【授業】情報処理Ⅱ ~情報と人権~ 【2026年度版】
【授業】情報処理Ⅱ ~情報と人権~ 【2026年度版】
本講座のポイント
1.概 要
情報化社会と人権に関する講義用テキストです。前半では、2000年代初頭におけるパソコンや携帯電話、インターネットの爆発的な普及背景と、それが個人の生活様式に与えた劇的な変化を解説しています。中盤からは、場所を問わずネットワークに繋がるユビキタス・コンピューティングの概念を提示し、情報家電やスマート住宅といった具体的な応用例を紹介しています。さらに、日本の国家戦略であるu-Japan政策や、情報化に伴うセキュリティ、プライバシー保護の重要性についても詳しく言及しています。最後には、企業活動におけるIT導入の実態を取り上げ、技術革新が社会構造や経済活動のあり方をいかに再構築したかを体系的にまとめています。
(1)ユビキタス社会がもたらす生活の変革
(2)IT革命が日本の産業構造や企業に与えた影響とは?
(3)国のu-Japan政策が目指すICT社会の姿を解説して
本講座の全体の概要を下記の示します。
2.学習の方法
アメリカ国立訓練研究所の研究によると、学習方法と平均学習定着率の関係は「ラーニングピラミッド」という図で表すことができます。大学の授業や会社の新人研修などでは、講義・実技・議論などさまざまな方法で学習を行いますが、学習時間が限られていて状況では、より効率の良い方法での学習がスムーズに学習内容を身につけることにつながります。
つまり、ラーニングピラミッドは受動的な学習から能動的な学習までを段階的に行い、学習の定着率アップを図っていく方法です。
物事を他人に教えるためには、自分でしっかりと内容を理解していなければならないため、ラーニングピラミッド理論では、もっとも知識の定着率が高い段階とされています。
そこで、本講座は、学生と協働して、e-Learningコンテンツを作成します。
学生は、各テーマに基づいて興味がある内容を選択し、最新情報も調査しまとめてプレゼン資料と動画資料を作成し人に教えることによって学ぶ方法を教えます。
なお、各講には、AIで作成したプレゼン資料と動画がありますので、これらを活用して内容を把握してください。
第1講 身の回りの情報化
1.学習のポイント
2000年代初頭における日本社会の急速な情報化と、IT技術が日常生活に浸透していく過程を解説しています。パソコンの性能向上と低価格化により、家庭での所有率がテレビやワープロを凌ぐ勢いで増加した背景が示されています。また、携帯電話が単なる通話手段からインターネット端末へと進化し、人々の生活様式を一変させた様子が分かります。インターネットの爆発的な普及についても触れており、定額制や高速回線の登場が普及を後押しした点に注目しています。デジタルカメラなどの普及を含め、多様なデジタル機器が個人の趣味や仕事の在り方を多様化させた時代背景を概観できる内容です。最終的に、情報技術が職場や学校だけでなく、家庭や個人の生活に深く溶け込んでいった歴史的転換点が描かれています。
2.重点事項
(1)家庭での普及率は40%になりワープロ普及率を超え(ワープロ専用機は有力メーカーが2000年に続々と撤退しました)るなど,家庭でのパソコン所有率・利用率は急速に増加しています。
(2)インターネットの利用内容も大きく変化してきました。従来は,職場や学校からの利用が多かったのに,最近では自宅からの利用が増大しています。職場・学校での利用者の大部分は,自宅でも利用しているといえます。それとともに,利用者での女性やパソコン初心者の割合が急速に増えています。このように,インターネットは生活の中に溶け込んできたといえましょう。
3.キーワード
ムーアの法則,パソコンの諸元,パソコン・携帯電話・デジタルカメラ・インターネットの普及率,ブロードバンド
4.課 題
第1問 インターネットなどの普及は急速であり,現在は本文のデータとはかなり異なっていると思われる。参考URLにより現在のパソコンやインターネットの普及状況を調べましょう。また,あなたのグループ(学校のクラスや会社の部課など)での普及状況と比較してみましょう。
第2問 家庭でのインターネット利用の増加により,どのような家庭での生活の変化,情報提供側の変化が起こっている(将来起こる)と考えられますか。
第3問 インターネットが生活に溶け込んだ背景を調べなさい。
5.プレゼン資料
6.動画資料
7.テキスト
第2講 ユビキタス・コンピューティング
1.学習のポイント
日常生活のあらゆるところでコンピュータを活用できるユビキタス・コンピューティングの概念とその社会的な広がりについて解説しています。情報機器の存在を意識せずに恩恵を受けられるこの技術は、情報家電やウェアラブル端末、RFIDといった多様な形で具現化されています。単なる技術革新にとどまらず、ビジネスのあり方や消費者の価値観を大きく変革するユビキタス社会の構築がその本質です。日本はTRONプロジェクトなどを通じてこの分野を先導しており、国としてもu-Japan政策を推進して高度な情報通信基盤の整備を図っています。あわせて、健全な発展のために情報セキュリティの確保やプライバシー保護、倫理基準の確立といった課題にも言及しています。これらを通じて、人間と技術が調和する高度情報化社会の実現を目指す指針が示されています。
2.重点事項
(1)1988年に米ゼロックス パロアルト研究所のマーク・ワイザー(Mark Weiser)は,人間とコンピュータの相互作用の発展として,「TSSにより,1台のコンピュータを共同利用できる環境」から「パソコンの普及により,1人が1台のコンピュータを使う環境」へと進んできたが,将来は「ユビキタス・コンピューティングの環境」へと発展するといいました(”The Computer for the 21st Century”,Scientific American,1999)。
(2)総務省は,ユビキタスネット社会の実現に向けて,その具体的な姿や実現のための政策について検討を行うために,2004年3月から「ユビキタスネット社会の実現に向けた政策懇談会」を開催してきましたが,2004年12月に最終報告書として,「u-Japan政策」をとりまとめました。
3.キーワード
ユビキタス・コンピューティング、u-Japan、ユビキタスネット社会憲章
4.課 題
第1問 次の文のうち,正しいものには○印をつけ,誤りのものには×印をつけて誤りの理由を示しなさい。
1.ユビキタス・コンピューティングという概念は,2000年代になってからいわれるようになった。
2.ユビキタス社会とは,高度情報化社会の一局面であるといえる。
3.ウェアラブル・コンピュータは,人間が持ち歩くのだから,モバイル・コンピューティングでありユビキタス・コンピューティングとはいわない。
4.RFIDタグを用いる情報活用は,すべてユビキタス・コンピューティングである。
5.情報家電をネットワークアクセスする観点からも,IPv6の普及が望まれる。
6.日本は,ユビキタス・コンピューティングに関連する技術が進んでいる。
7.ユビキタス・コンピューティングが普及すれば,情報セキュリティ対策での大部分の課題は解決される。
8.ユビキタスネット社会憲章は,インターネットでのウイルスや不正アクセスを防止する情報セキュリティ対策を示したものである。
第2問 次の問に答えなさい。
1.ユビキタス・コンピューティングとして,あなたはどのような情報機器やサービスがあればよいと思いますか。
2.「ユビキタス社会とはいっても,現在の情報活用環境が発展しただけで,本質的な変化はない」という意見に,あなたはどう考えますか。
第3問 ユビキタス社会では生活やビジネスがどう変わりますか?
5.プレゼン資料
6.動画資料
7.テキスト
第3講 企業での情報化
1.学習のポイント
企業における情報化の進展とその具体的な活用形態について解説しています。オフィス業務でのコンピュータやインターネットの普及状況を背景に、業務効率化を担う「基幹系」、情報の利活用を促す「情報系」、共有を支える「コミュニケーション系」という3つのシステム分類を提示しています。特に、専門家ではない従業員が主体となるEUC(エンドユーザ・コンピューティング)の重要性が強調されており、ネットワークの進化が社内だけでなく電子商取引などの企業間連携を加速させている現状を述べています。企業で求められる情報技術とは、単なるソフトの操作に留まらず、これらシステムを通じて問題を解決し、価値を創造する能力であると結論づけています。
2.重点事項
(1)企業での情報化の状況は,企業の規模や業種・業態により大きな差がありますが,現在急速に進んでいる。
(2)コンピュータの発展の歴史は,コンピュータ利用の大衆化の歴史,すなわちEUCの発展の歴史だといえます。現在ではEUCがコンピュータ利用の大半を占めるようになりました。
3.キーワード
企業での情報機器の普及状況、EUC(エンドユーザ・コンピューティング)、EUCの普及
4.課 題
第1問 企業での情報化では「エンドユーザ・コンピューティング」が重視されています。どうしてそれが重要なのかを考えましょう。
第2問 このような状況において,企業で求められる人材とはどのような知識能力を持つ(あるいは持てる能力のある)人のことでしょうか。いろいろな観点から考えてください。
第3問 企業における情報システムの3つの主要な分類と役割とは?
5.プレゼン資料
6.動画資料
7.テキスト
第4講 情報化社会とIT革命
1.学習のポイント
工業化社会から情報化社会への歴史的な変遷と、それに伴うIT革命の本質を解説しています。18世紀の産業革命がモノの大量生産を可能にしたのに対し、現代のIT革命は情報の価値を飛躍的に高め、経済の仕組みを「収益逓増の法則」へと塗り替えました。インターネットの普及は、産業構造や国家経済のあり方を根本から変え、時間や場所の制約を打ち破る新しい社会秩序を生み出しています。さらに、私たちの日常生活や教育現場においても、情報リテラシーが不可欠な時代へと移行している現状を示しています。この変化は、かつての産業革命に匹敵する、あるいはそれ以上の社会的インパクトを持つ劇的な転換点として位置づけられています。
2.重点事項
(1)18世紀の蒸気機関の発明を発端とした機械工業技術の進歩は,それまでの農業社会から工業化社会に移行させ,個人の生活から国家や社会の経済活動まで広い分野を大きく 変化させました。それを産業革命といいます☆。モノ(工業製品)の大量生産やエネルギーの大量消費を中心にした工業化社会は現在まで継続して発展してきました。
(2)1990年代後半からは,インターネットに代表される情報技術が急速に発展しています。情報流通の費用と時間を劇的に低下させて,企業活動,個人生活,国家経済など広範囲に大きな影響を与えています。その変化があまりにも急激で広範囲に影響を及ぼすことから,この変化をIT革命(IT=Information Technology:情報技術)と呼ばれています☆。そして,IT革命が産業革命と同等な影響を及ぼすと認識している人も多いのです。なお,IT革命が進んだ社会を高度情報化社会といいます。
3.キーワード
情報化社会、IT革命、工業化社会
4.課 題
第1問 次の文のうち明らかに誤りである文をあげて,誤りの理由を示しなさい。
1.「情報化社会」とは,インターネットが急速に普及してきたことが原因になりいわれるようになった概念である。
2.メットカーフの法則は収益逓減の法則でもある。
3.「情報の価値は端末数(利用者数)の2乗に比例する」現象をジョージ・キルダーの仮説という。
4.情報技術の急速な発展により,広範囲に急激な変化が発生している。これをIT革命という。
5.インターネットに代表される情報技術の発展により,従来の産業構造を支えてきた秩序が大きく崩れてきた。
第2問 次の作業をしなさい
1.本文の記述以外にも工業化社会と情報化社会では多様な違いがあるでしょう。その対比表を作成しましょう。
2.あなたが現実に体験・見聞していることで,ITの発展により急激に大きな変化が進んでいる現象を列挙しましょう。
第3問 工業化社会と情報化社会では経済原則がどのように異なるのか述べなさい?
第4問 収益逓増の法則はなぜ情報化社会で起きるのか述べなさい?
5.プレゼン資料
6.動画資料
7.テキスト
第5講 ITで産業構造が変わる
1.学習のポイント
IT革命が産業構造にもたらした劇的な変化と、それに伴う新しいビジネス概念を解説しています。インターネットの普及と規制緩和によって、世界規模での激しい競争を意味するメガ・コンペティションが加速し、従来の商習慣や産業秩序が根本から再構築されました。具体的には、オンライン書店の台頭や電子商取引(EC)の拡大により、既存の業態が変化しただけでなく、異業種からの新規参入も活発化しています。また、製造業における従来の系列・下請構造が崩壊し、金融業界では大規模な再編が起こるなど、効率性を重視したグローバル基準への移行が強調されています。このように、ITは企業にとって既存の資産を負債に変える脅威となる一方で、新たな成長を掴むデジタル・オポチュニティを提供していると説いています。
2.重点事項
(1)インターネットの普及と規制緩和により,新規業種の創出や異業種からの参入が盛んになってきました。
3.キーワード
グローバル化、メガ・コンペティション、デ・コンストラクション、デジタル・オポチュニティ、eビジネス
4.課 題
第1問 インターネットは,中小企業が大企業と互角に戦えるデジタル・オポチュニティであるといわれていますが,なぜでしょうか。
第2問 このように変化が激しい環境では,企業はどのような人材を必要とするでしょうか。
第3問 「クリック・アンド・モルタル」など、IT時代の新しい販売戦略について教えてください。
5.プレゼン資料
6.動画資料
7.テキスト
第6講 ITで経済が変わる
1.学習のポイント
IT(情報技術)の積極的な活用が経済成長の鍵となった1990年代以降の日米の対照的な動向を解説しています。米国はIT投資を原動力に「ニューエコノミー」と呼ばれる繁栄を享受した一方で、日本はバブル崩壊後の不況によりIT化に乗り遅れ、国際的な地位を低下させた現状が記されています。また、韓国やシンガポールといったアジア諸国との比較を通じ、日本のパソコン所有率やインターネット利用率の低さが、経済回復の足かせとなっている点に警鐘を鳴らしています。IT革命は情報の加工費用を劇的に下げ、経済全体に多大な波及効果をもたらすため、情報インフラの整備とリテラシーの向上が急務であると説いています。最終的に、一時的なITバブルの崩壊を経験しつつも、IT投資が長期的な収益改善や経済発展に不可欠な要素であることを強調する内容です。
2.重点事項
(1)ITが経済に与える効果は,次のように考えられます。ITの発展により情報の伝達や加工に要する費用が非常に安価になる(キルダーの仮説)ことにより,ITを利用した分野が急速に発展します。しかも,情報の価値は規模が増大するにつれて急速に高まるのですから,IT環境を整備することは,経済効果を急速に高めることになります。
3.キーワード
経済とIT、ITの効果、米国ITバブルの崩壊
4.課 題
第1問 米国では不況のときにIT投資を行なって経済を復活させたのに,日本では不況が原因で「失われた十年」を続けてきました。その理由は何なのでしょうか。
第2問 早期にIT革命を達成した国とそれに乗り遅れた国とは,将来どのような違いが出てくるでしょうか。
第3問 1990年代に米国がITで経済復活を遂げた理由は何か述べなさい?
5.プレゼン資料
6.動画資料
7.テキスト
第7講 ITで教育が変わる
1.学習のポイント
情報化社会の発展に向けた日本の教育体制の変革と、その具体的なロードマップを解説しています。初等・中等教育においては、IT環境の整備や高校での情報科目の必修化など、国を挙げたITリテラシー向上の取り組みが示されています。一方、大学教育では他校との差別化や学生の就職支援を目的とした、より自律的なIT活用が求められています。講義でのマルチメディア利用だけでなく、遠隔教育や事務の合理化、さらにはWebサイトを通じた社会貢献など、教育現場のデジタル化は多岐にわたります。全体として、技術操作の習得に留まらず、情報を主体的に活用して社会課題を解決できる人材を育成する重要性が強調されています。
2.重点事項
(1)小中高校などの初等教育での情報教育の重要性は,以前からも認識されており,「ミレミアム・プロジェクト」などの国の政策,「こねっとプラン」などの民間の支援などが行なわれてきました。
(2)1999年3月に高等学校学習指導要領が改正になり,2003年からは高校で情報科目が正課になります。普通教育では,「情報及び情報技術を活用するための知識と技能の習得を通して,情報に関する科学的な見方や考え方を養うとともに,社会の中で情報及び情報技術が果たしている役割や影響を理解させ,情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てる」こと,専門教育では「情報の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,現代社会における情報の意義や役割を理解させるとともに,高度情報通信社会の諸課題を主体的,合理的に解決し,社会の発展を図る創造的な能力と実践的な態度を育てる」ことを目標としています。
3.キーワード
初等教育の情報化、大学の情報化、授業以外の情報化
4.課 題
第1問 高校まででかなりの情報教育が行なわれるようになると,大学ではどのような情報教育をする(大学生にはどのような知識能力が求められる)でしょうか。
第2問 大学での授業の方法や大学の情報化について,学生の立場から期待することを列挙しましょう。
第3問 大学における情報教育の役割や改革についてにべてください。
5.プレゼン資料
6.動画資料
7.テキスト
第8講 デジタル・デバイド
1.学習のポイント
情報通信技術の利用環境における格差を指すデジタル・デバイドについて、その現状と対策を解説したものです。格差を生む主な要因として経済的収入、居住地域、年齢、学歴などが挙げられており、国内外の統計データを用いてその実態が示されています。情報の活用能力が経済的格差の固定化に直結するため、社会全体の責任としてこの不平等を是正する必要性が説かれています。具体的な解決策として、インフラ整備や教育機会の均等化、低所得層への支援といった多角的なアプローチが提示されています。最終的に、誰もが情報化社会の恩恵を享受できる健全な環境づくりが重要であると結論付けています。
2.重点事項
(1)情報活用環境の格差をデジタル・デバイド(Digital Divide:情報格差)といいます。
3.キーワード
デジタル・デバイド、デジタル・デバイドの縮小
4.課 題
第1問 「自由競争の世の中なのだから,デジタル・デバイドが発生するのは当然であり,その解消のために税金などの社会資源を使うべきではない」という意見に,人道的な観点ではなく,経済的な観点からどう考えますか。
第2問 デジタル・デバイド解消の政策を期待するまでもなく,私たちは自分が「情報弱者」にならないよう努力することが必要です。それにはどのような知識能力が必要になるでしょうか。
第3問 格差を解消するために社会が取り組むべき対策は?
5.プレゼン資料
6.動画資料
7.テキスト
第9講 バリアフリー
1.学習のポイント
情報化社会において高齢者や身体障害者が直面するデジタル上の障壁を取り除く**「バリアフリー」の重要性を解説しています。すべての人が情報に平等に触れられる「アクセシビリティ」を確保することは、単なる思いやりではなく社会の義務であり、個人の権利であると説いています。具体的な課題として、加齢による記憶力の低下や身体的な不自由が情報格差(デジタル・ディバイド)を生んでいる現状を統計データで示しています。これらの問題を解決するために、音声読み上げソフトやユニバーサルデザイン**を取り入れた製品、そして利用者に配慮したウェブサイト制作の必要性を提示しています。最終的に、技術的な支援と社会的な理解の両面から、誰もがデジタル技術の恩恵を受けられる環境づくりを目指すべきだと結論付けています。
2.重点事項
(1)情報化社会はマルチメディアの活用のためにパソコンなどの情報機器の利用が基礎になります。ところが,高齢者や身体障害者にとって,現在の情報機器は使いにくいとか,電子メールやWebページが利用しくいといった障壁があります。
(2)すべての人に平等にアクセシビリティを保障するために,使いやすい製品やサービスを設計することをユニバーサルデザインといいます。
3.キーワード
バリアフリー、ネチケット
4.課 題
第1問 高齢者や障害者に適したパソコンとはどのようなパソコンでしょうか。技術的制約や価格面を無視して「理想的な」パソコンのアイデアを列挙してください。
第2問 現状のパソコンを前提としてあなたがWebページを作成するとき,バリアフリーを少なくするために,どのような工夫をすればよいでしょうか。
第3問 バリアフリーとユニバーサルデザインの違いを教えてください。
5.プレゼン資料
6.動画資料
7.テキスト
第10講 Webアクセシビリティ
1.学習のポイント
高齢者や障害者を含むすべての人が円滑にインターネットを利用できるようにするWebアクセシビリティの重要性と、その具体的な基準について解説しています。情報の使いやすさを指すユーザビリティや、障壁を取り除くバリアフリー、最初から誰にでも使いやすく設計するユニバーサルデザインといった関連用語との違いを明確に示しています。また、アクセシビリティの確保は単なる配慮ではなく、すべての国民が平等に社会参加するための人権であり義務であると強調しています。世界的な動向として、米国の法律や国際的なガイドラインであるWCAGが紹介されるとともに、日本国内の指針であるJIS X8341-3(ウェブコンテンツJIS)についても詳しく触れています。このJIS規格では、視覚や聴覚に依存しない情報伝達や、操作ミスを防ぐための設計上の配慮事項が具体的に定められています。最終的に、制作者が論理的な構造や代替手段を整えることで、デジタル・デバイドのない社会を目指すための指針を提示しています。
2.重点事項
(1)ユーザビリティとは人間工学では古くから用いられてきた用語で,従来は,使いにくさや判りにくさなどのマイナス面がどれだけ小さいかを表す概念でしたが,現在ではむしろ,使いやすさや判りやすさというプラスの面を積極的に求める概念になってきました。
(2)アクセシビリティに考慮することは,障害者や高齢者への「思いやり」ではありません。すべての人が平等に社会生活をするための「権利」であり「義務」なのです。
3.キーワード
Webアクセシビリティ、リハビリテーション法508条、ウェブコンテンツJIS
4.課 題
第1問 総務省「ウェブ・アクセシビリティ実証実験」の結果報告を読み,高齢者や障害者がどのようなことで戸惑うか,それを解決するにはどのようなことに留意する必要があるかを調べなさい。( http://www2.nict.go.jp/ts/barrierfree/accessibility/proof/index.html)
第2問 目隠しをしてWebページを閲覧しなさい。他の人に読み上げてもらったり,ガイドしてもらったりして,「1」を実感して報告しなさい。自分が作成公開しているページ(それがなければ私の任意のページ)を対象にするとよいでしょう。
第3問 インターネットでは,アクセシビリティに考慮したHTMLの書き方などを説明したサイトが多くあります。そのうち,推奨するサイトとその特徴を報告しなさい。
第4問 ユーザビリティやアクセシビリティの観点から,Webページを評価してランキングした結果を掲載しているページを探しなさい。特に,その評価項目として何を用いているかを調べなさい。
第5問 アクセシビリティとユーザビリティの違いを述べなさい。
5.プレゼン資料
6.動画資料
7.テキスト
第11講 IT革命への国の政策
1.学習のポイント
日本におけるIT革命への国家政策の変遷と、高度情報化社会の実現に向けた取り組みを解説しています。1990年代に他国へ遅れをとった危機感から制定されたIT基本法を皮切りに、インフラ整備を主眼としたe-Japan戦略の成果がまとめられています。その後、政策は単なる技術普及から利活用の質を重視するe-Japan戦略IIへと進化し、2005年には実感を伴う変化を追求するパッケージが策定されました。最終的には、2010年を見据えたu-Japan政策を通じて、あらゆるモノが繋がるユビキタスネット社会の構築と、世界をリードするフロントランナーへの飛躍を目指しています。このように、社会経済の構造改革を促すための政府の具体的なロードマップが提示されています。
2.重点事項
(1)2000年11月に「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」(IT基本法)が成立,2001年1月から施行されました。
(2)IT基本法により設置されたIT戦略本部は,2001年1月に「e-Japan戦略」を取りまとめました。
3.キーワード
IT基本法、e-Japan戦略、u-Japan
4.課 題
第1問 次の文中に適切な語句を挿入しなさい。
1.1980年代末から1990年代にかけて,汎用コンピュータによる集中処理から多数のパソコンをLANで接続した分散処理へと移行する[ 1 ]の動向が進んだ。経営の面では,1990年代前半には,情報技術をインフラとして業務を抜本的に改革しようとする[ 2 ]の概念が普及した。1990年中頃には,利用しやすいブラウザが出現し,インターネットが爆発的に普及発展した。インターネットに代表される情報技術の発展は,国家経済から企業経営,個人生活にいたるまで広範囲に大きな影響を与えていることから[ 3 ]とまでいわれている。
2.米国は,積極的な情報化投資により,その[ 3 ]に乗ることができ,低迷していた経済を回復しただけでなく,2000年のITバブル崩壊までの長期にわたり,[ 4 ]と呼ばれるインフレなき経済成長を実現した。それに対して,日本は1990年前後のバブル崩壊や平成不況になると,情報化投資を抑制してしまった。そのために[ 3 ]に乗り遅れてしまい,不況脱出ができない状況になった。これは「[ 5 ]」と呼ばれている。その間に米国どころかアジア諸国にまで追い抜かれ,日本の国際競争力は低下してしまった。
3.この状況を打破するべく,国は2001年1月7日に,[ 6 ]を施行した。同法に基づき設置された[ 7 ]は,日本を2005年までに世界で最高の情報化社会にすることを目標とした[ 8 ]を策定した。
第2問
1.米国では不況のときにIT投資を行なって経済を復活させたのに,日本では不況が原因で「失われた十年」を続けてきました。その理由は何なのでしょうか。
2.早期にIT革命を達成した国とそれに乗り遅れた国とは,将来どのような違いが出てくるでしょうか。
第3問 IT基本法が制定された背景と目的を述べなさい。
5.プレゼン資料
6.動画資料
7.テキスト
第12講 情報セキュリティの基礎
1.学習のポイント
情報セキュリティの基礎知識と組織的な対策について包括的に解説した教材です。まず、コンピュータウイルスの定義や感染経路に加え、不正アクセス禁止法に基づく違法行為の具体例が示されています。次に、機密情報の保護に不可欠な暗号化技術や、本人確認のための電子署名の仕組みが詳しく説明されています。また、個人情報保護法への対応や、企業のセキュリティポリシー策定といったマネジメントの重要性にも触れています。最終的に、適切なパスワード管理やファイアウォールの設置など、個人と組織が実践すべき具体的な防御策がまとめられています。
2.重点事項
(1)不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律,平成11年8月成立,平成12年2月施行)では,ネットワークを通して
・許可されていない者がなりすましをしてアクセスすること
・許可されている者が許可されていないアクセスをすること
・そのようなアクセスができるような状態にすること
を不正アクセスと定義しています。
(2)リスクの大きな分野に,個人情報の漏洩があります。個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律,平成15年5月成立,平成17年4月全面施行)の目的は次の通りです。
「この法律は,高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることにかんがみ,個人情報の適正な取扱いに関し,基本理念及び政府による基本方針の 作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め,国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに,個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより,個人情報の有用性に配慮しつつ,個人の権利利益を保護することを目的とする。」
3.キーワード
情報セキュリティ、パスワード、電子署名法、個人情報保護法
4.課 題
第1問 Webで「コンピュータ不正アクセス対策基準」のシステムユーザ基準の個所を調べ,あなたが「なぜこれが必要なのか」と思う事項があれば,それを列挙して,みんなで考えましょう。
第2問 あなたが不正アクセス対策の提案をしたところ,A氏からは「当社には他人のほしがるような情報はないので,不正アクセスがあってもかまわない」,B氏からは「どんなに対策をしても,優秀なハッカーにはかなわないので,やるだけ無駄だ」といわれました。あなたはこれらの意見にどう反論しますか。
第3問 公開鍵暗号方式と秘密鍵暗号方式の違いを簡単に解説してください。
5.プレゼン資料
6.動画資料
7.テキスト
第13講 著作権の概要
1.学習のポイント
知的財産権の全体像と、その中核をなす著作権法の仕組みを体系的に解説したものです。創作活動の保護と文化の発展を両立させるという法の目的を明示し、音楽や文章だけでなく、プログラムやデータベースといったデジタル資産の扱いについても詳しく触れています。著作権には、経済的利益を守る著作財産権と、著作者の名誉を守る著作者人格権があることを示し、権利が自動的に発生する仕組みや有効期限を説明しています。さらに、教育現場での利用や私的使用などの権利の制限、インターネット上でのリンクや転載に関する注意点についても具体的に示しています。企業実務に直結する職務著作の帰属や、ソフトウェアのライセンス契約の種類についても網羅されており、情報社会における権利保護の重要性を説く内容となっています。
2.重点事項
(1)知的財産権とは,発明や著作など人間による知的成果に対する権利と,商標など営業上の無形の財産を保護する権利などを総称した概念です。
(2)著作権法第1条(目的)では,「この法律は,著作物並びに実演,レコード,放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め,これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ,著作者等の権利の保護を図り,もって文化の発展に寄与することを目的とする。」としています。
3.キーワード
著作権、ライセンス契約、フリーソフト、知的財産権
4.課 題
第1問 もし著作権という概念がなかったら,どのような弊害が起こるでしょうか。
第2問 授業で担当教員が他人の著作をコピーして学生に配布することは著作権法で認められていますが,教員が他人の著作をインターネットのページに登録して学生の自習に供することは認められるでしょうか。いろいろなケースを想定してください。
第3問 著作権と特許権の違い、および知的財産権の体系を教えて。
5.プレゼン資料
6.動画資料
7.テキスト
8.資 料
著作権テキスト(令和3年度版)(文化庁)
著作権契約書作成支援システム(文化庁)
第14講 プライバシー
1.学習のポイント
インターネット環境におけるプライバシー保護の重要性と、具体的な防衛策を解説したものです。まず、個人情報の漏洩やネット上でのトラブル実態をグラフで示し、不審なサイトにデータを入力しないことやプライバシーポリシーを確認する重要性を説いています。また、掲示板やチャットではハンドルネームを使い分け、不用意に本名を明かさないといった自己防衛の意識を促しています。自分の身を守るだけでなく、他人の肖像権やプライバシーを尊重し、承諾なく情報を公開しない倫理観についても言及されています。最終的に、ネット上での行動はすべて自己責任であることを認識し、安全に活用するための指針を提示する内容となっています。
2.重点事項
(1)プライバシーとは,「自分のこと」を自分の意思に反して他人に知られたくないということです。
3.キーワード
プライバシー、個人情報の漏洩事件、プライバシーポリシー
4.課 題
第1問 個人情報を入力させているサイトを1つ例にとり,入力項目のうち,このサイトを利用するために必要な項目,不必要な項目を分けて列挙し,そう考えて理由を述べましょう。
第2問 個人情報を入力させているいくつかのサイトについて,個人情報保護に関するページがどのように記載されているかを確認しましょう。
第3問 インターネットで自分のプライバシーを守るための具体的な対策を述べなさい。
5.プレゼン資料
6.動画資料
7.テキスト
第15講 個人情報保護法
1.学習のポイント
日本の個人情報保護法の基本構造や目的を詳しく解説した学習教材です。この法律は、高度情報化社会における個人の権利と利益を保護するために制定され、行政機関と民間事業者の双方に適切な情報管理を求めています。テキスト内では、特定の個人を識別できる「個人情報」の定義や、事業者が遵守すべき安全管理措置などの義務が具体的に示されています。また、国際的な指標であるOECD8原則との関連性や、各省庁が策定するガイドライン、第三者認証制度であるプライバシーマークについても触れられています。全体として、法的な枠組みだけでなく、実社会における適切なプライバシー保護の重要性を説く内容となっています。
2.重点事項
(1)個人情報保護法は正式には「個人情報の保護に関する法律」(平成十五年法律第五十七号)といいます。また,法律では「政令で定める」との記述がありますが,それは個人情報の保護に関する法律施行令(平成15年政令第507号,以下「政令という」)があります。
(2)「個人情報とは,生存する個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ,それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう」とされています。
3.キーワード
個人情報保護法、個人情報保護法ガイドライン、プライバシーマーク
4.課 題
第1問 次の文のうち,正しいものには○印,誤りには×印をつけて誤りの理由を示しなさい。
1.名刺を企業別や氏名順などで整理すると個人情報データベース等に該当するので,名刺を交換するときには,そのように整理すること,その利用目的を伝えることが必要である。現実にはこのようなことをする人は少ないが,法律的にはそれが要求されていると考えるべきである。
2.市の主催で子供向けのパソコン教室を開催した。それを支援したパソコンメーカーがアンケートをしたのだが,そこには保護者の氏名,住所,パソコンの有無などの項目があり,後日保護者あてにメーカーからダイレクトメールが送られた。アンケートにはそれに関する記述があったので,メーカーの行動は個人情報保護法に抵触したとはいえない。
3.個人のインターネット活用に関するアンケートを行った。アンケートの謝礼を送るために回答者の住所氏名も回答させたが,アンケートデータをコンピュータに入力する段階でそれらは入力せず,入力後は回答用紙は適切な処分をした。それでもコンピュータにあるアンケートデータがあるのだから,これは個人情報である。
4.A社(製造業)では,顧客情報を4500,社員情報を300,その他の個人情報を400持っている。このうち社員情報は個人情報とはいえないので,A社は個人情報取扱事業者ではない。
5.個人情報が5000人以下の企業では,個人情報が漏洩しても訴えられることはない。
6.A社では,5000人を超える顧客があるが,コンピュータ処理はすべてアウトソーシングしているので,自社内にある個人情報は非常に少ない。このような場合では,A社は個人情報取扱事業者ではない。
7.大学は学術研究をしているので,在学生や卒業生の個人情報が5000を超えていても,個人情報取扱事業者ではない。
8.A団体は,老人福祉を目的とした非営利団体である。それで5000人を超える老人の情報とボランティアの情報を持っているが,利益を目的としているのではないから,個人情報取扱事業者ではない。
9.A社では,NTTの電話帳をそのまま用いてダイレクトメールを発送している。このたび,発送先から,電話帳の自分が記載している部分を塗りつぶすよう要求された。この要求には従う義務がある。
10.A社では個人情報が漏洩したことが警察の内偵で発覚し,経営者と漏洩に関与した者が検挙された。
第2問 次の問に答えなさい
1.インターネットの検索エンジンなどにより,個人情報漏洩の事例をいくつか探し,それが本文の「個人情報取扱事業者の義務等」でのどれが不十分だったことにより発生したのかを示しなさい。
2.経済産業省「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象としたガイドラインの策定」平成16年6月では,いろいろと事例が掲載されています。2ページ~6ページを読んで,興味を持った事例をいくつかあげて,どうしてそれが個人情報あるいは個人情報データベース等であるのか,そうでないのかの理由を述べなさい。
(http://www.meti.go.jp/feedback/downloadfiles/i40615hj.pdf)
第3問 個人情報保護法が定められた目的と背景を述べなさい。







