が,首里城復元において大きな役割を果たしたという事実は,「知の増殖型サイクル」の考え方に当てはめることができる.首里城復元の際に利用された鎌倉資料は原資料であり,デジタルアーカイブではない.しかし,「知の増殖型サイクル」に適応することで,これからのデジタルアーカイブの在り方が見えてくる.
2.学修到達目標
・鎌倉芳太郎と首里城復元の過程で説明できる.
・デジタルアーカイブという視点から鎌倉芳太郎資料集について説明できる.
3.研究課題
・首里城の復元に鎌倉芳太郎の資料が重要であったかについてデジタルアーカイブの視点で論述しなさい.
4.プレゼン資料
5.映像
資料
Ⅳ 課題
課題1
テーマ1からテーマ8の中で,興味を持った研究課題についてさらに詳しく調べA4用紙1ページにまとめよ.
課題2
テーマ9からテーマ15の中で,興味を持った研究課題についてさらに詳しく調べA4用紙1ページにまとめてよ.
Ⅴ アドバイス
課題1解説
テキスト並びに参考文献を参考に論述しなさい.
課題2解説
テキスト並びに参考文献を参考に論述しなさい.
Ⅶ テキスト
1.学修ガイドブック
デジタルアーカイブ特講Ⅱガイドブック
久世均著:情報の管理と流通 岐阜女子大学 2020
1.表紙&奥付
2.目次
3.デジタルアーカイブ特講
年表
4.年表
Ⅷ タキソノミーテーブル(教育目標の分類体系:タキソノミー)
【公開講座】学校DX戦略コーディネータ概論【Ⅳ】 ~ 教育DX時代における教材開発 ~
Ⅰ はじめに
最近の情報技術等の進展に伴い,多様な学習者に対応した多方向から撮影した教材化の開発がなされてきた.また,高品位で大容量の記録も安価で可能になり,また大容量記憶装置や高速ネットワークが急速に進み,映像教材も高品位で大容量の配信が可能になった.従来の学習教材の撮影方法や記録方法は,単方向からの撮影・記録が主なものであり,撮影方向には教材作成者の撮影意図 が多く反映されていた.
今後,多様な学習者に対応した映像の教材化を考えると,これまでの単方向を主として撮影・記録されてきたものから,多様な視点で教材を提示することが必要となる.そこで,本研究は,学習教材を多方向同時撮影することにより多視点映像として教材化し,多視点映像教材の教育利用・研究での課題について考える.
Ⅱ 授業の目的・ねらい
・この授業は全15講に分かれて論述している.各講における参考文献並びに関連情報は,横のQRコードで示してある.
各講においてこれらの参考文献などを読み込んで発展的な学修ができるように構成されている.
・各講の最後に研究課題が設定されており,個別で学修する場合にも,集団で学修する場合においても学修を深めるため
に主体的に研究課題を考えることが重要である.
・多視点映像教材の開発を主体的に探求し,深化させ課題の本質を探り教材作成手法を導き出すための手法を研究する.
Ⅲ 授業の教育目標
学習教材を選定・開発するに当たっては,多視点映像教材の活用により児童生徒が自ら考えることができるようにするなどの教育効果を高めるため,身近な事柄を取り上げたり,児童生徒の興味・関心等を生かしたりするなどの教材作成を行う.なお,学習教材の選定・開発に際しては,児童生徒の発達段階を十分考慮すると共に,その内容を公正な観点から吟味する.さらに,例えば身近な事柄を取り上げる場合など教材の内容によっては,プライバシーの保護等にも十分配慮することを理解する.
第1講 多視点映像教材と複眼的思考法
久世均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
学習教材を多方向同時撮影することにより多視点映像として教材化し,多視点映像教材の教育利用・研究での課題について考える.
2.学修到達目標
・多視点映像教材について説明できる.
・多視点映像教材の教育利用について具体例を示して説明できる.
・多視点映像教材と複眼的思考法との関係について説明できる.
3.課 題
1.多視点映像教材についてその効果と可能性について説明しなさい.
2.多視点映像教材の教育利用について,具体例を挙げて説明しなさい.
3.多視点映像教材を具体的に企画しなさい.
4.複眼的思考法と多視点映像教材の関係について具体例を挙げて説明しなさい.
4.プレゼン資料
5.動画教材
第2講 多視点映像教材と教えて考えさせる授業
久世均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
理科実験の学習で,児童が理科の実験方法を身につけるための支援として,児童・教師が簡単に操作でき,必要な部分を繰り返し見ることができる理科実験のデジタルコンテンツを考える.
2.学修到達目標
・小学校の理科における多視点映像教材の活用ついて説明できる.
・理科実験の学習における学習展開について具体的に説明できる.
・教えて考えさせる授業の学習展開について具体例を挙げて説明できる.
3.課 題
1.多視点映像教材の理科への活用についてその効果と可能性について説明しなさい.
2.理科実験の学習における学習展開について具体的に説明しなさい.
3.教えて考えさせる授業の学習展開について具体的に指導案を作成しなさい.
4.プレゼン資料
5.動画教材
第3講 表示映像の違いは理解度に影響を与えるか
久世均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
高山での遠隔親子教室を例に表示視点の違いが理解度に与える影響に関する調査をしたので,この調査結果の分析と今後の課題について考える.
2.学修到達目標
・表示映像の違いが理解度に与える影響について説明できる.
・遠隔学習における多視点映像の効果について具体的に説明できる.
3.課 題
1.表示映像の違いが理解度に与える影響について具体例を挙げて説明しなさい.
2.遠隔学習における多視点映像の効果について具体的に説明しなさい.
3.遠隔学習における多視点映像を配信する効果について具体的に説明しなさい.
4.プレゼン資料
5.動画教材
第4講 多視点映像教材による主体的な学習の支援
久世均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
小学校における器械運動の学習で,児童が自己の能力に適した技を選んで主体的に身につけるための支援として,児童・教師が簡単に操作でき,必要な部分を繰り返し見ることができる模範演技のデジタルコンテンツを考える.
2.学修到達目標
・小学校の器械体操における多視点映像教材の効果ついて説明できる.
・主体的な学習と多視点映像教材との関係について説明できる.
3.課 題
1.小学校の器械体操における多視点映像教材の効果ついて具体的に説明しなさい.
2.主体的な学習と多視点映像教材との関係について具体的に説明しなさい.
3.個別最適な学びにおける多視点映像の効果について具体例を挙げて説明しなさい.
4.プレゼン資料
5.動画教材
第5講 伝統と文化の視点を考える
久世均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
地域の伝統文化に関する“知”の伝承サイクルを支援するためのデジタルアーカイブの技術的考察を沖縄の「獅子舞・エイサー」を例にして考える。
2.学修到達目標
・伝統文化教材の作成に関する視点を説明できる.
・伝統文化の多視点映像教材の作成手順を説明できる.
3.課 題
1.伝統文化教材の作成に関する視点を具体的に説明しなさい.
2.伝統文化の多視点映像教材の作成手順を作成しなさい.
3.地域の伝統文化を教材化した指導案を作成しなさい.
4.プレゼン資料
5.動画教材
第6講 授業技術の対象化とデジタルアーカイブ
久世均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
多視点映像教材を用いた授業や自己学習教材としての利用方法等の総合的な教材化の開発が,多様な学習者に対応した映像の教材化の開発として重要である.そこで,多視点映像の授業技術の対象化について考える.
2.学修到達目標
・授業技術の対象化とは何か説明できる.
・授業実践を多視点で撮影する利点について説明できる.
3.課 題
1.実践的な教師力とは何か説明しなさい.
2.授業実践を多視点で撮影する利点について説明しなさい.
3.授業実践を多視点で撮影する企画書作成しなさい.
4.授業技術の対象化とは何か説明しなさい.
4.プレゼン資料
5.動画教材
第7講 「伝統」と「文化」の同時代性と創造
久世均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
地域の伝統と文化に関する“知”の伝承サイクルを支援するために,沖縄の伝統と文化に関して,我が国の政策を整理し,「伝統と文化」を教育に取り入れる必要性について考える.
2.学修到達目標
・学校教育における伝統と文化について説明できる.
・伝統と文化教育の歴史について説明できる.
3.課 題
1.学校教育における伝統と文化について具体的に説明しなさい.
2.伝統と文化教育の歴史についてについて具体例を挙げながら説明しなさい.
3.学校で「伝統と文化」の教育を行うために必要と思われる教材を考えて一覧表を作成しなさい.
4.プレゼン資料
5.動画教材
第8講 「できる授業」と「わかる授業」
久世均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
体育(本研究では器械運動)の指導で活用する上で大切なことは,児童に「お手本」を示す際,技能のポイントなどがわかりやすい資料(映像)を提示できるか,児童が運動に対してより理解を深め,仲間とともに課題解決に向けて主体的に取り組んでいくときに,ICT を活用できるような環境を整えて指導ができるかということを考える.
2.学修到達目標
・体育教科における ICT 活用について具体的な事例を挙げて説明できる.
・体育における教材について企画し設計できる.
3.課 題
1.体育教科における ICT 活用について具体的な事例を挙げて説明しなさい.
2.体育における教材について企画し設計しなさい.
3.自分で自分のフォームを撮影し,主体的に学ぶという指導案を作成しなさい.
4.プレゼン資料
5.動画教材
第9講 複眼的思考法により主体的な学習を伸ばす
久世均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
見たい視点を自分で選択でき,横や正面等自分では客観視することのできない視点からの映像を見ることで,跳び方のイメージを持つことが容易になり,主体的に跳び箱学習を楽しむことができるようになることについて考える.
2.学修到達目標
・主体的な学習態度を育てることについて具体的に例を挙げて説明できる.
・主体的な学習態度を育成するために,どのように多視点教材を活用すればよいか説明できる.
3.課 題
1.主体的な学習態度を育てることについて具体的に例を挙げて説明しなさい.
2.主体的な学習態度を育成するために,どのように多視点教材を活用すればよいか説明しなさい.
3.主体的な学習態度を育成するための教材活用事例を作成しなさい.
4.プレゼン資料
5.動画教材
第10講 教えて考えさせる授業の展開
久世均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
小学校理科における児童の多視点映像教材を活用した実験支援方法に関する研究を通じて,教えて考えさせる授業の展開について考える.
2.学修到達目標
・多視点映像教材の処理方法について順を追って説明できる.
・多視点映像教材を使った“教えて考えさせる授業”への展開について説明できる.
3.課 題
1.多視点映像教材の処理方法について順を追って説明しなさい.
2.多視点映像教材を使った教えて考えさせる授業への展開について説明しなさい.
3.マルチアングル映像と多視点映像の違いと特徴を説明しなさい.
4.プレゼン資料
5.動画教材
第11講 単視点映像と多視点映像の違いを考える
久世均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
小学校教育においては,授業は担任の教師が全ての科目を担当している.つまり教師の専門外の科目でも教えなければならない.専門家でなくても授業を円滑に進めることが大変重視される.そこで誰でも簡単に操作ができ,尚且つ授業を進めるうえでの手助けとなる書写の授業のための教材開発を考える.
2.学修到達目標
・書写教育における多視点映像の必要性について説明できる.
・書写教育においてどこからの視点が効果的か説明できる.
3.課 題
1.書写教育における多視点映像の必要性について具体例を挙げて説明しなさい.
2.書写教育においてどこからの視点が効果的かを具体的に説明しなさい.
3.書写教育における多視点映像教材の企画書を作成しなさい.
4.プレゼン資料
5.動画教材
第12講 授業をデジタルアーカイブする
久世均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
日本の授業のみならず具体的に諸外国の授業をアーカイブ化し,長期保存を考えデジタルアーカイブ手法による関連教育資料の構成について考える.
2.学修到達目標
・授業分析に必要な教育資料の構成について説明できる.
・授業分析手法について具体的に説明できる.
3.課 題
1.授業分析に必要な教育資料の構成について具体例を挙げて説明しなさい.
2.授業分析手法について具体的に説明しなさい.
3.英国の授業分析を右の授業アーカイブプロジェクトの例に倣って,行ってみなさい.
4.プレゼン資料
5.動画教材
第13講 多視点映像教材の流通を考える
久世均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
多様な学習者に対応した映像の教材化を考えると,これまでの単方向を主として撮影・記録されてきたものから,多様な視点で教材を提示・流通することを考える.
2.学修到達目標
・多視点映像教材の教育利用とその効果について説明できる.
・単視点と多視点の映像教材の違いについて説明できる.
・多視点映像教材の有効的な流通方法について説明できる.
3.課 題
1.多視点映像教材の教育利用とその効果について具体的な例を挙げて説明しなさい.
2.単視点と多視点を比較し映像教材の違いについて説明しなさい.
3.多視点映像教材とするとよい教育の対象を説明し,多視点映像教材の企画書を作成しなさい.
4.多視点映像教材の有効的な流通方法について説明しなさい.
4.プレゼン資料
5.動画教材
第14講 遠隔学習における多視点映像の評価法
久世均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
高山での遠隔親子教室を例にアンケートを実施したので,このアンケート結果の分析と今後の課題について考える.
2.学修到達目標
・遠隔学習において動く紙おもちゃのどの視点を配信するとよいか,その学習シーンを想定して説明できる.
・目的に対応したアンケート調査用紙を作成できる.
3.課 題
1.遠隔学習において動く紙おもちゃのどの視点を配信するとよいか,その学習シーンを想定して設計しなさい.
2.遠隔学習における学習効果のアンケート調査用紙を作成しなさい.
3.遠隔学習において教師はどのようなことに配慮して指導することが必要か具体的に説明しなさい.
4.プレゼン資料
5.動画教材
第15講 多視点映像で変える授業
久世均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
岐阜と沖縄の親子教室で,親子を対象に意識調査を実施したので,この意識調査の結果の分析と今後の課題について考える.
2.学修到達目標
・意識調査の必要性について説明できる.
・子どもを対象にした調査の留意点について説明できる.
3.課 題
1.意識調査の必要性について具体的に説明しなさい.
2.子どもを対象にした調査の留意点について具体例を挙げて説明しなさい.
4.プレゼン資料
5.動画教材
第16講 コミュニケーションを可視化する
久世均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
このような活動を教育として適用するためには,活動についての親子の状況を調査し,親子の共同学習として,どのような指導方法,展開をさせるか検討する必要がある.そこで,この「動く紙おもちゃ作り」の教材化と意識の調査を考える.
2.学修到達目標
・コミュニケーションの定義について説明できる.
・コミュニケーションを促す講座の設計について説明できる.
3.課 題
1.コミュニケーションの定義について説明しなさい.
2.コミュニケーションを促す講座を設計しなさい.
3.コミュニケーションに関する独自の調査用紙を作成しなさい.
4.プレゼン資料
5.動画教材
第17講 コミュニケーションを分析する
久世均(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
講師の提示と親子のコミュニケーションによる直接・間接的影響について量的分析を考える.
2.学修到達目標
・フランダースの相互分析カテゴリーシステムについて説明できる.
・コミュニケーションを可視化する方法について説明できる.
3.課 題
1.フランダースの相互分析カテゴリーシステムについて説明しなさい.
2.コミュニケーションを可視化する方法について具体的に説明しなさい.
3.コミュニケーション分析を実際に行ってみなさい.
4.プレゼン資料
5.動画教材
Ⅳ 総合課題
課題1 第1から第8講の中で,興味を持った研究課題についてさらに詳しく調べA4用紙1ページにまとめよ.
課題2 第9から第17講の中で,興味を持った研究課題についてさらに詳しく調べA4用紙1ページにまとめてよ.
Ⅴ アドバイス
課題1解説 テキスト並びに参考文献を参考に論述しなさい.
課題2解説 テキスト並びに参考文献を参考に論述しなさい.
Ⅵ 教材リサーチⅡガイドブック
1.教材リサーチⅡガイドブック(PDF版)
2.教材リサーチⅡガイドブック(Word版)
Ⅶ テキスト
課題提出用
教材リサーチⅡ課題様式(docx)
Ⅷ 参考文献
主にテキストの中に記してある文献が参考になります.
Ⅷ タキソノミーテーブル(教育目標の分類体系:タキソノミー)
1.タキソノミーテーブル(教育目標の分類体系:タキソノミー)(PDF版)
2.タキソノミーテーブル(教育目標の分類体系:タキソノミー)(word版)
※本講座は、大学の授業をリニューアルしてあります。
【授業】教育課程特講
第1講 学校DX(デジタルトランスフォーメーション)の基本概念
高木 徹(アイティ・マネジメント研究所・CEO)
1.何を学ぶか
学校DXは、デジタル技術を利用して教育と学校の運営を改革し、効率的で効果的な学習環境を提供する取り組みである。これにより、教育のデジタル化が進み、生徒がオンラインで個別化された学習を行うことが可能になる。また、教育のアクセシビリティが向上し、地理的な制約や身体的な障壁を克服して高品質な教育を受けられるようになる。さらに、教育の効率性と透明性が向上し、教育プロセスや成果を効果的に追跡・評価できる。これにより、生徒や教師の学習や教育のニーズに合わせたサポートが可能になる。また、新しい学習方法や教育ツールが生まれ、教育の質と多様性が向上する。最後に、学校DXは教育の持続可能性を考慮し、環境負荷の削減や国際的な教育の促進を通じて、持続可能な未来を築くための基盤を整えることができる。
2.学習到達目標
① 学校DX(デジタルトランスフォーメーション)について説明できる。
② 学校DXは教育のデジタル化を促進するために必要なシステムについて説明できる。
3.研究課題
① 学校DXが目指す主な取り組みとは何ですか?また、それが生徒や教職員にどのような利益をもたらすと考えられますか?
② 学校DXにおける教育のアクセシビリティ向上について説明してください。具体的な手段とその効果を挙げてください。
③ 学校DXが教育の効率性と透明性をどのように向上させるか説明してください。デジタル技術の活用がどのように教師や教育行政者の役割を変える可能性がありますか?
4.プレゼン資料
第1講 学校DX(デジタルトランスフォーメーション)の基本概念_プレゼン
5.映像資料
6.資料
第1講学校DX(デジタルトランスフォーメーション)の基本概念
第2講 教育テクノロジーのトレンドと展望
森下 孟(信州大学学術研究院教育学系・准教授)
1.何を学ぶか
教育テクノロジーの現在の動向と将来の展望は多岐にわたる。オンライン学習がCOVID-19の影響で急速に普及し、柔軟性と利便性が求められている。AIや機械学習の利用は教育の個別化をもたらし、VRやARが没入型の学習体験を可能にする。デジタルリテラシーやデータ駆動型教育の重要性が認識されつつあり、クラウドテクノロジーやモバイルテクノロジーの普及も加速している。これらのトレンドが教育環境の改善や効率化につながり、学習者にとってより良い体験を提供することが期待されている。
2.学習到達目標
① 教育テクノロジーのトレンドと展望について説明できる。
② ラウドテクノロジーやモバイルテクノロジーなどの教育テクノロジーを、教育現場でどのように活用できるかを考え、具体的な適用方法を説明できる。
③ データ駆動型教育やAIの活用など、教育テクノロジーを活用して教育環境を改善するための戦略や施策を立案できる。
3.研究課題
① 教育テクノロジーのトレンドとして挙げられるものは何ですか?また、それらの展望にはどのような要素が含まれますか?
② 教育におけるAIや機械学習の活用はどのような利点をもたらすと考えられますか?具体的な例を挙げて説明してください。
③ デジタルリテラシー教育の重要性について述べてください。将来的にデジタルリテラシーがますます重要になる理由について説明してください。
4.プレゼン資料
5.映像資料
6.資料
第3講 デジタル教育プラットフォームの導入
木田 博(鹿児島市教育委員会・教育DX担当部長)
1.何を学ぶか
デジタル教育プラットフォームは、オンラインの基盤として、教育機関や教育者が学習体験の提供や教育プロセスの管理を行うための重要なツールである。主な機能として、学習管理システム(LMS)を中核とし、教材の管理と配信、コラボレーションツールの提供、データ分析と進捗追跡、アクセス管理とセキュリティ、そしてモバイル対応性が挙げられる。これらのプラットフォームは、学習者のニーズに合わせたカスタマイズや個別化を可能にし、教育のアクセシビリティと品質を向上させる重要な役割を果たしている。
2.学習到達目標
① デジタル教育プラットフォームを選定し、適切に導入するプロセスを説明できる。
② 学習管理システム(LMS)を使用して、コースの作成や管理、教材の配信、生徒の進捗状況の追跡ができることを説明できる。
③ コラボレーションツールやデータ分析機能を活用して、生徒と教育者が効果的に相互作用し、学習の進捗を評価・改善する方法について具体例を挙げて説明できる。
3.研究課題
① デジタル教育プラットフォームの選定において、教育機関が最も重視すべき要素は何ですか?それを考慮する際にどのような基準が重要ですか?
② 学習管理システム(LMS)の利用によって教育者が実行できる具体的な機能は何ですか?また、それらの機能が教育プロセスにどのような影響を与えるか説明してください。
③ デジタル教育プラットフォームにおけるコラボレーションツールの重要性は何ですか?教育者や生徒がこれらのツールを活用することで得られる利点について述べてください。
4.プレゼン資料
5.映像資料
6.資料
第4講 教育データとその活用
今井亜湖(岐阜大学教育学部・教授)
1.何を学ぶか
教育データの活用と分析は、教育分野における重要な取り組みである。教育データは、生徒や教育者の学習や教育プロセスに関する情報を示し、適切に収集、分析、活用されることで、教育の質の向上や個々の生徒の成果の最大化が可能となる。教育データの収集は、生徒の試験結果や成績、出席状況、学習活動の記録、教育プログラムの評価など、さまざまな情報源から行われる。
また、データの分析では、統計的手法や機械学習アルゴリズムを用いて、データから傾向やパターンを発見し、洞察を得ることができる。教育データの活用は、教育の改善や最適化、学習の個別化、予測分析や政策立案などに役立つ。しかし、個人情報保護やデータセキュリティの問題も重要であり、教育機関や企業は適切な管理とセキュリティ対策を実施する必要がある。
2.学習到達目標
① 教育データについて説明できる。
② 教育現場での教育データの利活用の必要性について説明できる。
③ 教育データの利活用を推進するための今日的課題について説明できる。
3.研究課題
① 学習者の学習状況を把握するためにはどのような教育データが利用されますか? また、その教育データを利用する時に気をつけるべきことを説明しなさい。
② 教育データEdTech利活用のELSIケースを1つ選び、あなたがそのケースに対してどのように対応するかを説明しなさい。
4.プレゼン資料
5.映像資料
6.資料
第5講 デジタルリテラシーと教育
田中康平(教育ICTデザイナー)
1.何を学ぶか
デジタルリテラシーは、現代社会で不可欠なスキルであり、デジタルテクノロジーを理解し、安全かつ効果的に活用する能力を指す。情報の評価やデジタルツールの操作、適切なコミュニケーション能力を包括する。デジタルリテラシーは、個人の日常生活や仕事、さらには教育においても重要な役割を果たす。
デジタルリテラシーの重要性:
デジタルリテラシーは21世紀の生活でますます重要性を増している。デジタルテクノロジーの急速な発展により、情報やコミュニケーションがデジタル化され、デジタルリテラシーが必要な場面が増えている。
教育におけるデジタルリテラシーの役割:
教育機関は、生徒にデジタルリテラシーを教育し、デジタルツールやテクノロジーを効果的に活用するスキルを提供する責任がある。これにより、生徒は情報の洞察力を高め、デジタル技術を使って問題を解決し、コミュニケーションを円滑に行う能力を身につけることができる。
デジタルリテラシーの要素:
デジタルリテラシーは、情報リテラシーやメディアリテラシー、テクノロジーリテラシー、デジタルコミュニケーション、デジタルセキュリティなどの要素から構成されている。これらの要素を理解し、実践することが重要である。
2.学習到達目標
① 学習者にデジタルリテラシーがなぜ重要かを理解し、具体的な例を挙げて説明できる。
② 教育機関がデジタルリテラシーを教育する際に考慮すべき要素やその実践方法を理解し、デジタルリテラシーが教育においてどのような役割を果たすかを説明できる。
③ デジタルリテラシーの要素を理解し、それらの要素のうち何を重要だと考えるかを述べ、その理由を説明できる。
3.研究課題
① デジタルリテラシーが現代社会でなぜ重要なのか、具体的な例を挙げて説明してください。
② 教育機関がデジタルリテラシーを教育する際に考慮すべき要素は何ですか?それらの要素を実践するための方法はありますか?
③ デジタルリテラシーの要素のうち、自身がもっとも重要だと考えるものは何ですか?その理由を説明してください。
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第6講 教育のカスタマイズと個別化
林 一真(岐阜聖徳学園大学・講師)
1.何を学ぶか
教育のカスタマイズと個別化は、生徒のニーズや能力に合わせた教育プロセスを構築する取り組みであり、近年重視されている。カスタマイズされた学習コンテンツや個別化された教授法、テクノロジーの活用、個別化された学習アセスメント、フリーカレンダーカリキュラムなどの手法が用いられ、教育のカスタマイズと個別化を実現している。これにより、生徒の自律性や自己管理能力が向上し、教育効果が高まる。また、教師の役割も変化し、ガイドやコーチとしての役割が重視されている。さらに、社会的・情緒的な学習や継続的な評価とフィードバックの重要性も強調されている。教育のカスタマイズと個別化は、生徒一人ひとりの個性を尊重し、より有意義な学びを促進することを目指している。
2.学習到達目標
① 教育のカスタマイズと個別化の重要性を説明できる。
② カスタマイズされた学習コンテンツや教授法の利点を説明できる。
③ テクノロジーを活用して教育のカスタマイズと個別化を実現する方法を具体的に説明できる。
3.研究課題
① 教育のカスタマイズと個別化がなぜ重要なのか説明してください。その取り組みが生徒にどのような利益をもたらすか述べてください。
② カスタマイズされた学習コンテンツや個別化された教授法が、従来の教育方法とどのように異なるか説明してください。それらが生徒の学習にどのように寄与するか述べてください。
③ テクノロジーを活用して教育のカスタマイズと個別化を実現するための具体的な方法について、例を挙げて説明してください。その方法がどのようにして生徒の学習をサポートするか述べてください。
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第7講 デジタルコンテンツの制作と活用
堀田博史(園田学園女子大学・教授)
1.何を学ぶか
デジタルコンテンツの制作と活用は、教育や情報発信において重要な役割を果たしている。デジタルコンテンツは、テキスト、画像、音声、動画などの形式で情報を表現し、オンラインやデジタルメディアを通じて幅広い視聴者に届けられる。
デジタルコンテンツを制作する際には、まずコンテンツプランニングが重要である。その後、テキスト、画像、音声、動画などの要素を組み合わせてコンテンツを制作し、編集や配信準備を行う。
デジタルコンテンツの種類は、テキスト、画像、音声、動画などがある。これらは、ウェブ記事やブログ、写真、ポッドキャスト、YouTube動画など、様々な形で利用されている。
デジタルコンテンツは、教育分野ではオンライン教育や学習アプリ、マーケティング分野ではウェブサイトやソーシャルメディア、エンターテイメント分野では映画や音楽、ゲームなど、多岐に渡って活用されている。
デジタルコンテンツの特徴としては、柔軟性と拡張性、インタラクティブ性、データ解析の可能性が挙げられる。これらの特徴を活かして、より効果的なコンテンツ制作や配信が可能である。
将来展望では、AIや機械学習技術の進化、拡張現実や仮想現実の普及、個別化されたコンテンツの提供などが期待されている。
2.学習到達目標
① デジタルコンテンツとは何かを説明できる。
② デジタルコンテンツの種類や特徴を表にして説明できる。
③ デジタルコンテンツが特に教育分野でどのように活用されているか具体例を挙げて説明できる。
④ デジタルコンテンツの作り手としての手順を説明できる。
3.研究課題
① デジタルコンテンツとして教育や生活で利用するものに何があるか考えてください。
② デジタルコンテンツの異なる種類の具体例を5つ表にまとめてください。
③ あなたが考えるデジタルコンテンツに使い手として求めることを3つ記述ください。
④ デジタルコンテンツの作り手として、どのような順序でコンテンツを制作するか、その手順を書いてください。
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第8講 オンライン教育とテレワーキング
成瀬喜則(富山大学・名誉教授・学長特命補佐)
1.何を学ぶか
オンライン教育とテレワーキングは、デジタルテクノロジーの進歩によって可能になった新しい働き方や学び方の形態である。オンライン教育は、インターネットを通じて教育コンテンツを提供し、学習を支援する教育形態であり、時間と場所によらず自分のペースで学習を進めることができる。さらに、個人の学習の可能性が広がるだけでなく、国内外の多様な人材との協働が可能になる等、児童生徒の資質・能力の育成にも役立つ。
また、テレワークは、オフィスや会社の施設での勤務にこだわらず、さまざまな場所や可能な時間帯で仕事を行うことができる。コミュケーションや情報セキュリティの課題がある一方で、時間の有効活用、ライフスタイルに合った働き方、仕事のモチベーションの向上に役立っている。デジタルテクノロジーの進化によって働き方は多様化していくと考えられている。
オンライン教育とテレワーキングは、デジタルテクノロジーの発展により可能になった新しい学び方や働き方であり、これまでの学習方法、研修方法と併せて実施することでさまざまな効果が期待できる。以下では、オンライン教育とテレワーキングについて詳しく説明する。
2.学習到達目標
①オンライン教育と児童生徒の資質・能力の育成との関係、テレワーキングの利点や課題を説明できる。
②デジタルテクノロジーがオンライン教育とテレワーキングにどのような役割を果たしているかを説明できる。
③将来展望を通じて、オンライン教育とテレワーキングの可能性について説明することができる。
3.研究課題
①オンライン教育の特徴について説明しなさい。学校教育ではどのような場面で活用するといいと思いますか。
②テレワーキングの利点と課題を挙げなさい。テレワークを進める上でどのようなことに留意する必要があると思いますか。
③オンライン教育やテレワーキングを進める上でデジタルテクノロジーをどのように活用すればいいか具体的な例を挙げながら説明しなさい。
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第9講 デジタルセキュリティとプライバシー
村瀬康一郎(岐阜女子大学・教授)
1.何を学ぶか
デジタルセキュリティとプライバシーの重要性は、デジタルテクノロジーの進展に伴いますます高まっている。デジタルセキュリティは、コンピュータシステムやネットワーク、データの保護を確保し、機密性、完全性、可用性を守るための手段である。主な要素は暗号化、アクセス制御、ファイアウォール、セキュリティポリシーなどです。プライバシーは、個人情報や権利が尊重され保護される権利であり、個人情報の保護やインフォームドコンセント、匿名化、データセキュリティがその実現に役立つ。デジタルセキュリティとプライバシーは密接に関連しており、セキュリティが確保されないとプライバシーが侵害されるリスクが高まる。個人情報の価値が高まり、サイバー攻撃の増加、規制の強化などにより、これらの保護はますます重要となっている。
2.学習到達目標
① デジタルセキュリティの基本原則を理解し、暗号化、アクセス制御、ファイアウォール、セキュリティポリシーなどのセキュリティ手法を説明できる。
② プライバシーの重要性を認識し、個人情報の保護やインフォームドコンセント、匿名化、データセキュリティなどのプライバシー保護手法を説明できる。
③ デジタルセキュリティとプライバシーの関係を理解し、セキュリティの確保がプライバシー保護にどのように関連しているかを説明できる。
3.研究課題
① デジタルセキュリティの一つである「暗号化」について説明せよ。また、なぜ暗号化がデジタルセキュリティにとって重要なのか述べよ。
② プライバシー保護の手法の一つとして挙げられる「インフォームドコンセント」とは何か説明せよ。なぜインフォームドコンセントがオンライン上での情報の収集や利用において重要なのか説明せよ。
③ デジタルセキュリティとプライバシーの関係について説明せよ。セキュリティの確保がプライバシー保護にどのように関連しているか具体的な例を挙げて説明せよ。
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第10講 教育ICTのインフラ整備
谷 正友(一般社団法人 教育ICT政策推進機構・代表理事)
1.何を学ぶか
教育ICTのインフラ整備は、デジタル技術を活用した学習環境を構築するための重要な取り組みである。これには、ネットワーク、ハードウェア、ソフトウェア、セキュリティ対策などが含まれる。
ネットワークインフラは、高速で安定したインターネット接続を提供し、教育活動に必要な情報へのアクセスを円滑に行う。また、ハードウェアインフラは、コンピューターやタブレットなどのデバイスを整備し、学習や教育活動をサポートする。
ソフトウェアインフラは、オンライン教育プラットフォームや学習管理システムなどのソフトウェアを提供し、教育プロセスを支援する。そして、セキュリティ対策は、データやシステムを保護し、教育ICTの安全性を確保する。
これらの整備により、学習環境が向上し、教育の効率化やICTリテラシーの育成が促進される。技術の進化や教育の変化に合わせて、継続的な整備と改善が求められる。
2.学習到達目標
① 教育ICTのインフラ整備の目的と重要性を説明できる。
② 教育ICTのネットワーク、ハードウェア、ソフトウェア、セキュリティ対策などの要素を説明できる。
③ 教育ICTのインフラ整備が学習環境の向上や教育の効率化にどのように貢献するかを説明できる。
3.研究課題
① 教育ICTのインフラ整備において、ネットワークインフラの重要性は何ですか?その要素としてどのような点が挙げられますか?
② 教育ICTのハードウェアインフラ整備にはどのような要素が含まれますか?それぞれの要素がどのような役割を果たしていますか?
③ 教育ICTのインフラ整備が学習環境や教育の効率化に与える影響について、具体的な例を挙げて説明してください。
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岐阜女子大学デジタルアーカイブ講座-第10講-教育ICTのインフラ整備
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第11講 デジタル教育の評価と効果検証
久世 均
1.何を学ぶか
デジタル教育の評価と効果検証は、デジタル技術を用いた教育の効果を客観的に評価し、改善や効果の確認を行う重要なプロセスである。デジタル教育の評価では、学習成果や効果、ユーザー満足度などを定量的・定性的に評価し、改善点を把握する。効果検証では、対照群研究や前後比較などの手法を用いて、デジタル教育の効果を客観的に検証する。これにより、効果的な教育の実現や資源の最適化が図られるが、適切な評価指標やデータ収集の難しさなどの課題も存在する。
2.学習到達目標
① デジタル教育の評価手法と効果検証のプロセスを説明できる。
② 教育プログラムや取り組みの目標や効果を明確に定義し、それらを客観的に評価できる。
③ 適切な評価指標や効果検証の手法を選択し、デジタル教育の効果を客観的に評価し、改善につなげることを具体例を挙げて説明できる。
3.研究課題
① デジタル教育の評価において重要な要素は何ですか?それらの要素を説明してください。
② 効果検証のプロセスにはどのような手法やアプローチが利用されますか?それぞれの手法やアプローチについて説明してください。
③ デジタル教育の評価や効果検証にはどのような課題がありますか?それらの課題に対処するためにはどのようなアプローチが有効ですか?
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第12講 イノベーションとチェンジマネジメント
高木 徹(アイティ・マネジメント研究所・CEO)
1.何を学ぶか
イノベーションとチェンジマネジメントは、組織や社会における変革を促進し、成功させるための重要な概念である。イノベーションは新しいアイデアや手法を創造し、価値を創造するプロセスであり、創造性、リスク、変革の特性がある。一方、チェンジマネジメントは組織や個人の変革を計画的に管理し、ビジョン設定、コミュニケーション、関係者の参加と支援を含む要素がある。両者は組織や社会の成長と発展に不可欠であり、文化の変革やリーダーシップの重要性、リスク管理が課題として挙げられる。
2.学習到達目標
① イノベーションの概念と特徴を説明できる。
② チェンジマネジメントの重要性と原則を説明できる。
③ イノベーションとチェンジマネジメントの関係を説明し、組織や社会における変革を促進する方法を具体例を挙げて説明できる。
3.研究課題
① イノベーションの特徴として正しいものはどれか。
a) 既存のアイデアや手法を維持することが主眼である。
b) リスクを避けることが最優先される。
c) 新しいアイデアや手法を創造し、それを実践に移すことで価値を創造する。
d) ビジョンや目標の設定が必要ない。
② チェンジマネジメントにおけるコミュニケーションの重要性は何に関連しているか。
a) ビジョンと目標の設定
b) リスク管理
c) 関係者の参加と支援
d) 変革に関する情報の適切な伝達と理解
③ イノベーションとチェンジマネジメントの関係について正しい説明はどれか。
a) イノベーションは変革の原動力であり、チェンジマネジメントはそれを抑制する役割を果たす。
b) イノベーションは変革を促進するが、チェンジマネジメントは変革の管理や成功を図るための手法である。
c) イノベーションとチェンジマネジメントは無関係であり、異なる目的を持つ。
d) イノベーションは変革の阻害要因であり、チェンジマネジメントは変革の進行を妨げる。
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第13講 プロジェクトマネジメントとリーダーシップ
高木 徹(アイティ・マネジメント研究所・CEO)
1.何を学ぶか
プロジェクトマネジメントとリーダーシップは、組織やチームにおける目標達成と成果最大化を促進する重要な概念である。プロジェクトマネジメントは、特定の目標達成のために計画的に実行されるプロセスや手法であり、目標の設定から実行、監視、閉会までの段階を含む。一方、リーダーシップは、組織やチームを効果的に方向付け、目標達成を支援する能力やプロセスを指す。プロジェクトマネジメントにおいては、リーダーシップの原則やスキルが重要であり、プロジェクトマネージャーがチームを指導し、方向性を提供する。また、チームメンバーもリーダーシップのスキルを持ち、協力してプロジェクトの成功に貢献する。両者には課題も存在し、コミュニケーションやリソース管理、変更管理などが挙げられるが、適切なスキルやプロセスの活用により、目標の達成や成果の最大化が実現される。
2.学習到達目標
① プロジェクトマネジメントの基本原則を説明できる。
② リーダーシップの重要性を認識し、チームを効果的に指導する方法具体例を挙げて説明できる。
③ プロジェクトマネジメントとリーダーシップの関連性を理解し、組織やチームの目標達成に貢献する能力を3つ挙げて説明できる。
3.研究課題
① プロジェクトマネジメントの中で、どのようなステップが計画の一部として含まれますか?それぞれのステップの役割は何ですか?
② リーダーシップにおけるビジョンの提供はなぜ重要ですか?リーダーがビジョンを提供することで得られる利点は何ですか?
③ プロジェクトマネジメントとリーダーシップの関係はどのようなものですか?プロジェクトマネジメントにおけるリーダーシップの役割は何ですか?
4.プレゼン資料
第13講 プロジェクトマネジメントとリーダーシップ_プレゼン
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第14講 デジタル教育とELSI
芳賀高洋(岐阜聖徳学園大学・教授)
1.何を学ぶか
ELSI(エルシー)とは「倫理的(Ethical)」、「法的(Legal)」、「社会的(Social)」な「課題(Issues)」のそれぞれの頭文字をとったものである。
科学技術が人類や地球環境に及ぼす影響を多面的に捉え、よりよき科学技術の発展を目指すことを目的として、新しい科学技術の開発や普及(利用)に際して、その科学技術が倫理的、法的、社会的にどのような影響や課題があるかを検討し、指針(ガイドライン)を策定したり、それら課題の解決方法を示すことを総称した言葉である。
本講座では、学校教育のよりよき変革(DX)を目指して、今後の初等中等教育での利活用が検討されている生成AIを題材にELSIを考える。
2.学習到達目標
① ELSIとは何か説明できる
② 新しい科学技術の教育利用にあたってELSIを考えることができる。
③ 生成AIのELSIについてその概要を理解する。
3.研究課題
① ELSIとは何のことですか?説明しなさい。
② 生成AIのELSIのうち「倫理的課題」の「偏見」の具体的例を述べなさい。
③ 生成AIの「ジェイルブレイク(脱獄)」とはどのような行為か説明しなさい。
④ 生成AIのELSIのうち「法的課題」の「著作権/知的財産」の問題で、生成AIの私たち一般利用者がするべきことを述べなさい。
⑤ 生成AIのELSIのうち「社会的課題」の「格差問題」と「自然環境問題」について、どのような問題かを述べなさい。
4.プレゼン資料
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第15講 学校DX戦略の策定と展望
田中康平(教育ICTデザイナー)
1.何を学ぶか
学校 DX 戦略の策定では、教育機関がデジタル技術を活用して学習モデルの質的な変革を目指し、新たな価値を創出するための計画や施策を立案する。そのためには、現状及び将来的 な課題の分析、ビジョンと目標の設定、具体的な方略の設計、組織的な実行などが含まれ る。学校 DX 戦略の展望として、教育機関が DX に取り組むことで変革する役割、志向する新 たな価値を見据える。
2.学習到達目標
① 学校DXのビジョンと目標を明確に設定、説明できる。
② 学習の個別化と柔軟性を促進するためのデジタル技術の活用方法を説明できる。
③ デジタル格差を解消するための施策について具体例を挙げて説明できる。
3.研究課題
① 学校DX戦略の策定において、なぜ現状分析が重要なのでしょうか?具体的な例を挙げて説明してください。
② 学校DX戦略の展望において、デジタル技術を活用した教育の個別化がなぜ重要なのか説明してください。また、個別化がもたらす具体的な利点は何ですか?
③ 学校DX戦略の課題として挙げられている「デジタル格差」とは何ですか?その解消策を2つ挙げて説明してください。
4.プレゼン資料
5.映像資料
6.資料
資料
1.【e-Learning】学校DX戦略コーディネータ特論(Ⅱ):学習到達目標
2.【e-Learning】学校DX戦略コーディネータ特論(Ⅱ):学習到達目標(内容含)