【公開講座】AI(人工知能)概論【Ⅱ】 ~ データサイエンスから見える新たな学びの未来像 ~
【公開講座】AI(人工知能)概論【Ⅱ】 ~ データサイエンスから見える新たな学びの未来像 ~
【概要】
国立教育政策研究所の白水始氏による「教員のための実践的データサイエンス入門」の第1講の講義録の一部であり、教育データサイエンスの基本と教育現場での応用について概説しています。講義では、教育データの定義や種類を整理し、データ活用が児童、教師、保護者にもたらす具体的なメリットの基盤が「学習過程の解明」にあることを説明しています。さらに、データサイエンスを構成する統計、機械学習、教育理論の3要素の重なりとして教育データサイエンスを構造化し、多層型支援(RTI)や教育付加価値評価システム(EVAAS)といった具体的な導入例を提示しています。最後に、EVAASの課題を教訓として、**教育データサイエンスを健全に機能させるための目指すべき方向性(協働の重視、理論に基づく実践)と、避けるべき方向性(インセンティブによる管理など)について注意喚起を行っています。
【学修到達目標】
① データサイエンスの基本的な概念と用語を理解し、説明できる。
② 教育現場で扱うデータの種類や収集方法、整理の基本的な手法を理解し、実践できる。
③ 基本的な統計分析やデータの可視化技術を用いて、教育データから有益な情報を抽出できる。
④ 教育データの活用例や事例を理解し、自校や授業に応用できるアイデアを持てる。
⑤ データの倫理やプライバシーに関する基本的な考え方を理解し、適切に対応できる。
第1講 データサイエンスとは何か
白水 始(国立教育政策研究所 初等中等教育研究部・部長、教育データサイエンスセンター・副センター長)
1.何を学ぶか
第1講では、教育現場の質向上につながるデータサイエンスの在り方について、その概要を紹介します。教育とは一人一人の児童生徒の学びと育ちを支える営みです。そこにデータやそれらの分析・可視化がどう役立つのか、そして、教育という人間の営みにデータサイエンスを導入する際の留意点は何かを考えます。
2.学修到達目標
① 一般的なデータサイエンスについて理解したうえで、教育のためのデータサイエンスの在り方を説明できる。
② データサイエンスを支える統計と機械学習という二本の柱について、具体例をもとに説明できる。
③ 本講座全体の流れを理解し、学習の見通しと動機づけを持つことができる。
3.課題
① 教育データと教育データサイエンスとは何か、本講座の例を結び付けて説明してください。
② データサイエンスを教育に導入する際の留意点を述べてください。
4.プレゼン資料
【AIプレゼン】
5.動画資料
【AI動画】
6.テキスト
第2講 データの種類と収集方法
尾関 智恵(岐阜大学高等研究院航空宇宙生産技術開発センター・准教授)
1.何を学ぶか
教育現場におけるデータの重要性と、それらを活用した研究手法について詳述しています。主観的な経験を客観的な知見へと変換するために、統計学の役割やデジタル・アナログ情報の差異、さらには量的・質的データの使い分けが解説されています。また、データの測定基準となる4つの尺度や、観察、インタビュー、学習ログといった具体的な収集手段についても網羅されています。研究の質を担保するために不可欠な信頼性と妥当性の概念に加え、個人情報保護などの倫理的配慮についても注意を促しています。最終的に、適切なデータ収集が教育実践の改善サイクルを回すための強固な基盤になることを強調しています。
2.学修到達目標
① さまざまな種類のデータ(定量データ、定性データ、時系列データなど)を理解し、それぞれの特徴や適した分析方法について説明できる。
② データの収集方法(観察、アンケート、実験など)を理解し、具体的な場面に応じた適切な収集手法を選択できる。
③ データの種類と収集方法の違いを理解し、実際の教育現場や調査活動において適切なデータ収集計画を立てることができる。
3.課題
① 次のデータの種類を分類し、それぞれの特徴と適した分析例を述べなさい。
a) 生徒の身長の測定値
b) 生徒の好きな教科(国語、数学、英語など)
c) 1週間の気温の変化(時系列データ)
② 以下の状況に適したデータ収集方法を選び、その理由を説明しなさい。
a) 学校の授業改善のために生徒の意見を集めたい。
b) 校内の運動会の参加者数を正確に把握したい。
c) 地域の気候変動を長期的に観察したい。
③ あなたが教員として、クラスの学習状況を把握するためのデータ収集計画を立てるとします。どのようなデータを収集し、どの方法で行うかを具体的に記述しなさい。
④ 教育研究においてデータを収集し客観化することにはどのような役割や意義があるか。
⑤ 質的データと量的データの特徴と使い分けを説明せよ。
⑥ データの信頼性と妥当性の違いを簡潔に述べよ。
4.プレゼン資料
【AIプレゼン】
5.動画資料
【AI動画】
6.テキスト
第3講 データの前処理とクリーニング
笹山和明(株式会社 村田製作所・情報科学アーキテクト)
1.何を学ぶか
データサイエンスにおいて、収集した生データはそのままでは分析に適さない場合が多く、前処理とクリーニングは非常に重要な工程です。これらの工程は、データの品質を向上させ、正確な分析結果を得るための基礎となります。
まず、前処理の目的は、データの欠損や誤りを修正し、分析に適した形に整えることです。生データには、入力ミスや測定エラー、欠損値、異常値などが含まれることが多く、これらを適切に処理しないと、分析結果に偏りや誤りが生じる可能性があります。
次に、欠損値の処理についてです。欠損値は、回答漏れや測定不能な場合に生じます。これを放置すると、統計解析や機械学習モデルの性能に悪影響を及ぼすため、適切な対応が必要です。一般的な方法としては、欠損値を持つデータを除外する、平均値や中央値で埋める、または予測モデルを用いて推定する方法があります。
1.異常値(アウトライアー)の検出と処理
異常値は、他のデータと著しく異なる値であり、分析結果に大きな影響を与えることがあります。これらを検出する方法には、箱ひげ図や標準偏差を用いた方法があります。検出後は、誤ったデータとして除外したり、適切な値に置き換えたりします。異常値の適切な処理は、分析の信頼性を高めるために不可欠です。
2.データの整形と正規化
データの整形には、データの型変換や不要な情報の削除、カテゴリーデータのエンコーディングなどが含まれます。これにより、分析やモデル構築がスムーズに行えます。また、正規化や標準化は、異なる尺度のデータを比較可能にし、機械学習モデルの性能向上に寄与します。例えば、最小-最大スケーリングやZスコア正規化が一般的です。これらの処理を適切に行うことで、データの一貫性と分析の精度が向上します。
2.学修到達目標
① データ前処理とクリーニングの基本的な目的と重要性を理解できる。
② 欠損値や異常値の検出と適切な処理方法を説明できる。
③ データの整形や正規化の手法を理解し、実際に適用できる。
3.課題
① 欠損値が含まれるデータセットに対して、どのような処理方法が考えられるか説明してください。
② 異常値を検出するための方法を2つ挙げ、それぞれの特徴を説明してください。
③ データの正規化と標準化の違いについて説明し、それぞれのメリットを述べてください。
4.プレゼン資料
【AIプレゼン】
5.動画資料
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6.テキスト
第4講 データの可視化と探索的データ分析(EDA)
荒木貴之(日本経済大学/ 社会構想大学院大学・教授)
1.何を学ぶか
統計学者ジョン・テューキーが提唱した「探索的データ分析(EDA)」の重要性と実践的な手法を解説した講義です。数値の平均や分散だけでは捉えきれないデータの真の姿を、グラフ化などの可視化を通じて直感的に把握することの必要性を説いています。具体的には、アンスコムの例を用いて数値要約の限界を示し、ヒストグラムや箱ひげ図を活用して分布の形状や外れ値から価値ある情報を読み解く方法を紹介しています。さらに、相関関係と因果関係の混同や、データの分割によって傾向が逆転するシンプソンのパラドックスといった統計的な落とし穴についても警鐘を鳴らしています。最終的に、データ可視化は単なる資料作成の技術ではなく、複雑な事象の中に隠れたパターンや特異点を発見するための不可欠な視座であると結論付けています。
2.学修到達目標
① 「探索的データ分析(EDA)」の概念を理解する:仮説検証型の分析に⼊る前に、データの構造や特徴を直感的に把握するプロセスの重要性を理解する。
② 基本統計量の限界と可視化の効⽤を知る:平均値や分散などの数値要約だけでは⾒落としてしまうデータの「真の姿」を、グラフ化によって発⾒できることを学ぶ。
③ 多⾓的な視点でデータを解釈する能⼒を養う:ヒストグラム、箱ひげ図、散布図などの適切な使い分けを習得し、シンプソンのパラドックスなどの統計的な落とし⽳を回避する視座を持つ。
3.課題
① 外れ値のケーススタディ
ご⾃⾝の職場や⾝近なデータ(なければ公開されているオープンデータ)において、「外れ値」と思われるデータを探してください。そして、その外れ値が「単なるエラー(ノイズ)」なのか、それとも「重要な意味を持つ特異点(インサイト)」なのか、その背景を調査して記述してください。
② 「平均値」の再考
ニュースや業務報告で使われている「平均値」を⼀つ取り上げ、それが実態をミスリードしている可能性がないか考察してください。「もしヒストグラムを描いたら、どのような形になっていると推測されるか」を図⽰して説明してください。
③ シンプソンのパラドックスの構築
「全体で⾒るとAの傾向があるが、層別化すると逆の傾向になる」という架空の、あるいは実際のシナリオを⼀つ作成してください。(例:病院の⼿術成功率、学校のテストの平均点など、⾝近な例で構いません)。
④ なぜ数値要約だけではデータの真の姿を正確に把握することができないのでしょうか。
⑤ 探索的データ分析(EDA)と確証的データ分析の違いを述べよ。
4.プレゼン資料
【AIプレゼン】
5.動画資料
【AI動画】
6.テキスト
第5講 統計学の基礎
尾関 智恵(岐阜大学高等研究院航空宇宙生産技術開発センター・准教授)
1.何を学ぶか
教育現場における統計学の基礎知識とその実践的な活用方法を体系的に解説したものです。平均値や標準偏差といったデータの要約手法から、ヒストグラム等を用いた視覚化の利点、さらに推計統計の根拠となる仮説検定の仕組みまでを網羅しています。単なる計算技術の習得ではなく、数値の背後にある学習者の実態を深く理解するための道具として統計を捉えている点が特徴です。また、サンプルの偏りや因果関係の解釈など、教育研究特有の留意事項についても慎重な議論がなされています。最終的には、データに基づいた客観的な根拠を持ちつつも、数値に振り回されない血の通った教育実践の重要性を説いています。。
2.学修到達目標
① 基本的な統計量(平均値、中央値、最頻値、分散、標準偏差など)の意味と計算方法を理解し、適切に使い分けられる。
② データの分布や傾向を表すための代表的な統計的手法(ヒストグラム、箱ひげ図など)を理解し、実際に作成・解釈できる。
③ 確率の基本概念と、その応用例を理解し、日常や教育現場でのデータ解釈に役立てられる。
3.課題
① データの平均値、中央値、最頻値の違いと、それぞれの特徴について説明してください。
② 以下のデータセット(例:5, 7, 8, 8, 9, 10, 12)について、分散と標準偏差を計算し、その意味を説明してください。
③ コインを10回投げたときに表が出る確率は0.5です。このとき、実際に表が7回以上出る確率について二項分布を用いて計算し、その結果から何がわかるか説明してください。
④ 教育研究において統計を活用する際、数値に振り回されず学習者を深く理解する方法は何か。
⑤ 仮説検定において帰無仮説を立てる目的を説明せよ。
⑥ 仮説検定において、なぜ背理法的アプローチを用いるのか。
4.プレゼン資料
【AIプレゼン】
5.動画資料
【AI動画】
6.テキスト
第6講 機械学習の基本概念
澤井進(岐阜女子大学・特任教授)
1.何を学ぶか
機械学習の基本概念とその教育現場への応用について解説しています。主な内容として、人間の脳機能に対応した教師あり学習、教師なし学習、強化学習という3つの枠組みを定義し、それぞれの仕組みを具体的な事例とともに紹介しています。また、モデルの精度を測るための評価指標や、精度低下を招く過学習とその対策についても詳しく述べられています。最終的には、データサイエンスが普及する未来において、教育者がデータリテラシーや倫理観を育む重要性を説く構成となっています。全体を通じて、AI技術を単なるツールとしてではなく、人間の知性と対比させながら深く理解することを促しています。
2.学修到達目標
① 機械学習の基本的な仕組みと種類(教師あり学習、教師なし学習、強化学習)を理解し、それぞれの特徴と適用例を説明できる。
② モデルの学習過程(訓練、検証、テストの流れ)と、その目的や重要性を理解し、適切なモデル評価指標(正確率、精度、再現率など)を選択できる。
③ 過学習やバイアス・バリアンスのトレードオフについて理解し、モデルの汎化性能を向上させるための基本的な対策を説明できる。
3.課題
① 機械学習の三つの主要な種類(教師あり学習、教師なし学習、強化学習)について、それぞれの特徴と代表的な応用例を説明してください。
② 過学習とは何かを説明し、過学習を防ぐための一般的な方法を2つ挙げてください。
③ 機械学習モデルの評価指標にはさまざまなものがありますが、正解率(Accuracy)と再現率(Recall)の違いについて具体的な例を用いて説明してください。
④ 学習モデルの性能を客観的に評価するために用いられる主要な指標は何ですか。
⑤ 教師あり学習における誤差逆伝播法の仕組みを記述しなさい。
⑥ 過学習の定義と、それを防ぐための具体的な対策を挙げなさい。
4.プレゼン資料
【AIプレゼン】
5.動画資料
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6.テキスト
第7講 回帰分析と分類モデル
笹山和明(株式会社 村田製作所・情報科学アーキテクト)
1.何を学ぶか
回帰分析と分類モデルは、データサイエンスにおいて最も基本的かつ重要な予測手法です。これらは、データからパターンを抽出し、未知のデータに対して予測を行うためのモデルです。
回帰分析は、連続値の予測を目的とします。例えば、住宅の価格予測、気温の予測、売上高の予測などが典型的な例です。最も基本的な回帰手法は線形回帰です。線形回帰は、説明変数(特徴量)と目的変数(予測したい値)との間に線形関係があると仮定し、最小二乗法を用いてパラメータを推定します。モデルの式は、目的変数が説明変数の線形結合として表され、例えば「価格 = a × 面積 + b」といった形になります。回帰分析の結果からは、各説明変数の影響度や、予測値の範囲を理解することができます。
一方、分類モデルは、データをあらかじめ定められたカテゴリーに分類することを目的とします。
分類モデルにはさまざまな手法がありますが、代表的なものにロジスティック回帰や決定木があります。ロジスティック回帰は、線形回帰と似ていますが、出力を確率値(0から1の範囲)に変換するシグモイド関数を用います。これにより、あるデータが特定のクラスに属する確率を推定し、その確率に基づいてクラスを判定します。例えば、「このメールはスパムか?」という問いに対し、70%の確率でスパムと判定された場合、その結果をもとに分類します。
決定木は、特徴量の値に基づいてデータを分岐させていく木構造のモデルです。分岐の基準は情報利得やジニ不純度などの指標を用いて決定され、最終的に葉に到達したときにクラスを決定します。決定木は直感的に理解しやすく、特徴量の重要性も把握しやすいのが特徴です。
これらのモデルの性能評価には、正解率(Accuracy)だけでなく、再現率(Recall)、適合率(Precision)、F値なども用いられます。例えば、医療診断の場面では、見逃しを防ぐために再現率を重視することがあります。一方、スパムメール判定では、誤って正当なメールをスパムと判定しないことも重要であり、そのために適合率やF値を考慮します。
回帰分析と分類モデルは、どちらもデータの性質や目的に応じて適切に選択し、モデルの性能を評価・改善することが求められます。これらの理解は、実際のデータ分析や予測モデルの構築において不可欠です。
2.学修到達目標
① 回帰分析と分類モデルの基本的な概念と違いを理解し、適切な場面で使い分けられるようになる。
② 回帰分析における代表的な手法(例:線形回帰)の仕組みと、その結果の解釈方法を説明できる。
③ 分類モデル(例:ロジスティック回帰や決定木)の仕組みと、その評価指標(例:正解率、再現率)について理解し、モデルの性能を適切に評価できるようになる。
3.課題
① 回帰分析と分類モデルの違いについて示してください。
② 回帰分析において線形回帰モデルを用いる場合、どのようにしてモデルのパラメータ(係数)を推定しますか?また、その推定結果の解釈について説明してください。
③ 分類モデルの評価指標の一つであるF値(F1スコア)について、その意味と計算方法を具体的に説明し、なぜこの指標が重要となる場合があるのか例を挙げて説明してください。
4.プレゼン資料
【AIプレゼン】
5.動画資料
【AI動画】
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6.テキスト
第8講 クラスタリングと次元削減
小松尚登(滋賀大学・データサイエンス・AIイノベーション研究推進センター・助教)
1.何を学ぶか
正解データが存在しない状況で情報の規則性を見出す教師なし学習の主要な手法であるクラスタリングと次元削減について解説しています。クラスタリングでは、データを類似度に基づいて分けるk-means法や、階層構造を可視化するデンドログラムを用いる手法が紹介されています。一方、次元削減については、データの分散が最大となる方向を抽出する主成分分析(PCA)や、複雑な構造に対応する非線形手法の重要性が説明されています。これらの技術はデータの可視化や前処理に有効ですが、分析結果の妥当性を判断するにはドメイン知識に基づく人間による確認が不可欠です。全体を通して、データの本質的な特徴を捉えるためのアルゴリズムの選択と、その適切な適用方法を学ぶ内容となっています。
2.学修到達目標
① クラスタリングの基本概念と代表的な手法を理解し、適切な場面での適用方法を説明できる。
② 次元削減の目的と代表的な手法(主成分分析(PCA)など)を理解し、データの可視化や前処理に役立てられる。
③ クラスタリングと次元削減の違いや関係性を理解し、実データ分析においてこれらの手法を適切に選択・適用できる。
3.課題
① クラスタリングの代表的な手法を2つ挙げ、それぞれの特徴と適用例について説明してください。
② 主成分分析(PCA)の基本的な仕組みと、その結果得られる主成分の意味について説明してください。さらに、PCAを用いる際の注意点も述べてください。
③ 高次元データに対して次元削減を行う目的と、その際に考慮すべきポイントについて具体的に説明してください。
④ 教師なし学習においてクラスタリングと次元削減が果たす役割と目的は何ですか。
⑤ 主成分分析(PCA)における主成分の抽出手順を説明せよ。
⑥ 教師あり学習と教師なし学習の相違点を説明せよ。
⑦ 主成分分析(PCA)が次元を削減する仕組みを述べよ。
4.プレゼン資料
【AIプレゼン】
5.動画資料
【AI動画】
6.テキスト
第9講 データサイエンスにおけるプログラミング基礎
小松尚登(滋賀大学・データサイエンス・AIイノベーション研究推進センター・助教)
1.何を学ぶか
データサイエンスの土台となるプログラミングの基礎概念と、特に多用される言語であるPythonの活用方法を解説しています。変数や型、条件分岐、繰り返し処理といった基本構文から、自作関数の定義、そして外部ライブラリを用いた高度なデータ分析手法までを網羅しています。具体的には、数値計算のNumPyやデータ管理のpandas、可視化を担うMatplotlibなどの主要ツールが紹介されています。さらに、効率的な開発のために生成AI(LLM)を補助として利用する現代的なアプローチについても言及しています。最終的には、実データの処理やグラフ作成を自ら実行できる実践的なスキルの習得を目指した構成となっています。
2.学修到達目標
① プログラミングの基本的な概念と構文を理解し、データ処理や分析に必要な基本操作を実行できる。
② 代表的なプログラミング言語(例:Python)の基本的な文法とライブラリの使い方を習得し、簡単なデータ分析プログラムを作成できる。
3.課題
① Pythonを用いて、リストに格納された数値データの平均値と中央値を計算するプログラムを作成してください。
② pandasライブラリを使って、CSVファイルからデータを読み込み、特定の列の欠損値を平均値で埋める処理を行うコードを書いてください。
③ matplotlibやseabornを用いて、データの散布図とヒストグラムを作成し、データの分布や関係性を視覚的に表現してください。
④ データサイエンスにおいて、プログラミングが自動化と効率化に果たす役割は何ですか。
⑤ Pythonにおける変数と型の関係について説明せよ。
4.プレゼン資料
【AIプレゼン】
5.動画資料
【AI動画】
6.テキスト
第10講 自治体が実施する大規模学力・学習状況調査とその分析
山川喜葉(埼玉県教育局市町村支援部・義務教育指導課長)
1.何を学ぶか
埼玉県が実施する大規模な学力・学習状況調査の概要とその活用方法について解説しています。この調査はIRT(項目反応理論)を用いることで、単なる点数比較ではなく個々の学力の伸びを継続的に測定できる点が大きな特徴です。また、学力だけでなく非認知能力や学習方略も数値化し、それらが学力向上にどう影響するかを多角的に分析しています。令和6年度からはCBT(コンピュータ使用型テスト)を導入し、解答時間などの詳細なログに基づいた精緻な指導改善が可能となりました。収集されたデータは、教員の指導技術の向上や、各学校における具体的な学習支援策の検討に幅広く役立てられています。
2.学修到達目標
① 自治体が実施する大規模学力・学習状況調査の一例として、埼玉県学力・学習状況調査について理解し、説明できる。
② 学力調査の結果データの分析には様々な手法があることを理解できる。
③ データ分析の結果から、学校や学級の傾向や個々の児童生徒のつまずきの原因を考察し、指導改善や児童生徒への支援に繋がる方策等を検討することができる。
3.課題
① 埼玉県学力・学習状況調査の概要や目的、特長について説明しなさい。
② 学力調査の結果データをどのような方法で分析できるかを説明しなさい。
③ ある学級では算数の「数と計算」の領域において、解答時間は短いが、正答率は低い傾向があることがわかった。また、質問調査の結果から作業方略の数値が低い児童が多いこともこの学級の特徴である。このケースの場合どのような授業改善の方策が考えられるか、具体的に説明しなさい。
④ 埼玉県学力・学習状況調査の主な目的と、他にはない独自の特徴は何ですか。
⑤ CBT化によって新たに分析可能となったデータは何ですか。
⑥ 埼玉県学力・学習状況調査でIRTを採用する利点は何か。
4.プレゼン資料
第10講 自治体が実施する大規模学力・学習状況調査とその分析
【AIプレゼン】
第10講 自治体が実施する大規模学力・学習状況調査とその分析
5.動画資料
【AI動画】
6.テキスト
第10講 自治体が実施する大規模学力・学習状況調査とその分析
第11講 データの倫理とプライバシー(仮題)
芳賀高洋(岐阜聖徳学園大学・教授)
1.何を学ぶか
データサイエンスの発展に伴い、個人情報やセンシティブなデータを扱う機会が増えています。これに伴い、データの倫理的取り扱いやプライバシー保護の重要性が高まっています。まず、データの倫理とは、データを収集・利用・公開する際に、個人の権利や尊厳を尊重し、公正かつ責任ある行動を取ることを指します。倫理的なデータ活用には、本人の同意を得ること、目的外利用を避けること、データの正確性を保つことなどが基本原則として挙げられます。これらの原則を守ることは、信頼性の確保や社会的信用の維持に不可欠です。次に、プライバシー保護は、個人情報が不適切に漏洩したり、不正に利用されたりするリスクを低減するための技術や法規制を指します。代表的な法規制には、日本の個人情報保護法やEUのGDPR(一般データ保護規則)があります。
これらの法規制は、個人情報の収集・保存・利用に関するルールを定め、違反した場合の罰則や責任を明確にしています。具体的な保護技術としては、データの匿名化や仮名化、暗号化、アクセス制御、監査ログの管理などがあります。これらの技術は、個人を特定できる情報を隠すことで、プライバシー侵害のリスクを低減します。さらに、データの倫理的取り扱いには、透明性や説明責任も求められます。たとえば、データ収集の目的や利用範囲を明示し、本人の同意を得ること、データの利用状況や結果について説明責任を果たすことが重要です。加えて、データの不適切な利用や偏りによる差別や不公平の発生も倫理的課題です。これらを防ぐためには、倫理的ガイドラインや監査体制の整備が必要です。最後に、データの倫理とプライバシー保護は、単なる技術的対策だけでなく、組織や個人の意識改革も求められます。教育や啓発活動を通じて、責任あるデータ活用の文化を育むことが重要です。これらの取り組みは、信頼されるデータ社会の実現に不可欠です。教員としては、学生に対してこれらの倫理的原則や法規制、技術的対策を理解させ、実践的な判断力を養う指導が求められます。
2.学修到達目標
① データの倫理的取り扱いの重要性と基本的な原則を理解し、説明できる。
② 個人情報保護のためのプライバシー保護技術や法規制(例:個人情報保護法、GDPR)について理解し、適切に適用できる。
③ データの倫理的課題やプライバシー侵害のリスクを認識し、その対策や責任あるデータ活用の方法について議論できる。
3.課題
① データの倫理的取り扱いにおいて重要な原則を3つ挙げ、それぞれについて具体例を交えて説明してください。
② 個人情報保護法やGDPRなどの法規制が求める、個人情報の取り扱いに関する基本的なルールを説明し、それらを遵守するための具体的な対策例を挙げてください。
③ データのプライバシー保護において、匿名化や暗号化などの技術の役割と、それらを適切に活用する際の注意点について述べてください。
4.プレゼン資料
【AIプレゼン】
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第12講 データサイエンスの実践的応用例
成瀬喜則(富山大学・名誉教授・学長特命補佐)
1.何を学ぶか
現代社会の多様な領域で展開されているデータサイエンスの実践的な応用について概説しています。医療での早期診断支援や、行政における業務効率化、さらにマーケティングでの消費行動予測など、具体的な活用事例が幅広く紹介されています。特に教育分野においては、LMSを通じた個別最適化学習の実現や、生徒自身の課題解決能力を育むためのデジタル人材育成の重要性が説かれています。また、地域課題の解決に向けたDX推進やメタバースの活用といった最新の動向にも触れられています。最終的に本書は、複雑な社会課題に対してデータを基に戦略的な意思決定ができる人材を育てることが不可欠であると結論付けています。る。
2.学修到達目標
① データサイエンスの具体的な応⽤例を理解して説明できる。
② 応⽤例において、どのようなデータ分析⼿法や技術が⽤いられるかを理解できる。
③ 実社会や教育現場において、データサイエンスを活⽤した課題解決の事例を挙げ、今後の可能性を議論できる。
3.課題
① 自治体でのデータサイエンスの応用例を調べて説明しなさい。
② マーケティング分野でのデータサイエンスの応⽤例として、オンラインショッピングサイトでの顧客への商品推薦があります。そこでは、どのようなデータが収集され、どのよう分析されているか説明しなさい。
③ 教育分野において、学習者のデータを分析して学習管理や学習⽀援を行うことの意義と、その際に注意すべき点について述べなさい。
④ データサイエンスは、現代社会の多様な分野で具体的にどのような価値を創造しているか。
⑤ 教育現場でLMSを活用する利点を、教師と生徒の視点から説明せよ。
⑥ 地域社会DXが解決を目指す社会課題を三つ挙げよ。
4.プレゼン資料
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第13講 データ可視化の高度な技術
荒木貴之(日本経済大学/ 社会構想大学院大学・教授)
1.何を学ぶか
デジタルヒューマニティーズにおける高度なデータ可視化技術とその応用について解説した講義テキストです。主に、人間関係や組織のつながりを構造化するネットワーク分析、位置情報と時間軸を組み合わせて地域課題を可視化するGIS(地理空間情報システム)、そして文化財を立体的に再現する3DアーカイブとVR技術の3点に焦点を当てています。具体的なツールとしてFlourishやKepler.glを紹介し、専門的なプログラミング技術がなくても高度な分析が可能であることを示しています。最終的には、データサイエンスの技術とリベラルアーツ(教養)の知見を融合させることで、目に見えない情報の文脈に新たな価値を見出す重要性を説いています。
2.学修到達目標
① ネットワーク分析の基礎を習得する:物事の「関係性」をノードとエッジで表現し、中⼼性指標を⽤いてキーパーソンやハブを発⾒する⽅法を学ぶ。
② 地理空間情報(GIS)の多次元的表現を理解する:地図データに時間軸や3D表現(⾼さ)を加えることで、地域課題や歴史的変遷を動的に可視化する⼿法を⾝につける。
③ デジタルアーカイブにおける3D技術の意義を学ぶ:フォトグラメトリなどの技術が、単なる保存を超えて「コンテキスト(⽂脈)の再現」にどう寄与するかを理解する。
3.課題
① 「私のネットワーク」の設計
⾃分⾃⾝、または歴史上の⼈物(織⽥信⻑など)を中⼼とした「ネットワーク図」の構想を練ってください。「誰」がノードとなり、「どのような関係」がエッジとなるか? また、その図において「媒介中⼼性」が⾼い(異なるグループをつなぐ)⼈物は誰になりそうか、仮説を記述してください。
② 地域資源のGIS活⽤案
あなたの住む地域、あるいは岐⾩県内の特定のエリアを対象に、「地図に重ね合わせることで新たな発⾒がありそうなデータ」の組み合わせを提案してください。(例:「古地図」×「現在の浸⽔被害想定区域」、「昭和の写真撮影地点」×「現在の観光ルート」など)。なぜその組み合わせが有効なのか、理由も添えてください。
③ 未来のミュージアム企画
3D技術やVR、メタバースが普及した10年後の未来において、デジタルアーカイブを活⽤した「全く新しい博物館の展⽰」を企画してください。物理的な制約(場所、保存状態、アクセス)を取り払った時、どのような体験が可能になるか、⾃由な発想で記述してください。
④ ネットワーク分析は複雑な人間関係からどのように歴史的な文脈を可視化しますか。
⑤ 現代のGISにおけるレイヤー構造と3D表現の利点を述べよ。
⑥ フォトグラメトリ技術が文化財の保存に果たす役割を述べよ。
4.プレゼン資料
【AIプレゼン】
5.動画資料
【AI動画】
6.テキスト
第14講 AIと深層学習の基礎と応用
藤吉弘亘(中部大学AI数理データサイエンスセンター教授)
1.何を学ぶか
人工知能(AI)は、人間の知的活動を模倣し、学習・推論・判断などを行う技術の総称です。AIにはさまざまなアプローチがありますが、その中でも特に注目されているのが深層学習(ディープラーニング)です。深層学習は、多層のニューラルネットワークを用いて、大量のデータから特徴を自動的に抽出し、高度なパターン認識を可能にします。
AIの歴史は1950年代にさかのぼりますが、従来の機械学習は特徴量の設計や抽出に人間の知識が必要でした。一方、深層学習は、画像認識や音声認識、自然言語処理などの分野で大きな成功を収めており、膨大なデータと計算資源を活用して、従来の手法を凌駕する性能を発揮しています。
深層学習の基本的なモデルは、ニューラルネットワークです。これは、人間の神経細胞(ニューロン)を模した構造で、入力層・隠れ層・出力層から構成されます。各層のニューロンは、前の層からの入力を重み付けし、非線形関数(活性化関数)を通じて次の層に伝達します。多層にわたるこの構造により、複雑なパターンや特徴を抽出できるのです。特に、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は画像認識に優れ、画像の局所的な特徴を捉えることに長けています。リカレントニューラルネットワーク(RNN)は、時系列データや自然言語処理に適しており、過去の情報を保持しながら処理を行います。
深層学習の応用範囲は広く、画像認識(顔認証、医療画像診断)、音声認識(音声アシスタント、翻訳)、自然言語処理(チャットボット、文章生成)、自動運転車など、多岐にわたります。これらの技術は、従来のルールベースや特徴量抽出に頼る手法を超え、大量のデータから自動的に特徴を学習するため、精度向上に寄与しています。
しかしながら、深層学習には課題も存在します。大量のデータと計算資源を必要とし、モデルの解釈性が低いため、「ブラックボックス」としての側面も指摘されています。また、過学習やバイアスの問題もあり、倫理的・社会的な配慮も求められています。さらに、モデルの訓練には時間とコストがかかるため、実用化には工夫や工場的な運用が必要です。
総じて、深層学習は多くの革新的な応用を生み出しており、今後も技術の進展とともに新たな可能性が広がっています。一方で、その課題に対しては、モデルの解釈性を高める研究や、少ないデータで学習できる手法の開発、倫理的なガイドラインの整備などが進められています。これらの取り組みを通じて、深層学習の社会的な受容と実用性は向上し続けています。教員としては、これらの基礎知識を理解し、教育現場での適切な活用や、学生への指導に役立てることが求められます。深層学習の理解は、今後のAI技術の発展を見据えた重要なスキルとなるため、基礎からしっかりと学び、実社会の課題解決に役立てていくことが期待されます。これにより、学生のデータリテラシーやAIリテラシーの向上にもつながります。最後に、深層学習の未来は、より効率的で解釈しやすいモデルの開発や、倫理的なAIの実現に向けた研究とともに進展していくでしょう。教員はこれらの動向を把握し、教育に反映させることが重要です。
このように、AIと深層学習は、現代社会において不可欠な技術となっており、その基礎と応用を理解することは、教育者としても非常に重要です。深層学習の技術は、医療、交通、金融、エンターテインメントなど、多くの分野で革新的な変化をもたらしています。これらの応用例を通じて、学生に実社会での具体的な事例を示しながら、技術の意義や課題について議論を深めることが効果的です。また、深層学習の発展は、倫理的な問題や社会的な責任も伴います。教員は、技術の進歩だけでなく、その社会的影響についても理解を深め、学生に対してバランスの取れた視点を提供することが求められます。今後も、AIと深層学習の動向を注視し、最新の知識と教育方法を取り入れることで、次世代の人材育成に寄与していくことが重要です。これらの知識と理解を基盤に、学生が未来の社会をリードできるような教育を目指しましょう。
2.学修到達目標
① AIと深層学習の基本的な概念と仕組みを理解し、その違いと関係性を説明できる。
② 深層学習の代表的なモデル(例:ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、リカレントニューラルネットワーク)の構造と特徴を理解し、適用例を説明できる。
③ 深層学習の応用分野とその課題・限界について理解し、実社会における具体的な事例を挙げて説明できる。
3.課題
① 深層学習と従来の機械学習の違いについて、具体例を挙げて説明しなさい。
② 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の特徴と、その代表的な応用例を述べなさい。
③ 深層学習の社会的な課題や倫理的な問題について、あなたの考えを述べ、その解決策の一例を提案しなさい。
4.プレゼン資料
【AIプレゼン】
5.動画資料
【AI動画】
6.テキスト
第15講 データサイエンスの未来と教育への展望
澤井進(岐阜女子大学特任教授)
1.何を学ぶか
データサイエンスが現代社会にもたらす変革と、それに応じた教育の在り方について論じています。医療や交通といった幅広い産業での活用事例を紹介する一方で、学校現場におけるプログラミングや統計学の習得、さらには生成AIを用いた実践的な学習支援の重要性を強調しています。また、AIの普及に伴う倫理的課題やデータの偏りについても触れ、それらに対処するための法的知識や批判的思考力の必要性を説いています。最終的には、単なる技術習得に留まらず、データを基に主体的な意思決定ができる市民の育成を目指すべきだと結論付けています。
2.学修到達目標
① データサイエンスの未来の展望とその社会的・教育的意義を理解できる。
② 今後の教育現場におけるデータサイエンス教育の役割と必要性を説明できる。
③ データサイエンスの発展に伴う課題と、それに対する教育の対応策を考察できる。
3.課題
① データサイエンスの未来において、社会や産業界で期待される役割と、その教育的意義について述べなさい。
② 今後の教育現場において、データリテラシー教育を推進するために必要な取り組みや内容について具体的に述べなさい。
③ データサイエンスの発展に伴う倫理的・社会的課題を挙げ、それに対して教育現場でどのような対策や教育内容を取り入れるべきか、あなたの考えを述べなさい。
④ データサイエンスの進化は、医療、金融、交通などの産業分野をどのように変革させるか。
⑤ 教育現場でデータリテラシー向上に必要とされる3つのスキルは何か。
⑥ データ駆動型教育における概念設計シートの役割を述べよ。
4.プレゼン資料
【AIプレゼン】
5.動画資料
【AI動画】
6.テキスト
※ AI動画並びにAIプレゼンは、テキストを で分析し生成したものです。
提出文書様式
1.テキスト(様式)(Word版)
2.プレゼン様式(例)(pptx版)
3.動画の作成(各講20分程度)





















